「お前のKPIは俺のKPI」
BtoBマーケティングにおけるリードの話題は、集客からリード生成までのフェーズにとどまっていることが多い。しかし「見込み顧客からコンバージョンに至るまでのセールスプロセス全体でリードについて考えるべき」と語るのは、本セッションのモデレーターを務めるDASの野村肇氏だ。
法人支出管理サービスの「バクラク」シリーズを展開するLayerXの松岡遥歌氏も「リードの質の判断基準はマーケティング部門だけで考えず、インサイドセールスやフィールドセールス、カスタマーサクセスなど、レベニュー全体で顧客とコミュニケーションを取りつつ定めていくべき」と話す。
バクラク事業ではどのようにKPIを設定しているのだろうか。松岡氏は図を用いて全体像を解説する。
中でも松岡氏が管掌しているのは、SDR(顧客からの問い合わせに対応するチーム)で、BDR(新規開拓を担うインサイドセールスチーム)についてもセットで進捗を確認する。The Model型のようにチームとKPIを細かく分けると、部門ごとにサイロ化してしまう恐れもある。しかしながらLayerXでは「お前のKPIは俺のKPI」という考え方が浸透しているため、マーケティングがインサイドセールスのKPIを常に把握するなど、部門を横断した意識づけでサイロ化を防いでいる。
リードタイムを起点としたアクションはとらない
リードジェネレーションから商談までのフローは次の図のとおりだ。
「事業の初期フェーズではMAL獲得に偏重していた時期もありましたが、ここ半年はリードをインサイドセールスに渡して案件を生み出すまでの活動、つまりデマンドジェネレーションも活動の軸になっています」(松岡氏)
AI契約管理システム「LegalForceキャビネ」を提供するLegalOn Technologiesの場合はどうか。同社のマーケティングマネージャーを務める山崎氏が、リードジェネレーションから商談までのフローを紹介する。
まずはキャンペーン実施後に流入したリードを「過去に商談があったかどうか」で振り分け、商談実績があったリードに対しては「過去と同じ部署で対応するかどうか」を決めて商談へ。一方の商談実績がないリードに対しては「過去に別のキャンペーンで流入したかどうか」を調べた上でスクリーニングを行い、見込みの高そうなリードから商談へと進める流れだ。
「キャンペーンごとのナーチャリングとは別に、リードがホットになった場合の通知を始めました。通知を受けてインサイドセールスが架電するフローです」(山崎氏)