レンズを引くか、物を置くか
画面を構成する場合、足すことより引くことのほうが多いため、引き算から説明しました。しかし、足し算も非常に重要な作業です。
画面に何かを足す場合、ズームレンズを引くことで、それまで画面に入っていなかったものを入れる場合と、本来そこにないものをフレーム内に置いて、入れる場合があります。
前者の場合は、ズームレンズや立ち位置を変えるだけで簡単にできるので、すぐに対応できます。しかし、後者の場合は、撮影の状況を選びます。静物撮影、商品撮影やモデル撮影など、時間をかけられる場合に限って、可能な作業です。
後者について、たとえば、ある物を置いてワンポイントにする、という方法があります。この場合、どこに何を入れたらいいのかの判断は、撮影者の感性にゆだねられるわけです。

コンセプトを振り返り、目的にあった画面構成を
この「引き算足し算」の作業は、印象だけでなく、その写真の持つ意味を変えることもあります。そこで重要になってくるのが、最初に設定したコンセプトです。ここでコンセプトを振り返り、撮影の目的を思い出し、どんな写真が必要だったかを把握し直すわけです。
この一連の作業を繰り返すことで、画面を構成するのに、必要なものと不要なものを見分ける力が養われていきます。この見分ける力は、撮影だけでなく、普段から意識的に写真や絵画を見るようにするだけで、身につきます。
撮影する対象を見つけたら、イメージで「引き算足し算」の作業をし、頭の中に完成型の画面を作り上げ、それと同じものを、カメラのレンズを通してフレーム内で作る。自然にこの流れで、撮影が進められるようになると理想的です。