「システム」「人の目」「ユーザーの声」で広告品質を向上
──広告の審査において、近年の法改正が強く影響していると感じる部分はありますか?
法改正によって我々が特定の審査を特別に強化した部分は、実はあまりありません。これまでも、広告には広告表記をする、企業名や商品・サービス名をわかりやすく伝えることで広告の主体者として責任がどこにあるのか明示するといったことは、広告主の皆様に対応をお願いしてきました。
──非常に多くの入稿があると思いますが、不適切な広告をどう防いでいますか?
「人の目」と「システム」を使って審査をしています。たとえば、広告においては薬機法に係る審査も重要です。この場合は、広告として問題がないと判断するには、文字だけではなく、使われているイラストや図や写真なども含めて文脈を追う必要があります。そのために、知見を持った審査担当者がしっかり広告を読むことで、不適切な広告を検出しています。
そして、人の目で行った正しい審査結果は日々システムに学習させています。これにより、各カテゴリーに適した審査システムによって、大量の広告の品質チェックを実現しています。加えて、ユーザーの皆様から寄せられた広告に対するご意見を基にパトロールを行ったり、審査システムに反映したりするなど、ユーザーの皆様の声も積極的に取り入れて、広告品質向上に努めています。
ヤフーが定期的に公開している「広告サービス品質の透明性レポート」でも示しているとおり、拡大し続ける広告市場において、非承認数については変動がありません。つまり、非承認の割合は減少傾向にあります。広告会社向けの説明会や、広告主に向けた解説動画の提供を通して、皆様にガイドラインを正しく理解していただけていることが一つの要因ではないかと考えています。
一方、動向は常に変わっていくものです。法律の改正も含め、情報のアップデートは広告主の皆様が主体的に行っていただく必要があるとも思います。私たちも状況に合わせてガイドラインを見直ししていますが、広告主の業種や業界によって関連する法律も異なります。広告主の皆様にはコンプライアンス体制を敷くための情報収集および、法令順守の意識を持っていただくことも大切です。
また、ユーザーが見たくないものを見せることは、長期的には逆効果につながります。法律以外でも不快な表現を抑えるなど、ユーザーの声に向き合いながら、広告を制作していただくのが良いと考えています。もちろん、人によっても快・不快は異なります。その点はターゲティングによって、興味がありそうな方へ届くように設定するなどして、良い広告体験の提供が可能です。
──個人情報保護の観点ではいかがですか?
ヤフーでは、広告において「広告データ利用基準」をガイドラインとして定め、データを利用してはいけないケースを広告主や広告会社の皆様に共有してきました。この点はLINEヤフーとしても考えるところは同じですので、LINEヤフーとしても今後、周知啓発をしていきたいと考えています。
LINEヤフーとして快適で有益な広告を届け続ける
──最後に、今後LINEヤフーとしてどのようなお取り組みをしていくかうかがえますか。
引き続き、広告主に対してしっかりと透明性を確保していくことが重要だと思います。その観点で対応を続けていきます。そして、何より、広告をご覧になるのはユーザーの皆様です。LINEやヤフーのサービス、広告配信を受け入れてくださっている各メディアのユーザー様に対して、快適で有益な広告をお届けできるようにしたいと常に考えています。広告の品質周りの取り組みは、LINEヤフーにおいても、引き続き重要事項として継続していきたいです。
