若年層での拡大を目指すコア施策「Sober Curious」
MZ:「Sober Curious」の施策に関しては、2021年よりAmazon Adsとの取り組みを開始したとうかがっています。どのような経緯・目的があり、本取り組みに至ったのでしょうか?
小諸:ウィルキンソンは、お酒を嗜まれる上の世代の方々に多く購入いただいています。ブランドのさらなる成長を目指すにあたり、マーケティングにおいては若年層を将来ファンになってくれる“ネクスト炭酸水ユーザー”と定め、若年層に向けたアプローチを強化してきました。
「Sober Curious」は、あえてお酒を飲まないことで心身共に健康な状態を目指すというスタイルです。これが欧米のZ世代やミレニアル世代を中心に広まっているということを知り、若年層へアプローチするのによい切り口だと考えました。日本の若年層へ「Sober Curious」のスタイルを広めるとともに、お酒を代替するものとしてウィルキンソンを提案しました。
MZ:再び新たな文化の創造に挑戦されているわけですね。ウィルキンソンは「Sober Curious」の施策以降もAmazon Adsの活用を継続されています。これにはどういった理由があるのか教えてください。
小諸:主に3つの理由があります。まずはAmazon Adsの「広告メディアとしての価値」です。近年、若年層の情報認知経路は従来のマスメディアからSNSなどデジタルにシフトしています。その中でAmazonは非常に多くのお客様が訪れる場所であること、そして私たちがリーチしたい若年層のインサイトが豊富であるという点に価値を感じます。
また、何よりAmazon Adsには「総合オンラインストアとしての価値」があります。ウィルキンソンはお客様のブランドロイヤリティが非常に高く、Amazon.co.jpの定期便で購入してくださるようなロイヤルカスタマーの方々に支えられているブランドでもあります。Amazon Adsを活用し、認知・興味関心を高めてオフラインでの単品購入に繋げ、さらに繰り返しリーチすることでケース単位で定期便を利用するようなロイヤルカスタマーを育てていくことができます。このようにカスタマージャーニーを高度に実現しながら一気通貫で施策を打てるのがAmazon Adsだと思います。
最後の理由は、今挙げた「広告メディアとしての価値」と「総合オンラインストアとしての価値」によってもたらされた効果を横断的に分析し可視化できる点です。Amazon Adsはキャンペーンを実施したら終わりではありません。クリーンルームソリューションのAmazon Marketing Cloud(AMC)を使えば、私たちが持つ情報とAmazon Adsの情報を突き合わせながらキャンペーンのオーディエンスを分析できます。後述しますが、自社の情報やインサイトだけで分析するよりも信ぴょう性の高い結果を得られます。
なぜ「Amazon Ads」でブランディングを?
MZ:続いて、2023年実施のブランディングキャンペーンについて詳しくお聞きします。今回はブランド認知からコンバージョンまでの効果を見込んで、Amazon Adsの「カスタム広告ソリューション」を活用したとうかがいました。Amazon Adsというと、購入を促す広告とイメージしているマーケターも多いと感じますが、今回のキャンペーンは、ブランドのパーセプションを醸成することに重きを置くものなっていますね。Amazon Ads側とどのような議論があり、本取り組みに至ったのでしょうか。
小諸:お話ししてきたように2021~2022年は「Sober Curious」をメインに取り組んできましたが、炭酸水にはまだまだ可能性があるとも感じていました。そこで2023年は「Sober Curious」以外の可能性を見つけるべく、ウィルキンソンの価値が最大化される飲用シーンはどこにあるかをAmazon Adsとともに探ってきました。
Amazon Adsのファーストパーティインサイトをもとにグルーピングしながら議論を進めた結果、「アクティブ」「ヘルシー」「ファミリー」の3つのセグメントを狙うのがいいのではという結論に。それぞれのセグメントの人たちはどんな1日を過ごしていて、その中でウィルキンソンがどのような価値を提供できるかを議論しました。
そこで出てきたクリエイティブのイメージが「半歩先の憧れ」というものです。冒頭にお伝えした通り、ウィルキンソンのコア価値は、商品の物性価値をわかりやすく伝えた「刺激、強め。」からスタートし、そこからさらにウィルキンソンだからこそ提供できる情緒的価値として、かっこいい世界観をこれまで届けてきました。しかし、改めてウィルキンソンの提供できる情緒的価値を考える中で「これまで伝えてきたかっこよさと令和のかっこよさでは変化が起きているのではないか。これまで通りの世界観では、オーディエンスが狭まりすぎるのではないか」といった声も出ていました。
そこで2023年のキャンペーンでは、「かっこよさ」の中にもどこか身近に感じる要素を追加しました。「憧れではあるけれど、自分も頑張れば手が届きそうな共感できるかっこよさ」を表現したキービジュアルがこのクリエイティブです。
ウィルキンソンはテレビCMをはじめとしたマスメディアでも広告を展開していますが、それらとはまた別のアプローチで、Amazon Adsだからこそ届けられるウィルキンソンの世界観や独自性を表現できたと感じています。