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探訪!時代をとらえ、成果につなげるテレビ活用術

アサヒビールに聞く、顧客のインサイトを捉えたテレビCM出稿術

 「アサヒスーパードライ」をはじめ、様々な酒類ブランドを展開するアサヒビール。同社のテレビCMをまったく見ない日はほとんどないのではないか。そんな同社は、どのようなことを意識しテレビCMを活用しているのか。本記事では、メディアプランニングを統括する室井氏に同社のテレビCMの取り組みについて聞いた。

アサヒビールがテレビCMを出稿する目的

――アサヒビールでは各商品に関するテレビCMはもちろん、最近ではスマドリ(=スマートドリンキング)でのテレビCMも展開しています。最初にテレビCMに期待している役割を教えてください。

 当社は、テレビやデジタル、新聞、雑誌、交通、ラジオに加えて、イベントなどリアルの接点も含めて、様々な媒体を通じてコミュニケーションを行っています。その中でテレビCMは「ブランドイメージの醸成」と「認知獲得および購買喚起による売上向上」を目的に出稿しています。

 テレビCMには、3つの良い点があると考えています。1つ目は短時間で多くのお客さまに情報を届けることができる点。新商品発売時をはじめ、多くの方にブランドや商品のことを知ってもらいたい場面において、テレビCMは有効な施策の1つだと考えています。

 2つ目は、幅広い層の方にアプローチできる点です。デジタル広告は高いターゲティング精度で配信できる一方、その周辺層に届けるのが難しくなっています。テレビCMは、圧倒的なリーチ力がありメインターゲットはもちろん、周辺層にもアプローチ可能です。

 3つ目は興味・関心を集めやすい点です。デジタルは検索など能動的に情報を収集する行動が一般的で、関心のない情報は無視されてしまいがちです。しかし、テレビは受動的に視聴している中で広告が出てくるため、低関心層にも興味・関心を持ってもらえる可能性があります。実際に弊社の広告出稿の事後調査では、1回の広告接触における広告認知率はデジタル広告よりもテレビCMのほうが高いという結果も出ています。

テレビCMの出稿で「スマドリ」の認知獲得と理解促進を狙う

――スマドリに関するテレビCMを見かけることも多かったのですが、出稿の背景を教えてください。

 2023年、スマドリ(=スマートドリンキング)に関してはデジタル上でのコミュニケーションを大規模に行ってきました。具体的には、吉本興業様とコラボレーションを実施し、飲める人と飲めない人が共に楽しめる文化の醸成を目指す『We are飲みトモ!スマドリでええねん!PROJECT!』を3月30日から開始しました。

 このコラボレーションでは、ダウンタウンの浜田雅功さんなど人気芸人を起用し、ウルフルズの「ええねん」を替え歌にした楽曲「ええねん~スマドリバージョン~」などの動画広告を展開しました。「飲めても飲めなくても、みんな飲みトモ。スマドリでええねん!」というメッセージなど、親しみやすいコミュニケーションで「スマドリ(=スマートドリンキング)」がお酒を飲める人と飲めない人が一緒に楽しめる社会を実現していくこと”をわかりやすく伝えてきました。

 デジタル上のコミュニケーションを通じて、若年層を中心にスマドリの認知率を一気に向上させることができたので、より幅広い層のお客さまにアプローチし、さらに認知率の向上を図りたいと考え、7月にはテレビ特番でCMを展開しました。そして、忘年会需要が高まる12月にはテレビ特番との大型タイアップや番組連動インフォマーシャルに加え、スポットCMも展開しました。

――商品訴求するテレビCMと、「スマドリ(=スマートドリンキング)」で、テレビCM出稿の考え方の違いはありますか。

 テレビ特番への出稿を検討するにあたって、一番意識していたのは、スマドリと番組コンテンツの相性です。吉本興業様の芸人などが多く出演するお笑い番組や、長年当社が提供してきた「アサヒビールスペシャル 独占生中継2023隅田川花火大会」などで広告展開を実施しました。

 2023年7月に提供した「アサヒビールスペシャル 独占生中継2023隅田川花火大会」では、既にデジタルの動画広告で様々な素材を作っていたため、それらを駆使して、浜田雅功さんや亜生さん、福田麻貴さん、小杉竜一さんを起用した、スマドリを訴求する「ええねん~スマドリバージョン~」のCMや、「スタイルバランス」や「ドライゼロ」などノンアルコールカテゴリーの商品を訴求するCMなど複数の素材を展開し、スマドリならではの楽しいイメージを効果的に訴求しました。

 2023年12月には、フジテレビ系列の年に一度のお笑い番組に冠提供し、「アサヒビール スマドリ THE MANZAI 2023 マスターズ【漫才祭】」と、番組タイトルに「アサヒビール スマドリ」の名前を入れて、大々的に情報発信を行いました。番組内での露出に加え、番組連動インフォマーシャルと「ええねん~スマドリバージョン~」のCMを組み合わせて展開することで、スマドリの認知獲得と理解促進につながる情報発信を目指しました。また、このようなテレビ特番と並行して、スポットCMを展開することで、幅広い層にアプローチを図りました。

 このような取り組みの結果、「スマドリ(=スマートドリンキング)」の認知率は、2023年1月時点は約14%であったものが、12月時点では約29%まで大きく上昇しました。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/02/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/44604

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