ログラスのミッション「良い景気を作ろう。」
――まずはログラスについて教えてください。
ログラスは、「良い景気を作ろう。」をミッションに、経営管理の効率化/経営判断の高度化を推進するクラウド経営管理システム「Loglass」を開発、提供している会社です。Loglassは、これまで表計算ソフトを利用して属人的に行われてきた、経営管理(主に管理会計)の業務を効率化させるSaaS型の製品です。
管理会計は100社あれば100通りの方法があります。企業様の内情に即して、経営に必要な予実管理をより効率的に、分析をより高精度にすることで、スピーディーな経営の意思決定に寄与していくサービスです。
――その中での高野様のミッションは何ですか?
私のミッションは、実際に「良い景気」を作るために世の中にLoglassを広げていくことです。具体的には、認知から購買におけるカスタマージャーニーの設計や、それに対する施策実行ですね。特に展示会への出展およびそのマネジメント、他社開催のイベントへの協賛などを担当しています。
リードtoアクションのスピードをどれだけ出せるか
――御社のビジネスにおいて展示会の立ち位置と、展示会での施策における課題を教えてください。
まず、展示会はマーケティング施策の中でも最重要チャネルとなっております。様々なチャネル・施策がある中で、高い成果が出ています。展示会での課題は多くの企業にとって共通しているかと思いますが、リードtoアクションのスピードです。展示会で名刺を頂いた後にどれだけ早くお客様にアプローチするかが重要ですが、3つの課題がスピードを鈍化させていました。
1つ目は、お客様対応のメモ記載に手間がかかる点。以前は、お客様との会話内容をデモ担当の営業が覚えておき、Sansanで名刺を取り込んだ後にメモ欄に書くという運用でした。当然、お客様対応が重なるとメモを書く作業は後ろに倒れ、その間に忘れてしまいます。思い出して書いたとしても精度が良くありません。また、溜まったメモを書くにも手間や時間がかかっていました。
2つ目は、アプローチ状況の追跡と共有が難しい点。当社の展示会では、お客様をお連れする集客担当、ブースで接客を行うデモ担当、裏側で名刺情報を整理するオペレーション担当の3つの役割があります。展示会でお会いしたお客様に誰がどこまでアプローチをしたのかを正確に把握することが大変でした。営業がその場でアポの約束まで取ったのか、インサイドセールスに任せたのかがわかりにくい状態でした。
3つ目が、お客様のニーズによって対応を変化させるのに時間がかかる点。ここが一番の重要ポイントであり、当社ではお客様のニーズに合わせてステータスを6段階ほどに分け、対応を変えています。すぐにご相談に乗れそうな場合は営業がそのまま対応するケースが多く、それ以外はインサイドセールスが対応をします。このフォローに時間がかかり、たとえば17時に展示会が終了しても、19~20時ぐらいまで数人で作業するケースも多く見られました。
Sansanの導入もオペレーションの最適化の過程で行ってきたものですが、次に顕在化したのがこれら3点の課題でした。これらの新たな課題を解決し、展示会オペレーションの最適化と効果を最大化するために導入したのがAsk Oneです。
――Ask Oneは社内外・オンライン・オフラインを問わず活用できるマルチチャネルフォームですね。展示会ではAsk Oneをどのように使っているのですか?
当社でのオーソドックスな使い方は、デモンストレーション時の情報収集とお客様のニーズごとの即時対応です。お客様がブースに来られたらパソコンでAsk Oneで作成したヒアリングシートを開き、役回りや課題をお伺いして、それに合うデモを行い、後日のアポイント意向を伺います。お客様の対応後に名刺をOCRで読み取り、申し送りを書いて、お客様のニーズごとにステータスを分けます。このステータスによって送信されるメール文面が変わる仕組みにしています。これにより、全員で何時間も残って即日対応の処理をすることがなくなりました。
――Ask Oneを活用することで、展示会での顧客体験を損なうことなく、確実な顧客情報の取得と社内共有、迅速で最適なアクションを実現されているのですね。
47時間の業務削減で1,430件の架電増、商談遷移率もアップ
――Ask One導入後には、どのような成果が出ていますか?
インサイドセールスの事後フォローでは、1展示会あたり最大で47時間、平均でも約30時間の業務時間を削減できました。削減された時間を架電に使うことで、1展示会あたりの最大架電件数が1,430件増えた状態です。
また、お客様に即座にアクションをすることで商談遷移率が上がった例もあります。Ask Oneで標準化したオペレーションに落とし込むことで、未対応をなくすこともできました。
――Ask Oneの使用は複数部署にまたがっているかと思います。全体で上手くツールを使うコツがあれば教えてください。
基本的にはフロント部門にあたる、マーケティングとフィールドセールスとインサイドセールスの3部門がAsk Oneを使用しています。
展示会に参加してデモをするメンバーには、Ask Oneの使用を絶対事項にしています。ニーズがあるお客様は必ず申し送りをするのですが、過去の運用ではメモを書いていないケースも多々あり、インサイドセールスからデモ担当者に記載を催促することや対応状況の確認が必要でした。導入後はそれがほぼなくなり、以前よりお客様1人あたりに対する社内コミュニケーションのコストがずいぶん削減できています。
Ask One処理の完了後にSalesforceに連携をすることで、回答データがすべて自社のオブジェクト構造に合わせてSalesforceに入るので、取引先責任者に紐づいたデータから展示会で記載したメモや名刺画像を見ることができます。インサイドセールスのアクションも良くなりアポにつなげることができます。
展示会現場でもすぐに処理ができるので、情報を忘れないように頭の片隅に置き続ける状況がなくなったのに加え、個人で対応をするケースも激減しました。その結果、営業の対応工数で言うと展示会あたり最大400分の時間削減ができました。
また、連携されたデータが新規の場合、取引先や取引先責任者が自動で作成され、アプローチ可能なお客様も自動で判定されるため、それらを手動で作成する手間や、判断を目検で行うこともなくなりました。
スピーディーなカスタマイズでチームにフィットした仕組みへ
――なぜ、Ask Oneを選定されたのでしょうか?
対応したお客様へ瞬時にアクションができる点と、マルチプロダクト化している当社でも製品ごとに条件分岐を変えていける点に魅力を感じました。既に利用しているSansanおよびSalesforceとの連携がスムーズなのも導入の決め手でしたね。
――検討から選定、導入・運用までの期間と流れを教えてください。
運用開始まで約2ヵ月でしたね。紹介を受けてから、検討・契約までを1ヵ月以内で済ませました。その後、当社のSalesforce担当と調整し、クリエイティブサーベイ様にもサポートしていただいて全体設計をし、出展している中では大規模な展示会から使い始めました。
当社はバリューの1つに「いかに素早く挑戦するか」という「Amazing Speed」を掲げています。クリエイティブサーベイ様には当社のスピード感に合わせてご対応いただけました。
――導入されて使い勝手や周囲の反応はいかがですか?
導入当初は「今までのやり方がいい」との声もありましたし、「もっとこうして欲しい」という要望も多く出ました。その都度、改善を繰り返してブラッシュアップすることで当社の使い勝手に馴染んできた印象です。
たとえば、お客様の役回りの種類や、課題の数を増やしたり、プロダクトごとにメールを出し分けたりできるようになりました。Ask Oneはカスタマイズもしやすいので、柔軟に活用方法を変えていける点にはとても助けられています。
Ask Oneは少数精鋭の鍵“オペレーション”を支える
――Ask Oneは、「あらゆる顧客接点で営業機会を逃さない」がコンセプトです。その観点で、御社のビジネス成長に与える影響についてはどのようにお考えですか?
ビジネスにおいて、スピード感をもってアプローチをすることは非常に重要です。展示会では、お客様も我々も様々な企業に紐づくサービスとの出会いがあります。しかし、多くの出会いがあるからこそ、個別の出会いは記憶に定着しにくく、数日経てば忘れ去られるものです。しかも、時間が経つほど名刺を交換した企業の担当者から数多くの連絡が来るので、埋もれてしまう可能性も高くなります。
当社は出会いから間を置かずに適切な情報を届けることで、お客様の記憶への定着を狙っています。現在は展示会でお客様をお見送りした直後に、デモ内容やお困りごとに合わせたメール送信を実現しています。実際にお客様からは、「あの体験は感動した」と言っていただくこともあります。
また、当社の従業員数は約150名。展示会の主な担当は私を含めて2名で、月に2~3件の展示会に参加し、複数箇所の出展をすることも多々あります。少数精鋭で戦うには、やはりオペレーションを磨き上げるしかありません。徹底的に無駄を排除し、お客様へのアプローチ速度を速めていけば、大きな組織にも勝てると思っています。
さらなる高速化を実現するために、Ask Oneはなくてはならないツールとして、社内での認知も広がっています。まさに、当社の企業成長に大きな影響を与えますね。加えて、オペレーションが浸透していない時期からの、「現場の声を聞いて即時ブラッシュアップしたい」という当社の意向を汲んだ手厚いサポートも大変助かっています。
データは、処理に振り回されず、活用だけに専念
――最後に今後のAsk Oneの活用について、短期的および中長期的な視点での展望をお話しいただけますか。
Ask Oneの利用を通してこれまで以上にSalesforceのデータベースがより精緻になり、お客様情報がよりリッチになっていくことに期待しています。具体的には、Ask OneとSalesforce、Sansanの連携がよりシームレスになり、Loglassの課題にフィットしているお客様により早く的確にアプローチができる状態になることです(Ask One担当者注:本インタビュー以降製品のアップデートを行い、リード・取引先責任者・カスタムオブジェクトとの連携だけではなく、商談作成や活動の項目編集などこうしたご要望の実現が可能な機能の提供を開始しております)。
「Ask Oneを通せばすべてのデータがつながり、裏側の工数がほぼかからずにお客様に適切なアクションができる」という世界観が実現できれば、さらに無駄が削減できます。Ask OneからのOCR情報や申し送り情報、Sansanで読み取った99.9%の名刺データ化情報やSansan Data Hubでリッチ化された企業情報などがすべて蓄積されていけば、データクレンジングに加え、アポイント率の向上にも必ずつながると思います。
また、商談のステータスや契約状況などの情報をその場で参照し、適切なご提案ができれば、ブース来訪におけるお客様の満足度も上がると考えております(※Ask One担当者注:本インタビュー以降にリリースされた「参照マジック」によって可能になっております)。
さらに当社では現在、展示会でのみ使用していますが、長期的には全社での活用が理想形だと思っています。自社開催のオフラインイベントでの展開やプロダクトマーケティング部門でのNPS調査、営業部やカスタマーサクセス部のお客様へのヒアリングなどにも試していきたいですね。顧客体験をより良くする、デジタルマーケティングの領域でも使えるのではないかと思っています。