MOpsの役割を担うべき人材の特徴
多くの欧米企業では、フィールドマーケターのチームとMOpsを分けていることはわかった。しかし、わざわざ分ける必要はあるのだろうか?と疑問を抱く人もいるかもしれない。この問いに対し、廣崎氏は「できる限り分ける必要がある」と語る。
なぜなら、「マーケティングの収益への貢献度の可視化」「緻密な戦術設計」の実現には、テクニカルな知見が求められるためだ。
テクノロジーの進化により、マーケティングテクノロジーツールは増加しており、2011年には150しかなかったが、2023年には11,038ものツールがあるといわれている。同時に各企業が使うマーケティングテクノロジーツールの数も増えており、米国ガートナー社のデータによると、デジタルIQが高いといわれているリーダー企業では、平均して64個のマーケティングテクノロジーツールを使っているそうだ。
マーケティングテクノロジーツールは今後も数・種類共に増えていくだろう。その分、これらを使いこなすスキルも高度化・複雑化するはずだ。このような状況で、既存のIT部門にマーケティングテクノロジーツールの導入や運用までサポートしてもらうことは、現実的に難しい。そのため、自社に必要なツールを選び、使いこなしていくためには、MOpsの役割を担う人材にもテクニカルな知見が求められるようになる。
「高度なコーディング技術が求められるわけではありませんが、各データやツールの特徴を把握し、マーケティングだけでなく、IT領域のことも理解できる、エンジニアと対等に会話できる人材が重宝されるようになっています」(廣崎氏)
そのため、フィールドマーケターとの兼任ではなく、MOpsに専念する環境が理想的になるわけだ。
MOpsが実現するマーケティングマネジメント
改めてMOpsが実現するマーケティングマネジメントを整理すると、「レベニュープロセスマネジメント」と「キャンペーンマネジメント」、そして「生産性のマネジメント」の3つに分けられる。これらすべてが揃って初めてマーケティングチーム全体のROIを高めることが可能になる。
「欧米のマーケティング組織では、MOpsはCMOの右腕といわれるほど重要なポジションです」と廣崎氏。
たとえば予算の計画もMOpsとCMOが二人三脚で考えている。このようにMOpsは収益に対するマーケティングの効果や生産性を可視化する役割を担っている。