商品購入後の先にある”お客様の体験”を作る
I-neは自社工場を持たないファブレスメーカーであり、企画・開発した商品をオンライン・オフライン両方の販売チャネルで展開している。
話題となっているYOLUの他にも、ボタニカルライフスタイルブランド「BOTANIST(ボタニスト)」や美容家電ブランド「SALONIA(サロニア)」など数々のヒット商品を生み出しているだけでなく、新たな商品開発にも積極的だ。
「弊社は”商品”を作るのではなく、商品購入後の先にある“お客様の体験”を作っています。スケールすればするほど社会にとって良い影響が大きくなるようなブランドを生み出し、世界中に幸せの連鎖を広げるべく、日々試行錯誤しております」(大菅氏)
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実現にあたりI-neは、ブランド創出力、ヒットを下支えする自社独自のブランド管理ステップの「IPTOS」に加え、OMO(Online merges with Offline)を自社の強みとして挙げている。その3点について、順を追って語られた。
ブランド創出の鍵となる、コンセプトとパーパスの組み合わせ
I-neはイノベーター理論をベースとして社内独自の解釈を加えており、トレンドを産む「美容開拓層」・トレンドをつかみ広げる「美容フォロワー層」・トレンドに乗る「美容マス層」の3層に生活者を分類して考えている。
大手のように最初から総数の大きい美容マス層を狙いに行くと爆発的なヒットは生まれにくい一方、限定的なターゲットを狙おうとすると美容開拓層にしか届かないことも発生しうる。
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そうした状況を踏まえ、同社はまず美容開拓層をターゲットとして狙いつつ、併せて美容マス層にまで広がっていくような「半歩先」を考えた姿を目指している。各層からの評価の違いを数値情報で把握、様々な切り口で分析しながら、狙うべきコンセプトのバランスに合う意思決定をしていく。
同社がコンセプトメイキングをする際、同時に重視してるのはパーパスドリブンだ。大菅氏は「昨今は多くの商品があふれています。お客様から共感を得るためには、なぜこのブランドが存在するのか、どんな問題を解決したいのか、どういう方法で実現をするのかを考えることが重要」だと話す。すべてのブランドにパーパスがあり、それが軸となって処方やデザイン、コミュニケーションがぶれないように設計している。
その他にも、コンセプトミーティングの段階からC/Pバランスにおける購入後の評価も意識しながら取り組み、チーム全員がブランドの体現者になるようブランドチーム制が導入されているというような意識的な取り組みもされている。