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MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

話題を生むWebサイトをどう構築する?キヤノンMJ・モリサワ・コクヨ・BOTANIST等の事例を紹介

「コクヨ=文具メーカー」を払拭するためのリブランディング

 コーポレートサイト賞のグランプリには、コクヨの「『コクヨのヨコク』ブランドサイト」が受賞。同社は「ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする。」というパーパスを掲げ、WORK&LIFE STYLE Companyを目指して様々なヨコク(※よりよい未来をつくるための意志であり、挑戦であり、実験)をしていることを社内・社外に浸透させるべく、リブランディングプロジェクトを開始。テレビCMや駅構内広告をはじめ各種取り組みを推進した。その一環として制作したのが今回のWebサイトだ。

 コクヨのWebサイトは、事業ごとにドメインが分かれて、コンセプトや商品・サービス紹介が独自に運営されており、ユーザーから見て一つのコクヨとしての価値が体感しづらい設計であることが課題であった。コクヨの安達氏は「文具だけでなく、さまざまな事業横断でワクワクするヨコクがあふれていることを伝えるためコクヨのヨコクブランドサイトの制作を始めた」と話す。こうした中で同社は、単なる文具メーカーではなく、様々なヨコクをしている会社であることの訴求を目指した。

「ターゲットとしたのは、採用希望者(新卒・キャリア)や、未来のコクヨのファンになってくれる若年層をメインターゲットとして、Webサイトに訪問してから30秒程度でそのイメージを払拭させることを目指し、デザインや体験設計を考えました」(安達氏)

「『コクヨのヨコク』ブランドサイト」TOPページ
『コクヨのヨコク』ブランドサイト」TOPページ

 結果、平均エンゲージメント時間は従前の企業HP(39秒)に比べ56秒となっており、目標であった30秒でワクワクするブランド体験をしてもらうことに成功。こうした点に対し、デジタルマーケティング研究機構は、文房具メーカーの枠を超えた訴求がされている点を評価。「審査委員全員がワクワクしたのではないかと思えるような、驚きのコメントが多かった。またテキストのボリュームに熱量を感じるチャレンジあふれるサイトだった」とコメントした。

今までのデザインから一転⁉BOTANISTが取り組んだ、Webサイト構築

 企業BtoCサイト賞のグランプリには、I-neの「BOTANISTのサステナビリティ|FOR A SUSTAINABLE FUTURE」が受賞。ボタニカルライフスタイルブランドのBOTANISTは、サステナブルな活動の一環として「FOR A SUSTAINABLE FUTURE」を掲げている。SDGsの中では「12.つくる責任、つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」「15.陸の豊かさも守ろう」に向き合い、活動を行っている。

 これまで、BOTANISTのサステナビリティに関する情報が分散している状態であったことから、BOTANISTが取り組む、サステナブルの活動や情報を集約したWebサイトを制作するに至った。制作にあたり、I-neの井組氏は次のように述べた。

「まずはサステナブルに興味を持っていただけるサイトにすること、ユーザーが親しみを持って最後まで読み進められるデザインにすること。この2点をクオリティー高く作ることを心がけました」(井組氏)

「BOTANISTのサステナビリティ|FOR A SUSTAINABLE FUTURE」TOPページ
BOTANISTのサステナビリティ|FOR A SUSTAINABLE FUTURE」TOPページ

 構成を作っていくにあたり、独自性・信頼感・自分ゴト化の三つを意識し、サステナビリティをより身近に感じてもらうことを大事にした。

 一つ目の「独自性」は、植物と深く関わり続けているブランドであることを打ち出し、BOTANISTとしての差別化を意識した。具体的には北海道の美幌町の植林活動やバイオマスPETを用いたパッケージの開発など、実際の活動報告を掲載しながら「植物に向き合っているBOTANIST」ということを知ってもらえるようにした。

 二つ目の「信頼感」は、今までの取り組みを年表形式で紹介したほか、SDGs宣言を行うことで信頼感の醸成を図っていったという。

 三つ目の「自分ゴト化」について井組氏は、「サステナブルと聞くと“意識が高い”“難しそう”という声も少なくない」と語る。

「一方的な発信だけでなく、サステナブルに対してのハードルを下げること。また“みんなと一緒に取り組もうよ”といったユーザーに寄り添うような表現をデザインやストーリーで意識しました」(井組氏)

 同サイトでは、従来の形にとらわれないデザインが採用された。それはイラストを取り入れたことだ。元々BOTANISTは「シンプル・ミニマル」をコンセプトに据えて、パッケージ・クリエイティブ制作にも反映させている。しかしLPデザインを担当した井上氏は「親しみやすさ・親近感の観点からイラストを用いた、あたたかみのあるデザインを目指した」と説明した。

 デジタルマーケティング研究機構は、視覚的な楽しさに加え、サステナビリティに関する取り組みが伝わることを評価。「視覚的に楽しめる要素や一貫性のあるデザインで、良いブランド体験を形づくっている」とコメントした。

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「日本のまつりを探検する」体験を設計したキヤノンMJ

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この記事の著者

齋藤 ゆう(編集部)(サイトウ ユウ)

大学卒業後、広告代理店に入社しマーケターに。その後、事業会社に転職。金融・美容分野のマーケティング・企画・運営・セールスに携わる。2020年、翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/05/13 08:30 https://markezine.jp/article/detail/45141

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