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広告/マーケティングにおける7つの転換点~『2030年の広告ビジネス』番外編

カスタマージャーニーモデルの破綻【広告/マーケティングにおける7つの転換点】

 昨年、『2030年の広告ビジネス』を上梓した横山隆治氏が筆を執り、新連載を開始。同書に書ききれなかった内容を、全7回にわたってお届けする。第二回は「カスタマージャーニーモデルの破綻」について言及する。

第1回:ファネル構造モデルの破綻はこちら!

カスタマージャーニーは消費者を購買者に育てる双六ゲーム

 前回は「ファネル構造モデルの破綻」について言及しましたが、第二回では「カスタマージャーニーモデルの破綻」について触れていきます。

 カスタマージャーニーの考え方は、意外に浸透しています。ファネルやAIDMAとほぼ同類なのですが、カスタマージャーニーでは消費者が育っていくプロセスを発想すことから、それらよりも、自社のブランド独自のプロセスを描くことができます。市場に初めて投入する商品に対しては、カスタマージャーニーはそれなりの説得力を持つでしょう。いわば、消費者を購買者、愛好者に育てていくという「双六(すごろく)」ゲームです。

図)カスタマージャーニー

カスタマージャーニー通りには人は動かない

 しかし広告を始めとするプロモーションの対象となるブランドの多くは、既に市場に投入済のものです。つまり、既に市場投入に成功しているブランド・製品をプロモーションしたほうが費用対効果は高いからです。逆に言うと、それだけ新商品が成功する確率は低いと言えます。もちろん、カテゴリーによって差は大きくありますが。

 市場に初めて投入する新商品においては、カスタマージャーニーの役割を理解できる面はあると言いましたが、そもそも「カスタマージャーニーモデル」は、すべてのターゲット全員を、双六でいうところの振り出しにおいて、順番にパーセプションを描いて、購買意思を決定するまでを発想(妄想)するということです。

 ”妄想”というのは言い過ぎかもしれませんが、「カスタマージャーニー」を描くことは、ブランド側(送り手)の論理を前面に押し出している行為のように見えます。その発想の背景には、「このように消費者を教育しよう」「こういう意識を持たせよう」「このように態度変容するはずだ」といった企業側視点の発想が存在しています。すなわち、消費者はすべからくこういう順序で購入までの道を辿っていくはずだと一本道を想定しているのです。

 このような作業を経て作られたカスタマージャーニーに疑問を持てないとしたら、それはとても危険な状況です。そのようなカスタマージャーニーが現実味に乏しいことは、感覚として理解できるのではないでしょうか。

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この記事の著者

横山 隆治(ヨコヤマ リュウジ)

横山隆治事務所 代表取締役ベストインクラスプロデューサーズ 取締役トレンダーズ 社外取締役1982年青山学院大学文学部英米文学科卒業。同年、旭通信社(現・アサツー ディ・ケイ/略称:ADK)に入社。インターネット広告がまだ体系化されていなかった1996年に、日本国内でメディアレップ事業を行う専門会社「デジタ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/03/28 09:00 https://markezine.jp/article/detail/45195

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