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広告/マーケティングにおける7つの転換点~『2030年の広告ビジネス』番外編

これからの広告人へ告ぐ 生成AI時代、コンサルと差別化するAI活用の観点【横山隆治×細金正隆対談】

 昨年、『2030年の広告ビジネス』を上梓した横山隆治氏が筆を執り、新連載を開始。同書に書ききれなかった内容を、全7回にわたってお届けする。最終回は、電通コミュニケーション・デザイン・センター専任局長などを歴任してきた細金正隆氏をゲストに迎え、生成AIによるクリエーティブの変化について語り合った。

生成AIの登場で、クリエイティブの現場はどう変わる?

横山:本連載の最終回には、もともと「AIクリエイティブと積み上げ型プロセスの破綻」とテーマを掲げていました。従来は、ストプラ(ストラテジックプランナー)がいろいろな調査をした上で方針を提示し、コンセプトワークを出し、クリエイターがそれを受けてクリエイティブをどんどん制作する……というプロセスがありました。それが、AIの介在によって破綻しつつあります。

 今回はクリエイティブディレクター/コピーライターの細金さんをお迎えし、プロセスも含めて、広くクリエイティブを取り巻く環境がどう変わるかを議論できればと思います。

細金:今日は「AI×クリエーティブ」というテーマで、かつ「広告表現で課題を解決する」という領域にフォーカスして、ディスカッションしていきたいと思います。

横山:皆さんわかっておられるでしょうが、生成AIによって、どの業界も相当変わります。広告の世界で第一に思いつくのは、これまで広告会社にクリエイティブを発注していた広告主が直接AIクリエイティブを使うようになることです。

細金:はい、もう進んでいます。ポイントは、数多くの案からの「絞り込み」ですよね。「100案考えた」あとを、どうやって収れんさせるか。なぜこの案なのか。広告会社は、クリエーティブディレクターの属人的な判断も含めて、絞り込んで提案していたわけですが、そのプロセス自体が変わりそうです。

横山:何を選ぶかが、最初は苦労しそうですね。同時に、コンペも大手広告会社A社とB社、そして広告主の宣伝部が用意したAIクリエイティブがサポートした案、の3競合になったりするのでしょう。

 どうしても送り手側は「こうあってほしい」という思いが強く、生活者からどう見えているのかを踏まえた選択をしづらいから、余計に絞り込みがカギになりそうです。

Creative director/Copywriter 細金正隆氏
Creative director/Copywriter 細金正隆氏

ディティールの作り込みはクリエイターの技能か

細金:AIと競合するような状況は、すでに起きています。僕らもそれを見越して、オリジナル案と同時にAIを使った案も持っていきます。ただ、選択肢が増えるほど、絞り込みは徹底的にロジックでやらないとダメだから、たしかにそこが一層難しくなっています。

横山:実際、直感的に「これしかない」と思う案にロジックを合わせていくのが、広告会社の技だったりするところもありました。

 ただ、早晩、その絞り込みもAIがやるようになりますよね。AIが100本出すし絞り込みもできるとなったとき、それをどう受け止めるのか。

細金:AIは推測が得意ですから、何回かやればスコアリングして適切に優先順位を出してきそうです。3案なら3案、AIが絞り込んだ順位も採用するのか、それともそこから最後は人が選ぶのか。最終的に、AIと人のどちらを信じるか、という問いになりますね。

 また、案を出すにとどまらず、最終アウトプットまで出してくることも大きな影響を与えると思います。プロモーショナルなキャンペーンなら、ワンワードのスローガンとキービジュアルで成立するので、その最終案を精度高く提案してくるでしょう。

横山:たしかに。だから、以前ならプレゼンで絵コンテやカンプを出して想像してもらっていたのが、そんな段階を踏む必要がない。

細金:はい。これまで、「ディティールに魂が宿るからクリエイターがいないとできない、わからない」と言われてきましたが、広告主の側にそうした機微にこだわれる方がいて、言葉にできないイメージをAIを使ってぴったり具現化できるなら、問題ない。

 なので、クリエイターにはそうした状況とどう対峙していくかが問われています。すでに直面して苦労し、乗り越えてさらにおもしろいことをしている方もいると思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/06/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45753

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