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広告/マーケティングにおける7つの転換点~『2030年の広告ビジネス』番外編

フリークエンシー理論の破綻【広告/マーケティングにおける7つの転換点】

実践できなければ、理論は無意味

 つまり、テレビだけでは、ほとんどの若年層ターゲットには効果的なフリークエンシーまでテレビCMを当てることは非常に難しいのです。理論はあっても、実践的ではないのであれば、理論は無意味です。

 ですから若年層ターゲットにはデジタルによる補完が必要です。ターゲットリーチの補完と、フリークエンシーバランスの補正です。しかしデジタル側のインプレッションの質は担保されていないため、テレビCMと同質と考えるのは楽観的過ぎるでしょう。

 テレビとデジタルを合算した統合フリークエンシーで、ターゲットに効果的なCM投下ができればいいのですが、これらが同質ではないとすると、ここでも従来のフリークエンシー理論の適応は難しいでしょう。

ターゲットによってフリークエンシーと認知度は大きく異なる

 そして二つ目は、ターゲットによってフリークエンシーと認知度が全く変わってくるということです。もちろん大きな変数としてクリエイティブがありますが、もともとフリークエンシー理論ではクリエイティブの影響は測れないものとしていますので、今回も無視して話を進めます。

 端的に言うと、ほとんどの高齢層は大量のテレビCMに当たっていることになっています。しかし、実際にターゲット別のフリークエンシーと認知率を調査した経験から、何度も同じテレビCMに当たっているにも関わらず、高齢層の情報感度が悪いことと接触本数が多すぎることから、認知度は低いことがわかっています。多少言い方が悪い表現ですが、CMパンチドランカー状態で効いていないのですね……。

 広告主の皆さんは、ターゲット別のフリークエンシーと認知率を調査してみることをお勧めします。若い人はテレビCMへの接触回数がたった1回でも認知している場合があり、高齢層は何回も観ているはずなのに認知していないことがあります。こういう状況では、何回以上で認知するかは、相手が誰かによって、何回が適正なのかは変わってくるのです。

 まとめると、自社ブランドのターゲットごとに、テレビCMを何回接触すると効果が得られるかをそれぞれ算出する必要があります。そしてテレビだけでは難しい場合、デジタルのインプレッションの質を測定しなければ、統合フリークエンシーという概念は成立しにくいということです。

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テレビCMとネット動画のインプレッション数を比較

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この記事の著者

横山 隆治(ヨコヤマ リュウジ)

横山隆治事務所 代表取締役
ベストインクラスプロデューサーズ 取締役 ファウンダー
トレンダーズ 社外取締役

1982年青山学院大学文学部英米文学科卒業。同年、旭通信社(現・アサツー ディ・ケイ/略称:ADK)に入社。インターネット広告がまだ体系化されていなかった1996年に、日本国内でメディアレップ事業を行う専門...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/04/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45338

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