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電通グループが掲げる「CX-Connect」から紐解く、顧客とつながり続けるために大切なこと(AD)

顧客とつながり続けるには?電通グループ 日本事業のCXプレジデントが率いる「CX-Connect」

 顧客と深い関係を築きブランドのファンを増やすことは、企業にとって重要だ。しかしテクノロジーの進化にともなって顧客接点や関係構築が複雑かつ多様化し、変化に対応できていないケースも少なくない。国内電通グループ約150社で構成されるdentsu Japanは、企業に伴走しながらCX向上を支援。そのCX領域の注力テーマとして「CX-Connect」を掲げている。「顧客とつながり続ける」ための支援について、MarkeZine編集長の安成がdentsu Japan CXプレジデントの杉浦友彦氏に話を聞いた。

顧客とつながり続ける「CX-Connect」

安成:杉浦さんは2024年1月にdentsu Japanの「CXプレジデント」に就任されました。まず、役割について教えてください。

杉浦:マーケティングを顧客軸で考えたとき、クライアント企業から求められるのは、あらゆる接点での顧客体験をより良くすることです。dentsu Japanには広告やクリエイティブ、ストラテジー、データ/テクノロジーなど様々な専門領域がありますが、CXはそのすべてが交わるため、それぞれの専門性をつないで価値を提供することが必要です。その取り組みを集中的に進めることが、CXプレジデントの役割だと考えます。

 dentsu Japan全体でも様々な企業が存在していますが、クライアント企業に伴走して施策の実行までやり切る上で、専門分化している会社をどう束ねるかが重要です。それによってグループとしての最大価値を届けられると思います。

dentsu Japan CXプレジデント/株式会社電通デジタル 副社長執行役員 杉浦友彦氏
dentsu Japan CXプレジデント/株式会社電通デジタル 副社長執行役員 杉浦友彦氏

安成:専門性を持ったチームや人、サービスをつなげて、CX向上を目指すのですね。dentsu JapanがCX領域において掲げる「CX-Connect」にもConnect=つなげるという言葉が使われていますが、どのような考え方なのでしょうか。

杉浦:CX-Connectには「クライアント企業が顧客とつながり続けること」を目指すという意味を込めています。顧客接点がデジタルによって多様化し、企業が顧客と直接つながれる環境になりました。ブランドの認知から購入後まで、顧客とつながり続けることができれば、データ活用によって適切なタイミングで顧客に合った体験を提供できるという考え方です。

CXプレジデントが語る、マーケティングの長年の課題と原因

安成:ここ数年で顧客接点の在り方が大きく変化した一方、CRM(顧客関係管理)の重要性は以前からずっと意識されています。杉浦さんはマーケティングの長年の課題について、どう見られていますか。

杉浦:DXが注目される中、システム投資をした企業は多いですが、事業に大きなインパクトを与えられず、縮小均衡(バランスを維持しながら規模を小さくしていくこと)で終わっていくケースがよく見られます。クライアント企業と話していても、アプリやWebサービスを作ったがアクティブ会員数が伸びない、システム導入後の運用がうまく回らない、CRMツールを導入してもメルマガを送るだけで終わっている、DXの効果が業務効率化にとどまっているといった課題をよく伺います。

 顧客のインサイトを読み解いて喜ばれる体験を提供し、共感を得てファンになってもらうという本来のCRMを実行できていない企業が少なくないのが現状といえます。その大きな理由は、人手不足と組織の分断です。その両方が複雑に絡み合い、マーケティング業界の慢性的な課題となっているのです。

 この課題に対して、dentsu Japanだからこそ貢献できることがあると考えています。たとえば、デジタルに精通したプランナーやクリエイター人材を数千人規模で擁していますから、アセットがあり人材も豊富である強みを活かして、構造的な課題の解決を目指したいですね。

安成:dentsu Japanでは、クライアント企業の組織を変えるサポートも行うのですか。

杉浦:はい。前述の課題に危機感を持つクライアント企業も多く、デジタルやCXというテーマで横串の組織を作るケースが増えています。組織を変えるには時間もかかりますから、伴走できるパートナーが求められていると感じます。

 支援の方法も組織開発からプロジェクトマネジメント、データ分析、インハウス運用など様々です。いかに企業と伴走できるかが私たちの力の見せどころであり、頑張らないといけない部分ですね。

阪神タイガースなどの事例に見る「CX-Connect」とは

安成:dentsu Japanでは以前から「データの利活用は、良質な顧客体験の提供が目的である」と宣言しています。CX-Connectにもその考え方があるのでしょうか。

杉浦:従来重視してきたマーケティングコミュニケーション、つまり「顧客をわくわくさせて、あっと驚くような企画やコンテンツを提供する」ことと、「データ活用によって顧客とつながり、そこでしかできない体験を提供する」ことは、セットで考えるべきです。

 たとえば、それらを実現した事例が、日本マクドナルド社の施策です。デリバリーやモバイルオーダーなどスマホでの接点が増えてきたことを背景に、アプリを単なる注文ツールではなくマクドナルドならではの楽しさを提供する手段にするため、スマホでの体験を強化しました。その一つに、2023年に「ONE PIECE」とのコラボレーション施策があります。キャンペーン商品の販売に加え、アプリで関連コンテンツを楽しめる施策を行い、その支援をいたしました。

 この他にも、阪神タイガース社ではSalesforce導入後のコアファンに対するメール送付といったご支援で成果を出せていたのですが、LINE公式アカウントの活用によって新たにライトファン層へのアプローチを強化しました。球場外での体験やファンの熱量を高める情報など、ファンがつながり続けたいと思える良質な体験を提供する施策で伴走しています。

 システム基盤の構築からプロモーションや体験設計までをつなぎ、「気持ちが動く仕掛け」と「PDCAの着実な運用」を両輪で実行してスケーラブルなCRMを目指すのは、dentsu Japanならではのアプローチです。

安成:「スケーラブルなCRM」という言葉が印象的です。かつては購買後のフェーズが重要でしたが、今はどのようにブランドを知ってもらい、どういう印象を持ってもらうかという“つながる前の仕掛け”も重要なのですね。

杉浦:おっしゃる通り、つながるきっかけ作りは重要です。ただ、「登録すればポイント付与」だけでは、ユーザーはすぐにつながることをやめてしまいます。「つながっていたい」と思っていただくことが必要です。

4つのフェーズで進める「CX-Connect」

安成:CX-Connectの進め方についても教えてください。

杉浦:「顧客理解(顧客がどんな人か把握する)」「顧客体験(顧客が喜ぶ体験を創り、届ける)」「データ管理(顧客データを蓄積し、モニタリングする)」「PDCA(継続的に改善する)」の4フェーズがあり、クライアント企業によって入口は異なります。

 何もやっていない状況であれば顧客理解から始まり、システムを導入してデータ基盤を作り、体験設計から運用という流れです。キャンペーンを入り口にするなら、企画制作から始まることもあります。運用がうまく回っていなければ、PDCAの見直しから。どこからでも柔軟に対応しています。

安成:今は多くの企業が、何らかのCXに関する取り組みを行っています。しかし部署ごとに取り組みが分散し、「何から手を付けていいのかわからない」という企業は多いのではないでしょうか。

杉浦:私たちは課題の整理や優先事項の決定なども支援していますが、そういった上流工程はトータルの顧客体験を設計するディレクターだけではなく、「CXプロデューサー」という最新のデジタル施策や運用実務の専門性が求められる属人的な領域でした。私たちは様々な業種での実践知を蓄積しているため、それらをもっと「型」にすることで、多くのお客様にサービスを提供できると考えています。たとえば診断パッケージを提供して、現状の課題や優先順位を決めやすくすることが挙げられます。加えて、CXプロデューサーを担える人材の育成にも注力していきます。

CXプロデューサーに必要なスキルとは?

安成:CXプロデューサーに必要な経験やスキルはありますか。

杉浦:マーケティングの経験値をベースに、システムやデータなどの専門知識を肉付けすることが必要です。特に重視しているソーシャルメディア・CRM・コマースの領域は、進化も早いため、継続的・専門的なリスキリングが可能だと考えます。一方、トータルプロデュースはそれらを俯瞰的に理解した上でのプロジェクトマネジメントの素養が必要です。

 ある程度の専門性はリスキリングで身に付け、トータルプロデュースについては経験豊富な人材をどこまで育成できるかが重要になると思います。専門人材の多さに加えて、施策の実行までやり切った実践経験ある人材が豊富な点も、dentsu Japanの強みです。

 また、システム関連の話では、CDP(Customer Data Platform)やMAなどツール基盤の導入支援も事例が多くあります。グループ企業の電通デジタルは、Salesforce Marketing Cloudでは4年連続で、直近ではプレイド社が提供するCXプラットフォーム「KARTE」の導入に関しても「パートナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。

アセットを活かし、企業に活力をもたらす支援を

安成:CX-Connectの概念を広めていくため、どんな取り組みをしていくのでしょうか。

杉浦:コロナ禍で生活者の行動が変わったことで、「DX投資をしたけれど人手が足りず、事業成長もできない」という企業が、実効的なマーケティング変革を求めています。投資に見合う成果をどのように出すかという課題に直面している企業が多いことを、日々感じます。

杉浦:私たちdentsu Japanはその課題に対して、できることを最速かつ愚直にやっていきます。2万3,000人という人材規模と専門性を活かし、1社でも多くのクライアント企業の事業成長やマーケティングROI(投資対効果)の向上に貢献できたらと思います。その結果として、クライアント企業の皆さんと一緒に、マーケティングの力で日本を元気にしていきたいですね。

安成:CX改善に取り組むMarkeZine読者の企業も多いと思いますが、それが事業成長につながると信じ切れていない人もいるのではないでしょうか。連載では次回以降、事例紹介などを通じて、CX施策が事業グロースに結び付く取り組みであることを紐解いていきます。

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この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社電通グループ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/05/29 10:00 https://markezine.jp/article/detail/45423