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MarkeZine Day 2025 Retail

リテールのマーケティングトレンド

「ドンキを実験場に売れる商品を共創」PPIH×博報堂のpHmediaに聞く、リテールメディアの真価

“リテールメディア疲れ”を防ぐ鍵は顧客視点

――リテールメディアの開発・提供を進める中で重要だと思う点はありますか。

奥田:顧客視点を持つことが重要だと考えています。

 そもそもリテールメディアというのはアメリカで生まれた発想で、顧客との関係性を活かし収益を得られることから発達してきました。しかし、日本では収益が得られる部分だけが注目されてしまっている印象です。

 そうしたことから、メーカー様の間では「やってもうまくいかないのでは?」という“リテールメディア疲れ”が起きてしまっています。

 これは顧客視点がないから起こってしまっていることです。テレビや動画サイト、どのメディアもコンテンツがあった上で広告が流れます。つまり広告の前にはお客様を楽しませるコンテンツが求められるのです。ボディシートの事例で言えば「売れたほうが全国販売される」という対決型でお客様も参加できるコンテンツになっています。

小林:お客様を主語に置けば、メーカー宣伝部・メーカー営業部・リテールすべての関係者全員の目線が合い、リテールメディア疲れなどということは発生しないはずです。そして「今回の結果を踏まえて次はこうしてみよう」とPDCAサイクルが回っていくと思っています。

株式会社pHmedia 取締役 CDO 兼 マーケティング企画開発部 部長 小林 真美氏
株式会社pHmedia 取締役 CDO 兼 マーケティング企画開発部 部長 小林 真美氏

松居:顧客視点が抜けていては、リテールメディアは本質的な価値を提供できません。

 その価値とは「商品を通した、メーカーとお客様のテストコミュニケーション」です。メーカーは商品を通してお客様とどういう関係になりたいのか、そのためにどういう情報を届ければいいのか、その目標に対してこのクリエイティブは正しいのか。これらを検証できるのがリテールメディアの真価と言えます。

螺旋型PDCAサイクルを回す

――最後に今後の展望について教えてください。

奥田:メーカー様にとって、pHmediaが“都合の良い媒体”として認識してもらうことが大切だと思っています。

 これからのリテールメディアは、顧客視点でサービスを展開する企業と、広告枠としてサービスを展開する企業とに分かれていくと思っています。

 たとえば、海外だとリテールメディアの持つ広告枠が入札形式となっている企業もあると聞きます。この方式はビジネスとしては素晴らしいかもしれません。しかし、結局は資金力のあるメーカーが強くなり、顧客視点が遠のいてしまう可能性があると思っています。

 そうなるとリテールメディアは広告チャネルの1つとして捉えられ、先ほど松居がお伝えしたように、本当の価値を発揮することができません。

 私たちの想いは、メーカー様にpHmediaを実験場のように活用いただくことです。そうして何度も繰り返し使っていただければ、より素晴らしい商品が、より適切に生活者へ届くようになるのだと思っています。

 小林がお伝えしたように、繰り返し行うという話はPDCAサイクルと言われ、平面の図形で説明されます。ただ私は、その理解は少し違うと思っているのです。PDCAサイクルは、実際は立体的で螺旋階段になっていて、ぐるぐると回りながらより上に登っていくと捉えています。

 この螺旋階段型のPDCAサイクルを回す最初の支援を行える存在にpHmediaがなれたら良いなと考えています。

 そのためにはメーカー様に私たちの想いを理解していただくことが不可欠となってきますので、まずはその活動を進めていければと思っています。

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/07/01 08:30 https://markezine.jp/article/detail/45513

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