約400万台が日々稼働している自販機業界
冒頭ではソフトバンクの松山氏が登壇。昨今の自動販売機(以下、自販機)をとりまく状況について語った。
日本の自販機における年間売上金額は4兆円。約400万台の自販機が日々稼働している。業界の構造としては、自販機メーカー、飲料メーカー、オペレーター、自販機設置先が関わっており、下図のようになっている。
自販機ビジネスの強みは、全国の様々な場所にタッチポイントが設けられることや、無人販売が24時間365日可能であること。さらに温かい飲料と冷たい飲料が販売できることや、地域の防災や防犯にも役立つことが挙げられる。
一方で、ECビジネスの台頭・2024年問題(※)など日々自販機ビジネスをとりまく環境は変化し、課題も少なくない。自販機のオペレーションにおいては、労働力不足や多様化するニーズに対応していくことなどが求められている。
※2024年4月よりトラックドライバーの時間外労働が960時間を上限として規制されたことに加え、改正改善基準告示が適用。これによりドライバーの労働時間が短縮し、輸送能力が不足する問題を指す。
また自販機の管理・運営において、自販機ごとの棚割りや補充数、巡回計画など、担当者の知見・経験に基づいた属人的な業務が多い。各担当者の業務負荷に加えて、廃棄ロスや非効率な巡回によるCO2排出量なども見逃せない課題だ。
ソフトバンクは、自販機業界の課題解決に取り組むべく、オペレーターのトラックに同乗。課題の洗い出しから始め、自販機オペレーションをDXするサービス「Vendy(ベンディ)」の提供開始に至った。
AIを活用し、過去の売上×地域から需要を予測
同サービスは、自販機の管理・運営を行う自販機オペレーションの最適化を行うもの。ソフトバンクが開発したAIアルゴリズムを用い、過去の売上・在庫情報などのデータや、巡回にかかる人件費といったコスト情報を分析・予測することで、自販機の管理・運営における最適化・効率化を図るという。
「AIで販売予測からオンライン検量を行うほか、売上予測やコストを加味した巡回計画の作成や商品ラインナップの作成も行えます。今まで経験や勘など人の手で行っていた部分や、どの順番・どのタイミングで行くかといった部分を自動で算出することで、コストの削減・業務スキルの平準化を狙っていきます」(松山氏)
今回キリンビバレッジでは、同社のオンラインシステムで収集した各種データをAIに学習させ、分析。売れ行きのよい商品アイテムを選定して、最適な商品ラインナップの提案を行っていく。
また効率的な訪問タイミングや巡回ルート、補充本数まで自販機の管理・運営に関わる一連の計画を自動で生成。生成された各種計画はパソコン画面やスマートフォンの専用アプリで確認可能だ。