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日清・サントリー事例に学ぶ、俯瞰で1:Nの話題を生み出す「サークルプランニング」とは?

ジェニーハイ×サントリー・ジムビームのコラボ施策の裏側

 2つ目の事例は、サントリーが発売する「ジムビーム」。2022年に、ジムビーム担当者から、「20~30代の興味をそそり、トライアルにつながるような話題化施策を実施したい」という相談を石口氏は受けたという。

 そして同時期に、ワーナーミュージック・ジャパンからも「所属アーティストであるジェニーハイのハイボールが作れないか」という相談があった。ジェニーハイは、⼩籔千豊さん、くっきー!さん、中嶋イッキュウさん、川⾕絵⾳さん、新垣隆さんからなる若者世代から絶大な支持を得ている人気バンドだ。

 実際に、ジェニーハイの2ndアルバム「ジェニースター」に収録されている楽曲「ジェニーハイボックス」には、「ジェニーハイボールを作ってくれる企業さん募集しています」という歌詞がある。

 「元々、ジムビームは『自由・開放&解放・アクティブ』をブランドのコアバリューに定めていたため、音楽好き若年層トライブとの相性は良いと思いました」(石口氏)

 そこで、ジムビームとジェニーハイのコラボプロモーションを考え、「日清のどん兵衛」のときと同様に、石口氏はステークホルダーの洗い出しを行った。

「共創」コラボが功を奏し、約18億のインプレッションを獲得

 その結果、ジムビームとジェニーハイが共同で新商品「ジェニーハイボール」を開発した。注目すべきは、広告契約ではなく「共創」という対等な立場でのコラボであったという点。川谷絵音が作詞作曲したコラボ楽曲のMV「PEAKY」もリリースし、MVには、ジムビームのブランドメッセンジャーの井桁弘恵も出演した。

 「単に広告として発信するのではなく、MVというコンテンツに昇華させて発信したことで、ファンのみならずジムビームを多くの音楽好きにまでリーチできました。ジムビームとは普段あまり縁のない、音楽メディアや芸能メディア、ニュースメディアにも多く取り上げていただきました」(石口氏)

 また、広告施策を打たなくても、ジェニーハイのメンバーが「コラボ」ということで、自発的にSNS投稿をしたことも多くの消費者にリーチできた原因だという。その結果、商品発売時には瞬間的にツイート数が1万5540件、プロモーションの事前事後11日間で8万3,000近いツイートがなされた。最終的なインプレッション数は約18億と、広告アプローチだけでは到達しない数値まで伸びることができたという。

 「コラボ商品をフックにジムビームの認知/トライアルにつながった点は非常に良かったです」(石口氏)

 今回の事例を振り返り、「ソーシャル上ですでに発話されていたネタを起点としたプランニング」、「メーカー×アーティストによる共創という立場でのコラボ」、「メーカー×リテールによる商品開発/商品発売の実現」が良かったポイントだと石口氏は挙げた。

 最後に、石口氏は今回の事例成功の秘訣について、「ジムビームの事例でいえば、クライアントであるサントリー、ジェニーハイ、ワーナーミュージック・ジャパンと密にコミュニケーションをとってプロモーションを進めたことが良かった点だと思います。また、ジェニーハイのような『共創相手』とコラボしたい際は、メーカーサイドのメリットを話すだけでなく、共創相手にもどのようなメリットがあるのか、細かく説明することが重要です」と語った。

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この記事の著者

太田 祐一(オオタ ユウイチ)

 日本大学芸術学部放送学科を中退後、脚本家を目指すも挫折。その後、住宅関係、金属関係の業界紙での新聞記者を経て、コロナ禍の2020年にフリーライターとして独立。現在は、IT関係を中心に様々な媒体で取材・記事執筆活動を行っています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/20 08:30 https://markezine.jp/article/detail/45958

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