音声広告の作成時に押さえるべきポイントは?
では、実際に音声広告を作る際にはどのように考えればよいのでしょうか。ここからは、効果的な音声広告を考える際に押さえておきたい点を解説していきます。
1.リスナーの「体験」を前提とした、文脈性(ストーリー)を持った設計
音声広告は、動画やバナー広告のような視覚の情報と違い、1秒だけを切り取って瞬間的に意味を伝えることができません。音声広告の接触時間全体を通じて与えられる流れや文脈性から、体験を設計して考える必要があります。
つまり、20秒ないし30秒の間におけるストーリー性が重要だということです。このストーリー性の設計が、感情を動かす広告作りに重要なポイントとなります。
2.アテンション(注目度)を引くオープニング
音声広告は文脈性が重要であるがゆえ、CMの冒頭からきちんと耳を傾けてもらう必要があります。そのためには、音声CMの冒頭には耳を引くとっかかりとなるような、冒頭から「なんだこれは?」「何が始まるのだろう?」とリスナーが耳を傾けたくなる仕掛けが必要です。
LIFULL HOME'Sの音声CM「クイズ編」では、冒頭にクイズが始まる形で広告接触者のアテンションを高めています。
3.没入感や臨場感で「疑似体験性」を高める
冒頭でも述べた通り、音声広告は「体験」性の高い広告フォーマットです。耳だけで聴いた情報を脳が想像力でイメージすることで、まるでそのCMの中の空間に自分がいるような疑似体験や臨場感を引き起こすことができます。
たとえば、音声広告に登場する二人の会話が自分の隣で行われているような演出や、特定の場所で流れるアナウンス音、ASMR(咀嚼音や自然音など)を用いることで、動画広告といった視覚的な広告にはない、高い疑似体験を生み出すことができます。その場に広告接触者がいるような疑似体験を生み出し、より「感情」に響く音声広告体験を実現することができます。
4.サウンドロゴ(ソニックロゴ)による、ブランドの刷り込み
サウンドロゴ(ソニックロゴ)は、テレビCMなどでも多く使われています。サウンドロゴを持っている企業の場合、音声CMの最初や最後に取り入れることで、さらに広告の記憶や認知の効果を高めることができます。
米国の音声マーケティングの効果測定企業Veritonicの2023年の調査では、ラジオとポッドキャスト広告において、ソニックロゴを使用した広告の方がリスナーとのつながりが強くなることがわかっています。このレポートによると、ソニックロゴを使用したポッドキャスト広告では広告想起が14%増加。その結果、購入意欲が2%高まる結果が出ています。
音声CMのシナリオパターンの例を紹介!
続いては、具体的に音声広告を制作する際によく使われるシナリオのパターンをいくつか解説します。実際に活用されている事例も合わせて紹介していますので、ぜひ確認してみてください。
日常を拡張した展開
日常で起こる出来事から始まり、CMの中で非日常に拡張していくことで、思わず笑ってしまう広告や物語の展開を生み出します。誰でも共感できるシチュエーションを、拡張して非日常的な展開やコミカルに誇張することで、そのギャップからリスナーの脳内でシーンが想像され印象に残る音声CMになります。
シチュエーションを利用した疑似体験
SE(サウンドエフェクト)や環境音を最適に使用することで、まるで広告接触者であるリスナーがその空間にいるかのような体験を実現します。
ビールの缶を開ける「プシュ」という音や「ジュージュー」と肉の焼ける音、「ピンポンパンポン」といったアナウンスなど、想像力を掻き立てる疑似体験性を生み出すことでリスナーがその空間や環境にいるような感覚を引き起こし、印象に残る音声広告体験となるのです。後述するASMRと、相性のよい作り方です。
対話形式
複数名の登場人物の会話を通じて、製品やサービスの特徴や利点を紹介するパターンです。登場人物が広告接触者の代弁として疑似的な会話を展開することで親近感を与え、広告接触者であるリスナーが情報を自然な形で受け取れる体験を提供します。