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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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西口さん!難しいことはわかりませんが、マーケティングで一番大事なことを教えてください

【マーケティング入門第15回】どういう仕組みでリピート購入が起こるんですか?


 現在、マーケティング領域では膨大な方法論や用語などの情報が氾濫し、初心者マーケターが知識や手法を学ぶ壁となっている。Strategy Partnersの西口一希氏は、初心者向け書籍『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』(日本実業出版社)への反響から、「さらにかみ砕いて伝えるべきだと感じた」という。本連載では、マーケティング領域に足を踏み入れて2年目のMarkeZine編集部・吉永が、西口氏にマーケティングの基本の“き”から質問。第15回は、前回の事業ステージ「1→10」で触れた「価値の再評価」とリピート促進の関係について、詳しく聞いた。

継続購入/リピートの仕組みを正しく知ろう

MarkeZine編集部 吉永(以下、MZ):連載第14回では、3つの事業ステージ「0→1(ゼロイチ)」「1→10」「10→∞」について解説いただきました。特に「1→10」の段階では、購入後の「価値の再評価」がリピートのために重要と伺いましたが、売り上げ構造のお話(第13回)などを通しても、事業の継続と利益の確保にはリピートが不可欠だと印象に残っています。

西口:はい。どんな業種の方でも、「リピーターが大事」というのは皆さん同意されるでしょう。長期的に何度も買っていただける「ロイヤル顧客」という言い方もよくされます。

 ただ、売り上げ構造において、あるいは事業ステージとの関係でなぜ大事なのか、そしてリピートいただきたい方々の心理はどうなのかといった点までは、あまり考えられていないと思います。

 まず、価値の再評価とリピートについて、紐解いていきましょう。これまで説明してきたように、顧客がプロダクトに便益と独自性を見出し、価値があると感じれば、お金や体力など自分の持つ有限のリソースと交換してプロダクトを入手します。この時の顧客による意思決定が、「初めての価値の評価」であり、初回購入の仕組みです。

 「価値の再評価」は、顧客がプロダクトを使用したり体験したりした後に起こります。実際に使ってみて「思った通り、やっぱりよかった」、もしくは「期待していた以上によかった」と思ってもらえれば、その後も使用し購入を続けてもらえます。これが継続購入、いわゆるリピートの仕組みです。

「価値」は、だんだん当たり前になっていく

MZ:逆に、ここで期待が外れてがっかりしたら、もう買わなくなるわけですね。

西口:その通りです。そうなると購入が一過性に終わり、顧客は「離反」し、競合や代替品に流れていきます。他の選択肢がなく、「イマイチだけど安いからいいか」といった理由で購入が続く場合もありますが、その人にとって価値ある別の選択肢が登場したらすぐに離反してしまうでしょう。

『マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』p184より
マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ』p184より

MZ:期待と違っていたけれど、納得して買い続けるケースはありますか?

西口:「購入や使用後に便益が変わる」ケースです。食品などで「想像していた味とは違ったがおいしい」みたいな時ですね。購入前と購入後で、顧客が異なる価値を見出したわけで、これはこれで継続購入の可能性があります。

 ただ、期待通りか、想定外だが満足という場合でも、一度経験した価値は顧客にとって徐々に当たり前のものになっていくことは理解しておきたいですね。慣れや飽きがきたタイミングで、同じ便益と独自性を打ち出した競合が登場すると独自性が失われ、スイッチ(切り替え)されてしまうこともあるでしょう。

 いずれにしても、顧客が実際に使用した後にも便益と独自性の評価は変わってくる、ということがポイントです。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/18 17:36 https://markezine.jp/article/detail/46077

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