コンテンツに込めるメッセージをシンプルにするメリットとは?
3つ目には、「メッセージをコンパクトにする」ことが挙がった。企業目線では、商品訴求のためについ色々なメッセージやアピールポイントをインフルエンサーに発信してほしい、と考えがちだ。
だが、「多くのメッセージを両立すると、それだけ制約が多くなって面白さが減ってしまいます。伝えるべきメッセージを絞ってインフルエンサーに発信してもらうべき」と伊沢氏は指摘した。一番大事なことが伝わりやすくなり面白さも担保されるため、コンテンツ作りにおいて企業はメッセージをシンプルにすることを強く意識すべきだという。
QuizKnockが手掛けた、半導体製造装置のメーカーである東京エレクトロンとのタイアップ動画では、「高学歴はじめてのおつかい」をテーマに秋葉原の街でメンバーが元素にちなんだ買い物リストを持って、お使いに挑む企画を実施。伊沢氏によれば、同コンテンツではメッセージを「東京エレクトロンは科学をテーマにした会社である」ということに絞って企画した。結果、科学に関心のある多くのファンに届くコンテンツとなり、300万回以上再生された。
インフルエンサーとの共創で、メッセージが届くコンテンツ作りを
そして4つ目は「意志ある作り手を選ぶ」ことだ。インフルエンサーマーケティングでは、コンテンツを単なる広告として出すのではなく、インフルエンサー側も楽しく発信できる構造設計が重要だと伊沢氏は語った。
ファンはインフルエンサーが楽しそうにしていることを重視するため、メッセージが強く伝わりやすくなるのだ。また“本音感”が伝わるためスキップされにくく、ファンの行動変容にもつながりやすい。
「ノートン モバイルセキュリティ」を提供するシマンテックとの動画では、Wi-Fiをハックしてメンバーのスマホの情報を抜くドッキリ企画を仕掛けた。同動画では、ネットリテラシーの重要性を喚起しつつもインフルエンサーが楽しめるコンテンツ作りに成功した。
「企業とインフルエンサーが共創することによって、インフルエンサーの気持ちが乗ったファンに喜ばれるコンテンツを作れます。企業とインフルエンサーが歩み寄り背中を預け合う関係が、成果につながるコンテンツ作りの形だと思っています」(伊沢氏)
最後に会場の聴講者から「代理店や所属事務所を挟んだやり取りをしている場合、インフルエンサーに企業の意図・目的をどう伝えるべきか」と質問が挙がった。これに対し伊沢氏は「現場や打ち合わせの場でインフルエンサー本人とダイレクトなコミュニケーションを取る時間を大事にしてほしい」と回答。丁寧な意思疎通で共創することが、インフルエンサーのパワーを企業が最大限に活かすポイントになると示した。
