コンサル時代に閃いた儲かる広告主のサイクル
これまで25年以上、ネット広告の仕事をしてきて、「儲かっている広告主には共通点がある」ことがわかっている。それは、「質の循環」と私が呼んでいるものだ。質の循環が好循環としてポジティブなサイクルに入ると、ネット広告経由で非常に大きな売上を上げることができる。この好循環のサイクルを、儲かる利益率で回し続けることができるからこそ、広告主企業はネット広告への投資を増加してきた。その結果、マス広告の市場規模を凌駕して、ネット広告は成長し続けてきた。
この「質の循環」は、「Rank 1st theory」+「GDN circulation」 である。「Rank 1st theory」とは、検索広告で掲載順位 1位のほうがコスト効率がよくなることを理論化したものだ。 「GDN circulation」とは、検索広告と GDN をメディアミックスし意図的に好循環を生み出すことで、グルグルと半自動的に循環を回しながら、売上を作っていく循環構造のことだ。
「Rank 1st theory」は、わたしがリクルートのコンサルティングをしているときに、その分析結果から仮説を立てて検証し、理論化したものだ。2004年のことだった。当時の「フロームエーナビ(以下、FromA)」のデータ分析をしているときに、偶然、アイデアが降臨した。
そのアイデアとは、FromA の場合、検索広告の掲載順位が上位になればなるほど、CVR(コンバージョン率)が上昇するのではないか!?という気づきだった。様々なキーワードの掲載順位をチェックし、その順位変動とCVRの値を手作業で一つ一つ確認していたとき、間違いないと確信したのだ。
タテ軸にCVR、ヨコ軸に掲載順位をとってグラフ化した。当時のFromAでは、ほぼすべてのキーワードで掲載順位が上昇するほど、CVRが上昇していた。当時、3位掲載方針で、入札金額を調整しながら、できるだけ3位に掲載されるように運用していた。だが、実際には、5位に掲載されたり、2位や1位になったりと、3位前後で変動しながら掲載されてしまう。そのため、その順位の変動とCVR値で分布を描くと、図表1(case1)のようにキレイに右肩上がりになった。
すべての広告主がキレイに右肩上がりになるわけではない。順位が上昇するとCVRが低下する(case2)の企業も多い。また、順位変動がCVRに影響しない(case3)も多い。私は当時、「いかにしてCVRを上げるか」ということに集中して取り組んでいたため、順位変動だけではなくて広告文のパターンやランディングページの差異によるCVRへの影響なども分析していた。様々な広告主のケースを調べていく中で、(case1)のようにキレイに右肩上がりになる広告主の共通点がみえてきたのだ。