儲かる広告主に共通する6つの条件
私はこれを 「Rank 1st theory」と呼び、自分なりに理論化した。次のような条件が整うと、検索広告で掲載順位1位のほうが他の順位よりもコスト効率がよくなる。なぜなら、CVRが高くなるからだ。
条件1:同一商品/サービス(あるいは、類似商品/サービス)を提供する競合がいる
条件2:比較検討商材のように検討期間が長くない
条件3:商品/サービスの競争力がある
条件4:ブランドの競争力がある
条件5:ウェブサイト/ランディングページの競争力がある(使いやすくコンバージョンしやすい)
条件6:結果的に「CVR変化率>CPC変化率」になっている
(case1)のようにキレイに右肩上がりになる広告主には、この6つの条件が揃っている。なぜ、そうなるのかを順を追って説明しよう。まず、「条件1:同一商品/サービス(あるいは、類似商品/サービス)を提供する競合がいる」かどうか、について。FromAの場合、当時は、アルバイト情報「an」というサービスが競合だった。

この2社を比較すると、同一のアルバイト案件を提供している率が高いのだ。実際に、FromAに掲載されているアルバイト案件100件を抽出して、それと同じアルバイト情報がanにも掲載されているかを調べてみた。すると、そのときは、100件中78件が同じだった。
たとえば、「表参道のスターバックスのスタッフ募集」というアルバイト情報がFromAにもあるし、anにも掲載されていた。これは私自身の経験からもわかるのだが、自分の会社でアルバイトを募集するとき、いくつかの複数の媒体に掲載したり登録したりするのが普通だ。そのため、まったく同一のアルバイト情報が複数のサービスに同時掲載されることになる。
そうすると、典型的な消費者行動モデルとして、次のような行動モデルが推論できる。まず、Googleで「アルバイトというキーワードで検索する」→「掲載順位1位のサイトをクリックする」→「1位のサイトでCVする」→「検索結果画面に戻る」→「次に2位のサイトをクリックする」→「2位のサイトで同じアルバイト情報を発見する」→「2位のサイトではCVしない」。もちろん、すべてのユーザーがこのような典型的なモデルになるとは限らないが、統計的に有意な数がこのようになっているだろうと推論する。
掲載順位1位のサイトにも2位のサイトにも、まったく同一のアルバイト情報が掲載されている場合、1位のサイトで一度応募したら(CVしたら)、2位のサイトでは応募しないのが普通だ。わざわざ、2度も個人情報などを入力して同じアルバイトに応募する人はいないということだ。結果的に、1位と2位だと、掲載1位のほうがCVRは(圧倒的に)高くなる。これは、いわゆる、「first mover advantage」の一つである(参照)。