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儲かる広告主に共通する6つの条件/Cookieレス時代にそのセオリーはどう変化するのか?

Cookieレス時代、新たな攻略法が必要に

 最新の統計データ(2024年6月)では、Google検索のシェアが落ち始めている。その一方で、Microsoft Bingのシェアが伸びているようだ。Google 65.03%して Bing 28.05%である(参照:Desktop Search Engine Market Share Japan | Statcounter Global Stats)。25年以上、Googleを使ってきた自分としては驚きである反面、昨今のGoogleの質の低下は目に余るので、Google離れという現実を謙虚に受け入れるしかないと感じている。

図表6:赤い線がGoogle、青い線がMicrosoft Bingの推移 出典:Desktop Search Engine Market Share Japan | Statcounter Global Stats https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/desktop/japan/#monthly-202401-202406
図表6:赤い線がGoogle、青い線がMicrosoft Bingの推移 出典:Desktop Search Engine Market Share Japan | Statcounter Global Stats

 「質の循環」が悪循環になるとき、たとえば、Instagramで検索したほうが便利とか、TikTokで検索したほうが便利など、ユーザーが離れていく。もちろん、Microsoft Bingに乗り換えてしまった人もいる。なぜなら、「GDN広告枠付きサイト」は、MFAが増殖して、見てられないからだ。携帯キャリア会社の知人によると、彼らのデータでは、20代・30代のGoogle離れが大きくなっているらしい。

 おそらく、20代・30代のユーザーは、無意識にGoogleの悪循環から離れたくなって、TikTokなどで検索したほうが便利だと感じているのではないか。また、Microsoft Bing の場合、GDNに相当するアドネットワークを、幸か不幸か、持っていない。そのため、悪循環に陥ることもない、というか、もともとそのような「質の循環」が存在しなかったので、独り相撲でGoogleが質を悪化させているとき、Microsoft Bingは、文字通り、漁夫の利を得ている感じだろう。

 「Googleは、Garbage In、Garbage Outになる」といった人がいた。以前の記事でも書いたが、2018年5月25日にエストニアを訪問したときだ。それはEUのGDPR(General Data Protection Regulation:EU⼀般データ保護規則)施行日で、エストニアでは個人情報関連のイベントがおこなわれていた。私は、そのイベントに参加して、パーティー会場でパーソナルデータ保護の運動家の一人と立ち話をしていた。その人は、「第三者経由の情報(3rd party cookieを使った情報収集)で他人のプライバシーを覗き見して、それをビジネスにしているようなGoogleの卑劣なビジネスモデルは破壊しなければならない。それが、GDPRの狙いだ」と話した。そして、「GDPRの施行後に、3rd party cookie経由の情報収集ができなくなる。そしたら、Googleは、Garbage In、Garbage Outになる」といった。

 「機械学習における“Garbage In, Garbage Out”(ゴミを入れたら、ゴミが出てくる)とは、品質の悪い不完全なデータを入力したり品質の悪い特徴量を作成したりすると、品質の悪い不完全な機械学習済みモデルが出力される、という格言/金言である」(引用:「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れたら、ゴミが出てくる)とは?」)とのことだ。

 Googleの質の低下、MFAの増殖、元Google社員の岡田 吉弘氏のような運用型広告のプロがもう「GDNは提案しない」と発言していることなどを考慮すると、とても残念なことだが、ここ数年のGoogleは、たしかに、「Garbage In、Garbage Out」になってしまいつつある。

 2018年のエストニアで、EUの個人情報保護関連の規制当局の人たちや個人情報保護運動家、プライバシー保護団体の人々と会って話した。彼らは、「他人のプライバシーを覗き見して、その情報を使ってビジネスをするのは卑劣だ。そんなGoogleのビジネスモデルは破壊する必要がある。そのためには、まず、3rd party cookieを使えなくする」と繰り返し話していた。

 Googleのビジネスモデルは卑劣だと聞いたときは、ネット広告業界にいると人間として、とても悲しい気持ちになった。だが、あれから6年、GDPRの効果がジワジワと効き始めてきたという状況だろう。現実を受け入れるしかないと思う。

 さて、改めて書く。「Rank 1st theory」+「GDN circulation」の「質の循環」が悪循環に変わっていくとき、我々はほかの攻略法を構築しなければならない。私は、その代表ケースが、これまでの記事、「いまGoogleを使ってない人は、何を使っているのか?」や「1st Party Dataプラットフォーマーの時代、カスタマーマッチの応用が重要になる」で論じた、1st Party Dataを使った手法だと考えている。次の機会に、いま台頭しつつある、新しい「質の循環」について解説したい。

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この記事の著者

ヴァイオレット・エヴァーインディゴ(ヴァイオレット・エヴァーインディゴ)

1990年代に米国西海岸に留学し、シリコンバレーで就職。1998年のGoogle誕生に衝撃を受け、ネット広告・デジタルマーケティング領域に職域を転換。2000年代初めに帰国。米国大手IT企業・プラットフォーマーを6社経験。デジタルマーケティングのコンサルティングを生業とする。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/07/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46193

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