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TENGA「iroha部」のキーマンに聞く、女性の性に対する認識を変えたマーケティングの軌跡と展望

性を当たり前のこととして発信する「iroha部」

――「自分らしい性のあり方」を求められる環境づくりの事例を教えてください。

月島:具体的な取り組みとしては、たとえば、2022年6月に一般の方によるアンバサダー企画「iroha部」をスタートしました。

 主な活動は、部員になられた方々にXで製品のレビューを投稿していただくことです。また、推しのiroha製品について語り合うプレゼン大会や、セルフプレジャーに対する個人の思いを深掘りするワークショップを開催するなど、様々な活動を行っています。

iroha部の活動とiroha部2期生
iroha部の活動とiroha部2期生

 私たちとしては、即効性のある拡散力を求めるというよりも、長期的な視点でirohaとともに、女性の性に対する社会の価値観を変えていただけるような方に参加していただきたいと考えています。

 メンバーの年齢層は20~50代と幅広いです。職業も多岐にわたり、元々インフルエンサーとして情報発信を行っていた方もいれば、iroha部への参加をきっかけに性について発信を始めた方もいらっしゃいます。

――一種の偏見かもしれませんが、セルフプレジャーに関する発信に抵抗を感じる方も少なくないのではと感じます。皆さん、どのような想いを持って参加されているのでしょうか?

月島:私たちも最初は応募者がいるか不安でしたが、1期生の募集には10名の定員に対して90人以上の応募がありました。皆さんのコメントを見てみると、「自分だけでの発信は抵抗があるけど、iroha部なら仲間がいるから発信できる」といった声が多く寄せられていました。

 現在は3期生が活動中です。1期生や2期生は、どちらかというとirohaが好きで、その良さを広めたいという方が多い傾向がありましたが、3期生は世の中に対する問題意識を持ちながらも、これまであまり自ら発信してこなかったタイプの人たちが多いようです。irohaというブランドを通すことで、より説得力のある発信がしやすいと思ってくださっているのではないでしょうか。

西野:間違いなく一般の方が性について情報を発信するハードルが下がってきていると思います。冒頭でお話した通り、irohaを開始した当初は紹介できるメディアが限られていたため、当社が所謂エロではない、女性を主語にした催しや情報を用意し、メディアで取り上げていただくことで話題を広げる試みを続けました。

 するとメディア側にも、女性の性に関する話題はもっとオープンにしてもいいのではという考えを持っていただけるようになりました。徐々に女性向けのメディアや新聞、テレビでも取りあげていただくことが増え、昨年3月にirohaのアンバサダーに水原希子さんが就任してくださいました。

 水原さんにアンバサダーをお願いしたきっかけは、彼女がirohaについてご自身のネット配信番組で紹介してくださったからです。そんな水原さんの情報発信を違和感なく受け取れる方が増えている点も含めて、みんなで作り上げた流れだと感じます。

月島:実は私はTENGA入社前の2018年頃、個人で女性の性について発信するインフルエンサー活動を行っていたのですが、当時と今では状況が大きく変わったと感じています。以前は女性の発信者がほとんどおらず、女性が女性のために性について発信すること自体がめずらしい状況でした。

 今、iroha部のメンバーをはじめとした女性が女性のために発信をして、それに対して女性が共感している。現況を本当にすごいことだと感じています。

「どうやって売ったら良い?」の解消も重要

西野:一方で、店頭でお客様に直接製品を販売する方へのレクチャーも重要だと感じます。

 急にセルフプレジャーアイテムを取り扱うことになったので、売ってくださいと言われても「どうやって?」と思う方がいても不思議ではありません。アイテムの性格上、店員が自己開示できなければ、お客様も自己開示しづらくなるでしょう。

月島:たとえば、ある店舗ではセルフプレジャーアイテムの接客販売に抵抗や戸惑いを感じる人もおり、売り上げの伸び悩みが課題として存在していました。課題への対策として、以前実施したことのある「iroha女子会」という催しをこちらの店舗とともに開催しました。

 iroha女子会は、irohaに興味があるという方々を募って、ラフにお茶をしながらセックスやセルフプレジャーの話をして、その後みんなで店舗に行く会です。女子会に参加されたお客様とコミュニケーションをとることで、具体的なお悩みやニーズを理解でき、自然な会話の中で製品を紹介し、購入につなげられるようになっています。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/11 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46307

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