ポストCookieからハイブリッドCookieに時代はシフトしている
簗島:今回は長きにわたりインターネット広告に携わり、昨今のサードパーティCookie制限の対応に向けた事情にも詳しいアタラの代表取締役CEOの杉原さんと今後のサードパーティCookieとマーケティングの関係について考えます。
杉原さんは昨今のサードパーティCookie 制限の動向をどのように見ていますか。
杉原:国内・海外それぞれのトレンドを追いかけてみると、日本だけがCookieへの対応が遅れているというわけではなく、国内外の多くの企業が対応できていないのが現状です。
国内に関しては、大手ブランド企業を中心にサードパーティCookieに変わる代替手段のトライアル・評価をいち早く行っています。しかし、それは数十社レベルの話で、2025年も引き続き対応を進めていく必要があります。
杉原:また、広告のデマンドサイドのアドテクノロジーベンダーやサプライサイドのメディア・プラットフォームに関しても様々な対応策を提供している一方で、まだソリューションが整理されていません。
簗島さんはポストCookieという言葉ではなく、これからの対策をハイブリッドCookieで考えるべきといっていますよね。
簗島:従来のサードパーティCookieの制限は厳しくなる一方で、ユーザーのプライバシーに配慮した形で使えるデータというのもあります。そのため、Cookieが利用できる/できない両方に対応したハイブリッドCookieが求められると考えています。
2024年7月のGoogleの発表が与えた影響
簗島:2024年7月には、GoogleがChromeのCookie廃止の延期を発表しました。この発表の国内外の影響について、杉原さんはどう考えていますか。
杉原:7月の発表は国内外ともに相当驚きがありました。ただ勘違いしていけないのは、これでCookieに関する議論や対策は終わりではないということです。
欧米では最初発表でトーンダウンしましたが、継続的に対策をとる方向に動く企業がいる一方、日本では完全にトーンダウンしているのでとても危機感を持っています。
簗島:Cookie廃止を撤回するニュースが出て以降、情報が出て来なくなったことで議論が止まってしまったのかもしれません。
しかし、将来的にはサードパーティCookieが使えなくなる可能性もあり、すでに多くのiOSデバイスではサードパーティCookieによるターゲティングが無効化されています。この中でその人たちへのマーケティングを諦めるわけにはいきません。
このときに誰がどう旗振りをして、Cookieを使わずにこれまでの効果を維持したマーケティングを行えるようにしていくのか、というのに困っている方が多い印象です。
杉原:簗島さんのおっしゃる通り、すでにCookie廃止の影響をかなり受けているので、本来であれば対応していないとおかしいわけです。まだGoogleは具体的なスケジュールを発表していませんが、2025年以降どこかのタイミングで動きがあるわけなので、マーケターは早めに対策を考えることが必要だと思います。