「Knol」というのは「知識」を表す“knowledge”から来ているようで、ひとつの記事それ自体を「knol」と呼ぶ。KnolではGoogleのアカウントを持っている人なら誰でも記事書いて公開することができる。また、すでに公開されている記事にコメントしたり、自分の知識を補足することもできる。
Googleは昨年の12月にテストを開始し、7月23日にサイトをオープンしたばかり。そのためKnolで検索すると、フリーのオンライン百科事典プロジェクト「Wikipedia」ならすぐに検索結果が表示されるようなキーワードでも、なかなかヒットしない。その代わり「何か知っていたら記事を書いてみませんか?というメッセージが表示される。
試しに「cancer(ガン)」で検索したところ、以下のような検索結果画面が表示された。関連記事のリンク一覧には執筆者の顔写真も表示されている。Googleは、ウェブでは執筆者を示すための基準がないまま進化してしまったと指摘しており、プロフィールを公開している執筆者が質の高い記事を提供することも、Knolのコンセプトのひとつとなっている。
同じ「cancer」という言葉をWikipediaを検索してみると、一発で以下の画面が表示される。執筆者名は記事ページには表示されないが、画面上部にある「history」タブを見れば、この記事を誰がどのように修正してきたかを見ることができる。
しかし、KnolとWikipediaの違いは執筆者の存在を前面に押し出すかだけにとどまらない。Knolの検索結果ページを見ると、「ガン」についての記事が13件あり、それぞれそれぞれ執筆者が異なっている。つまり、多くの人が議論をしながらひとつの記事をまとめるのがWikipediaならば、同じテーマに関する多くの異なる記事を参照することができるのがKnolなのだ。
記事の編集機能ついては、執筆者の承認を得てから変更できるコラボレーションモデルがデフォルトとなっているが、Knolユーザーなら誰でも編集できるオープンな設定やクローズド設定も選択することができる。記事の共有については“Creative Commons Attribution 3.0 License”かデフォルト設定となっているが、商用利用を禁止する“Creative Commons Attribution-Noncommercial 3.0 License”、あるいは“All Rights Reserved.”で著作権を主張することができる。
広告についてはデフォルトでは表示しない設定となっているが、記事に関連するAdSense広告を表示する設定も可能で、この場合はAdSenseアカウントが必要となる。また、希望者は、電話番号またはクレジットカードによる名前認証機能を利用できるのもKnolの特徴のひとつ。
すでに英語版サイトだけでも246万記事を有するWikipediaとは異なるアプローチでスタートしたKnol。利用者が増え、記事が増えるにつれて、どのようなサイトに成長していくのだろうか。
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