ID統合で実現した、顧客一人ひとりに合わせた再来店促進施策とは
MZ:スギ薬局アプリは1,300万ダウンロードを突破したとおっしゃいましたが、新規ダウンロードはどのように増やしているのでしょうか。
増田:当社は毎年新規の出店をしており、それにともなって新規の会員様が増えていきます。全国の店舗で、お客様と関わるスタッフが積極的かつ丁寧に声掛けを行っており、それが最大の施策となってアプリのダウンロードにつながっています。そのため私たちデジタルマーケティングチームの役割は、ダウンロードしてくれたお客様の離脱を抑え、より長く使っていただくことです。
MZ:アプリユーザーの離反防止や利用継続につなげる具体的な取り組みをお聞かせください。
増田:IDを統合したことでお客様一人ひとりの購買傾向がわかるようになり、それぞれの来店頻度に合わせて、来店間隔が開いた方向けのクーポン配信を行っています。MAツールなどとも連携しながら、パーソナライズした形で再来店の促進ができていますね。これまでも、離脱防止策として一定期間来店のない方に一律で配信はしていましたが、今はお客様それぞれの来店傾向に沿った形でお送りでき、より離脱率の改善につながっています。
また、クーポン配信も「種類がありすぎてどれを使うべきかわからない」と悩むことのないよう、お客様の購買履歴やアプリの利用傾向を踏まえて改善。できるだけその方に合ったクーポンを配信したり、そのクーポンが一覧の上部に来たりするようにしました。お客様・クーポンの対象商品のメーカー様・当社それぞれにポジティブな三方よしの取り組みとして、引き続き配信の精度を磨いていきます。
便利な機能を増やすことが、必ずしも正解ではない
MZ:各種アプリを提供する中で、意識されていることを教えてください。
増田:お客様と直接関わる店舗の声を大切にしています。デジタルマーケティングを担う私たちと接客の現場となる各店舗とで連携しながら、ニーズや課題を吸い上げて、お客様の感じる負と店舗の抱える負、双方をなくしていくことを目指しています。
また、当社ではDX推進を掲げていますが、「最先端の技術を取り入れ、便利な機能をどんどん増やす」といった方向性ではなく、あくまでお客様目線に寄り添ったアプリを作ることを意識しています。スギ薬局は各店舗が地域に根差し、幅広い年代のお客様にご利用いただいているため、普段使いしやすく日々のお買い物の中に定着するアプリであることが大切です。
どんな機能も、デザインから機能性まで「本当にお客様に使っていただけるか」を軸に検討し、開発チームも含め社内でお客様の目線を持つ意識をそろえる点に気を付けています。
MZ:最後に、今後の展望をお話しください。
増田:アプリリニューアルやID統合はしましたが、まだ道半ばの状態です。「いつでも、どこでも、スギ薬局」を実現すべく、引き続き様々な施策のテストや準備を進めています。その結果としてドラッグストアだけでなく小売業界の中で、素晴らしい顧客体験を実現できる企業を目指していきたいです。
またデータ活用の面では、様々なデータが蓄積されつつありますので、それをどう活かすかのフェーズに注力していきたいですね。データをいただいている以上、お客様にしっかりと還元し、価値を提供していきたいと思います。
撮影場所:WeWork 麹町