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MarkeZine Day 2024 Autumn(AD)

広告予算の平均約4.9%が“搾取”されている 対策のプロが語るアドフラウドの最新状況と対策

 国内の被害総額が1,600億円を超えるとされる広告詐欺「アドフラウド」。その手口は、年々高度化・巧妙化しており、深刻な社会問題となっている。そうしたアドフラウドへの対策ツール「Spider AF」を展開するのが、Spider Labsだ。MarkeZine Day 2024 Autumnでは同社でSales Managerを務める加隈翔悟氏が登壇。広告主を悩ませるアドフラウドについて、不正の実態や“見なければならない”ポイントまで調査・分析を基に語った。

広告費を不正に搾取する「アドフラウド」

 まず、加隈氏は講演の冒頭でアドフラウドの定義について説明。アドフラウドは、英語で略さずに表記すると「Advertisement Fraud」、つまり「広告詐欺」を意味する。不正な手法により広告のインプレッション、クリック、コンバージョンの数を水増しすることで、広告報酬を搾取する不正行為のことだ。

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株式会社Spider Labs Sales Manager 加隈翔悟氏

 「アドフラウドは世界的に問題となっており、直近の調査では日本国内だけでも被害総額は1,600億円以上にのぼると言われています。当社の調べによると、業種・業界問わず、全体の広告費のうち平均で4.9%の被害が発生していることがわかっています」(加隈氏)

 盗み出された広告予算はブラックマーケットに流れ込んでいると加隈氏。アドフラウドが年々増加している理由には「労力とリスクが低い割に稼げる」という背景があり、日本では「クリック代行」という名の闇バイトが横行。たとえば競合会社などが代行業者に委託し、実行役のアルバイトは1秒間に70以上のアクセスという異常な数字を叩き出すのだという。「相手企業の広告予算を溶かし、妨害させることが目的」と話す。

 クリック代行の実行者は、約100台のスマートフォンを活用し、それぞれに自動でクリックできるアプリを導入。1日中クリックを繰り返すことで収入を得ているという。

アドフラウドが「0%」はあり得ない

 加隈氏はアドフラウドの被害が甚大なのは、エンタメ業界、通信業界、不動産業界だと話す。これらの業界では「出稿額が大きい」「出稿媒体が多い」「CPCが高い」という3つの共通項があるため、標的にされやすいという。

 ただ、加隈氏はこれらの業界に属していなくても、「アドフラウドが0%はあり得ない」と強調する。

 アドフラウドのカテゴリーには、一般的な無効トラフィックとして、クローラー、クラウドサーバーからのアクセス、あるいは検索エンジンのプログラムなど無効なユーザーエージェントによるアクセスがある。これらのアクセスは悪意こそないものの、必ず発生するという。

 「一方で、Bot、なりすましドメイン、繰り返されるクリック、無効なIP、偽装されたユーザーエージェント、ジオマスキングなど、悪意あるトラフィックもあります。これらには特に注意しなければならないのです」(加隈氏)

 ここまで加隈氏の説明から、「うちはディスプレイ広告をしていないから大丈夫」と思った読者もいることだろう。しかし、加隈氏によると、アドフラウドの発生率のうち約40%がGoogleの検索広告、約15%がYahoo!の検索広告だという。

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 加隈氏はアドフラウドの実害について以下のように説明する。

 「見込み客以外の広告表示・クリック、CVで広告予算の消化や機会損失が発生するため、まずパフォーマンスが悪化します。次に、改善施策の実施時にアドフラウドが発生すると本来の効果が計測できず、誤った判断で施策を評価、改悪してしまう危険性もあります。つまり、お金と時間の無駄が発生してしまうんです」(加隈氏)

アドフラウドの判断はどう行う?プロが教える3つの軸

 ここまで、アドフラウドの実態や被害内容について説明してきた。次に加隈氏はアドフラウドへの対策方法について、「クリックログを確認すればいいが、その中でチェックすべきポイントはいくつかある」と解説する。

 チェックすべき項目は、「ネットワーク軸」「デバイス軸」「流入元軸」の大きく3つに分けられる。

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 「ネットワーク軸」では、IPアドレスの重複やデータセンター・VPN・プロキシサーバーを経由している一般ユーザーであるかどうかをチェックする。

 「デバイス軸」では、ユーザーエージェント情報を見ると良い。偽装されていないか、もしくはBotやクローラーではないかをチェックする。他に、ブラウザ情報、端末の言語設定・メモリ容量、スクリーンサイズなどをチェックすることも必要だ。また、「流入元軸」では、ドメインが偽装されていないかをチェックする。広告媒体側で把握するドメインでは一般ユーザーを装っており、リファラー(参照元)にある実際のドメインと異なる場合も多いという。

 加隈氏は「これでもチェックすべきポイントの一部」と述べる。つまり、現実的には人間がクリックログをすべて確認していくことは工数的に難しい。そのため、「アドフラウド」の対策には専門的なツールの導入を検討する企業が多いのだ。

アドフラウドを自動で検知・ブロック 費用対効果を見える化

 では、アドフラウドの対策ツールとはどういうもので、何が可能なのか。セッションで紹介された「Spider AF」はSpider Labsが提供する国産の対策ツールで、アドフラウドのクリックを全自動で検知・ブロックできるプロダクトだ。「使い方は非常に簡単」と加隈氏は自信を持って話す。

 「Spider AF」は、LPページとCVページに「Spider AF」のタグを設置すれば、クリック・CV情報が自動解析され、媒体ごとのクリック数や被害数がわかる仕組み。NGな広告配信データはブラックリスト化されるほか、GoogleやYahoo!などの主要広告媒体とのAPI連携や、SNS、DSPなどのオーディエンス除外の機能によって、アドフラウドの自動ブロックまで可能となる。加隈氏は「国内で展開されているほぼすべての媒体に対応できる」と強調する。

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 「Spider AF」の特長の一つとして、透明性の高い無効アクセスダッシュボードが挙げられる。任意の期間内や日別での無効クリック件数、割合、種類が一目でわかる仕様だ。また、広告メニューごとの無効クリック発生状況、無効クリックのローデータも全件開示され、ダウンロードもできる。費用対効果は「コスト削減の見込み額」が具体的に表示されるため、納得感を持って使い続けられるだろう。

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 「『Spider AF』では、無効なトラフィックを自動で検知・ブロックすることにより、従来無効トラフィックだった予算を、有効なトラフィックに再分配できます。無駄な予算消化を減らし、プロモーションの最適化を実現できるでしょう」(加隈氏)

「MFAサイト」などブランドを毀損する配信先が存在

 「Spider AF」の導入数は国内で伸長しており、2023年の1年間で解析したクリック件数は約30億件。また、導入企業は、Web/アプリサービス、不動産、通信、買取/店舗誘導、金融、旅行、美容/エステ、通販/ダイレクト、アパレル、BtoBビジネス、人材まで業種・業界問わず幅広く利用されている。月間15万クリック以上で、月額3万円から利用可能だ。

 実際に、導入企業である北の達人コーポレーションからは「広告媒体が無効クリックと認めて返金額が増加広告運用でのクリエイティブのPDCA精度が向上した」と好意的な評価を得た。他にも「媒体側の機械学習の精度向上につながった」「出稿金額の2%の返金対応があった」「導入後1ヵ月で65%の大幅改善ができた」など多くの企業から好意的なコメントが寄せられている。

 同社では「アドフラウド診断」を無料で実施している。最長1ヵ月にわたって、「どの媒体で、どの程度クリックがあったか、被害額はどれくらいか」などが詳細にわかるレポートを発行する。加隈氏は「健康診断ぐらいのモチベーションで使っていただければ」と話す。

 また、加隈氏は「Spider AF」の2つ目の機能である「ブランドセーフティ対策」についても説明した。

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 これは、公序良俗に反するサイト、海外言語サイト、誤クリックサイト、武器、宗教・占い、ギャンブル、ポイントサイト、まとめサイト、政治、ゲームといったブランドイメージが損なわれるサイトへの出稿を検知・配信先からブロックできる機能だ。

 「低品質なサイトの例としてMFA(Made-For-Advertising)サイトというものがあります。これは、コンテンツよりも広告への誘導を目的とするサイトのこと。このサイトは裏側でアドフラウドを行っている場合もあり、注意する必要があります。こうしたサイトのデータベースも当社にあるため、ユーザーの配信先と突合させ、掲載してしまっている広告枠を自動で検知・ブロックし、その分の広告予算を最適に分配できます」(加隈氏)

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不正転売ヤーの撲滅にも効果を発揮

 アドフラウドとは別に社会で顕在化してきた問題の一つに、不正転売がある。これも多くの企業が頭を悩ませる課題だが、「Spider AF」では不正CVの検知が可能であるため、「不正転売ヤーの撲滅」にも効果を発揮するという。

 加隈氏によると、現在の不正転売では、いわゆる“転売ヤー”が組織的に初回購入商品を仕入れ、それを定価で販売することで利益を生んでいるケースが多い。具体的なフローは、まず不正転売業者が副業希望者を雇用し、各ショップにおいて初回購入価格で商品を大量に購入させる。雇われた購入者は商品が手元に届くと、それを業者に送付。その後、業者はショップを立ち上げ、それらの商品を定価で販売し、利ザヤを儲けるという仕組みだ。

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 同社では、その実態を把握するため、副業希望者として転売ヤーとやり取りしたことがあった。転売ヤーからは50~60の購入リストが送られ、1リスト分を購入するごとに500円が支払われるシステムだったという。また、転売ヤーが狙い目の商品をまとめたリスト自体も、業界内で販売されていることがわかったと加隈氏。

 ここで問題なのは、商品の販売事業者が「一般客なのか転売ヤーなのか見分けがつかない」ことにある。しかし、この問題も「Spider AF」を使えば解決できるという。「Spider AF」は導入企業間における同一期間の購入(買い回り)の検知が可能。ここから、不正転売特有の通常では起こり得ない購買行動を検知するのだ。

 導入企業はLP/サンクスページにタグを設置すれば、不正な注文を自動で解析でき、不正注文状況も「アドフラウド」と共通のダッシュボードでリアルタイムに可視化できる。

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 「検知されたユーザーは即時反映されるため、商品の発送を前もって止められ、配送費用の削減につながるほか、本来のCV率、正しいパフォーマンスが見ていただけることになります。解析に関しては個人情報を使用していないため、プライバシー問題もクリアできます」(加隈氏)

 不正転売に関しても同社では無料診断を行っているという。アドフラウドも含め、国内の被害実態を鑑みれば、自社の状況を把握する価値は大いにあるだろう。

Web広告の成果を最大化するアドフラウド対策ツール「Spider AF」

 お使いの広告費の40%がムダになっている可能性があります。売上を最大化させるには、ムダな広告費を削減することが必須です。

 本記事で興味を持たれた方はSpider Labs公式サイトからお問い合わせください。

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この記事の著者

太田 祐一(オオタ ユウイチ)

 日本大学芸術学部放送学科を中退後、脚本家を目指すも挫折。その後、住宅関係、金属関係の業界紙での新聞記者を経て、コロナ禍の2020年にフリーライターとして独立。現在は、IT関係を中心に様々な媒体で取材・記事執筆活動を行っています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社Spider Labs

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/17 10:00 https://markezine.jp/article/detail/47048