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短尺動画など、「流行の兆し」見つけるには?Spotifyを活用した、音楽・音声のマーケティング活用

 音楽や音声コンテンツのマーケティング活用への注目は高まっているものの、どのように活用したらいいのか、ノウハウはまだ広まっていないかもしれません。本記事では、音楽ジャーナリストの柴那典(しば・とものり)氏、Spotify Japanの立石ジョー氏に、昨今の音楽や音声コンテンツの潮流からマーケティング活用事例まで伺いました。

2024年に流行った音楽から見る、昨今の音楽におけるヒットの法則

──今回は音楽・音声コンテンツの潮流と自己紹介をお願いします。

柴:音楽雑誌の編集者としてキャリアをスタートし、20年ほどフリーランスの編集者・ライターをしています。現在は音楽ジャーナリストとして、音楽を中心に、音楽と社会がどう関わっているのかを取材しています。

立石:私は2022年8月にSpotifyに入社しました。それまではセールスやマーケティング、デジタル領域でのキャリアを積んできました。Spotifyのヘビーユーザーだったので、日本でもさらにSpotifyが広告ビジネスを含めて拡大していくことを期待してジョインしました。

──最近の音楽の潮流を教えてください。

柴:世代を超えて知られる国民的なヒット曲が出ていることです。2023年はYOASOBIの「アイドル」2024年はCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」などが挙げられます。それらから、ヒット曲の生まれ方や広がり方の共通点が見えてきました。一つは、アニメの主題歌であることで、もう一つはTikTokをはじめとするショート動画で踊ってみたや歌ってみたといったUGCで広まることです。

音楽ジャーナリスト 柴 那典氏
音楽ジャーナリスト 柴 那典氏

柴:一方で、インターネットを介した音楽配信であるストリーミングが主流になって以降、多様化も加速しています。最近は「界隈」という言葉が使われるようになり、ジャンルごとに界隈での盛り上がりがあります。

 米国での例を挙げると、シンガー・ソングライターGIGI PEREZ(ジジ・ペレス)の「Sailor Song」という曲があります。この曲が米国のTikTokで、BGMとして急速に使われ、ビルボードのトップ100に入りました。興味深いのは、Spotifyのバイラルチャートを見ていると、この曲が同時期に日本に波及していたのがわかることです。

Spotifyのバイラルチャートでわかるトレンド

──Spotifyでの流行りと、世の中の音楽の流行りに違いはありますか。

柴:Spotifyのバイラルチャートは、こっちのけんとの「はいよろこんで」のように、何らかのタイアップやプロモーションではなく、TikTokやYouTubeで火がついたものが先んじて上がってくる傾向にあります。このようにSpotifyのバイラルチャートでは、流行り始めの曲をいち早く発見できる点が違いであり特徴だと思います。

立石:バイラルチャートはSNSでの話題性やリスニングデータの急上昇率などを元にSpotifyが独自に指標化したランキングなのですが、SNS上のバズが反映されることも多いです。また、日本の楽曲が海外のバイラルチャートにランクインし、そこから各国のエディトリアルプレイリストに収録されるなど、世界的なヒットにつながっていく事例もあるのです。

Spotify Japan上級執行役員 広告事業部統括 立石 ジョー氏
Spotify Japan上級執行役員 広告事業部統括 立石 ジョー氏

柴:著名な例を挙げると、藤井風さんの「死ぬのがいいわ」がありますよね。タイのTikTokから人気が広がり、東南アジアでブレイクしたのがバイラルチャートで可視化されていました。

立石:トレンドがわかるという点ではSpotifyで毎年1月、その年の飛躍が期待される注目アーティスト10組を選出する「RADAR: Early Noise」というプログラムがあります。今では国民的な人気を誇る、藤井 風さんやVaundyさん、あいみょんさんも過去に選出されていました。

──柴さんが2016年に出版された本『ヒットの崩壊』(講談社)で「Spotify日本上陸は何を変えるのか」について書かれていましたが、当時の予測を振り返ってみて今どのようにお考えでしょうか。

柴:当時は世界的にCDの役目が終わりつつあり、海外ではすでにストリーミングが広がっていました。日本もSpotifyを始め各種ストリーミングサービスが出そろい、アーティストが楽曲を解禁したら、音楽業界の構造が変わるだろうと思っていました。なので当時の音楽不況は、ストリーミングの浸透によりみんなが音楽をよりたくさん聴くようになるだろうと予測していました。実際その通りになり、微増ですが音楽市場全体が上向き傾向になっています。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/12/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47087

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