購入後もサイトを訪問したくなる、CXの作り方
次にTSIでWebサイトの体験改善を担当する嘉手川氏が、KARTEによるWeb接客施策を紹介した。
TSIではKARTEの活用を通じて「ユーザーが商品を購入後もWebサイトを訪問したくなるコミュニケーション」を目指しているという。
たとえば、商品閲覧データを活用したレコメンドメッセージを配信。また、購入後には購入した商品情報を用いて、関連するコーディネートをKARTEでポップアップ表示させるなど、購入後も興味を持ってもらえる情報を発信している。
他にもWebサイトではユーザーが思わず買いたくなるさまざまな工夫が行われている。お気に入り登録情報を利用した施策では、KARTEで取得しているユーザーの商品情報を活用し、各商品がどれだけのユーザーにお気に入りされているか、その総数を表示。「一目で人気の商品であると伝えることが可能となり、一定の成果を上げた」と嘉手川氏は話した。
また、ユーザーのカート情報を利用した施策では、再訪問時にユーザーに「以前カートに追加したが購入しなかった商品」についてお知らせした。この結果、購入リフトアップ率が85.2%増加するなど、ユーザーの欲しかった商品の告知に成功している。
「紹介した事例以外にも、さまざまな施策を次々と実施し検証してきた」と嘉手川氏。約5ヵ月で25本の施策を提案し、効果に合わせて継続の有無、表示内容の調整、セグメントの調整を行ってきたという。これだけの施策が行えたのも、大脇氏が話していた手厚いサポート体制やわかりやすい管理画面があってこそといえる。
複数ブランドを持つ企業のデータ活用に必要なこと
続けて、嘉手川氏はブランド横断での取り組みについても触れた。
KARTEを導入した当初、多くのブランドを持つTSIでは2つの課題があった。1つ目の課題は、ブランドごとにWebサイトの管理者がいるため、KARTEに関する理解度が人によって異なっていたこと。これにより、実施される施策の本数にブランド間で差が生じていた。
2つ目の課題は、実施される施策のほとんどがポップアップ表示に偏っており、その表示数も多かったことでユーザー体験を損ない、接客が最適化されていなかったこと。これも、KARTEに対する理解が進んでいないことが原因で起きていた。
そこで嘉手川氏は、KARTEの理解浸透を目的とした施策を3つの段階に分けて進めていったという。
「まずKARTEを導入している8サイトの施策から上手くいったものを資料化し、他サイトの担当者に共有しました。次の段階で行ったのは、プレイドさん協力のもと実施した隔週での定例ミーティングです。これにより、課題に対してKARTEでできること、疑問を解消しました。そして、最終段階では、ハンズオン形式でKARTEの施策設計を行う社内勉強会を開催しました」(嘉手川氏)
これらの施策により各サイトの新規施策実施のハードルが下がり、施策の本数は前年同月比で3倍に増加したという。
片岡氏はここまで紹介した事例を踏まえ、今後の展望を以下のように語った。
「我々は現在、チャネルやツールごとに打っていた施策を統合し、一貫性のある顧客体験を生み出すという取り組みを行っています。Treasure Data CDPとKARTEの機能を上手く組み合わせて、お客様に軸足を置いたアプローチをしていきたいです」(片岡氏)