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MarkeZine Day 2025 Spring

人気が絶えない丸亀製麺の成長を支える、感性×データサイエンスのマーケティングとは

 2024年9月のMarkeZine Day 2024 Autumnに丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長の南雲克明氏が登壇した。本記事では、登壇セッションの中から、丸亀製麺の成長を支えているマーケティング戦略と史上最大級のヒット商品となった「丸亀うどーなつ」の事例をお届けする。

持続的に事業を成長させる「4つの力」

 讃岐うどん専門店「丸亀製麺」を擁するトリドールホールディングスは、28の国と地域で1,988店舗(※2024年6月時点)を展開するグローバルな飲食企業だ。同ホールディングスの執行役員CMOおよび、丸亀製麺マーケティング本部長を務める南雲 克明氏は、丸亀製麺が掲げるマーケティングの役割について次のように解説する。

株式会社トリドールホールディングス 執行役員 CMO 兼 KANDOコミュニケーション本部長/株式会社丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長 南雲 克明氏
株式会社トリドールホールディングス 執行役員 CMO 兼 KANDOコミュニケーション本部長/株式会社丸亀製麺 取締役 マーケティング本部長 南雲 克明氏

 「当社のマーケティングには、3つの役割があります。まず1つ目は、成果を出し続けること。2つ目はミッション、もしくはパーパスを果たし続けること。そして3つ目が共感できる未来の画を描き、全社を巻き込んで推進することになります」

 そして、持続的に事業を成長させるために必要な力として、「顧客を創造している『価値の本質(源泉)』の深い理解」「市場・消費者を理解する力」「創る力」「伝える力」の4つを挙げた。

 1つ目の「顧客を創造している『価値の本質(源泉)』の深い理解」について南雲氏は、「市場や顧客理解が進んでいる一方で、自社の価値の本質を見落としてしまっているケースが多い」と指摘する。2つ目にある市場・消費者の理解は当然必要だが、自社の深い理解がないと顧客により良い価値を提供することができないのだ。

 3つ目の創る力はブランド戦略や店舗空間、商品・サービスを通じて新たな体験を生み出すことを、4つ目の伝える力は広告などのコミュニケーションと店舗体験、店舗外体験(イベントやアプリなど)を洗練させていくことを指している。南雲氏は「この2つが顧客体験価値をつくる」と語った。

 そして、この4つが揃うことで構造的優位の構築が実現でき、他社から容易に真似されず「同じ市場への参入は難しい」と思わせることにつながるという。この4つを時代に合わせて進化させ続けることが丸亀製麺のマーケティング戦略の土台となっている。

「KANDO(感動)ドリブン」と「二律両立」が持続的な成長をつくる

 次に、南雲氏が丸亀製麺のビジネスで最も大切にしているキーワードとして挙げたのがKANDO(感動)ドリブンだ。

 「丸亀製麺では、KANDO(感動)こそがお客様を創造する根源価値になります。そのため、丸亀製麺におけるすべての思考や行動は、KANDO(感動)を創造するために存在しているのです。もちろん、利益を上げる必要はありますが、経済効率のためにKANDO(感動)を犠牲にするようなことはありません

 そして、丸亀製麺が大切にしているもう1つのキーワードがある。それは「二律両立」だ。通常、ビジネスでは二律背反となる要素をトレードオフさせるものだが、常識を超えた非合理性の強さを信じて追求することが、独自の市場創造につながると南雲氏は主張する。

 「われわれはKANDO(感動)の創造を意思決定の中心に置き、矛盾するものごとの両立を図りながら、感性とデータサイエンスを駆使して持続的に成長し続ける。これこそが、丸亀製麺の『KANDO(感動)ドリブンマーケティング』だといえます」

次のページ
感動を起点に、「選ばれる必然」と「新たな市場」を創造する

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/17 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47091

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