SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

愛されるブランドの仕組み:ブランド・リレーションシップ入門講座

ブランドと顧客の絆を強めるには「自分らしさ訴求」と「寄り添い重視」どちらが効果的か?【第5回】

 青山学院大学教授 久保田進彦氏が15年かけて研究した、ブランドと顧客の絆「ブランド・リレーションシップ」を解説する本連載。第5回は、ブランド・リレーションシップの形成メカニズムを探ります。「小道具」として自分らしさを表現する関係と、「パートナー」としてユーザーに寄り添う関係、どちらがよりブランド・リレーションシップの形成に貢献するのか。約4,000名の消費者データから見えてきた意外な事実を解き明かします。

「小道具」としてのブランドと「パートナー」としてのブランド

 ブランド・リレーションシップ入門講座の第5回です。前回の「従来のマーケで得られない3大効果!ブランド・リレーションシップをSNS時代に重視すべき理由【第4回】」では、ブランド・リレーションシップの効果について説明しました。今回はブランド・リレーションシップの形成要因について考えていきます。ブランド・リレーションシップはどのようにして形成されるかが、今回のテーマです。

画像を説明するテキストなくても可
【図1】第5回では、どのようにして絆が形成されるのか?その要因を探る

 第2回で、「小道具」としてのブランドと「パートナー(相棒)」としてのブランドについて説明をしました。ブランド・リレーションシップの形成について検討するには、これらが鍵となります。そこでまず、第2回の振り返りをします。

 第2回では、三菱自動車のモーター・スポーツ・ブランドである「ラリーアート」に強く惹かれている方と、「ペヤング ソースやきそば」の熱烈なファンの方の事例を紹介しました。

 これら2つの比較から、(1)ブランドは好ましい自己を創り出したり、現実の自己を確認したり、あるいはそうしたイメージを表現するための「小道具」として機能することもあれば、(2)自分のことを理解してくれ、ときには心の支えになる「パートナー」として機能することがわかりました。英語で小道具のことを「props(propertiesの略)」ということから、前者のようなブランドは「プロパティー型ブランド」ということができ、また後者のようなブランドは「パートナー型ブランド」ということができます。

 ブランド・リレーションシップにプロパティー型(小道具型)とパートナー型(相棒型)があるならば、そこで展開される関係の内容も大きく異なってきます。実務的には、それぞれに対して異なる打ち手があるはずです。

形成メカニズムがわかる「プロパティー・パートナー・モデル」とは?

 こうした考えに基づき、私は「ブランド・リレーションシップのプロパティー・パートナー・モデル」を開発しました(久保田, 2017)。

 このモデルは、ブランド・リレーションシップの形成メカニズムを、(1)人は自分らしさを実感したり、表現したりする小道具としてブランドを活用するために、自己とブランドの間に結びつきを形成することもあれば、(2)そのブランドのことを、心の支えとなってくれるパートナーのように認識することで、自己とブランドの間に結びつきを形成することもある、という2つの視点から説明するものです。

 プロパティー・パートナー・モデルには、最も基本なメカニズムを示す「コアモデル」と、コアモデルにいくつかの変数を追加した「フルモデル」の2種類があります(久保田, 2024)。今回は、前者について説明していきます。

次のページ
「プロパティー・パートナー・モデル」3つの形成要因

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
愛されるブランドの仕組み:ブランド・リレーションシップ入門講座連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

久保田 進彦(クボタ ユキヒコ)

青山学院大学 経営学部教授、博士(商学)(早稲田大学)。日本商業学会学会賞受賞(2007年論文部門 優秀論文賞、2013年著作部門 奨励賞)、公益財団法人吉田秀雄記念事業財団助成研究吉田秀雄賞受賞(2010年度、2016年度)。最新作は『ブランド・リレーションシップ』(有斐閣)他著書多数。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2024/12/20 07:30 https://markezine.jp/article/detail/47372

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング