アイスタイルが運営するコスメ・化粧品・美容の総合情報サイト「@cosme」は、2024年12月5日に「@cosmeベストアワード」の表彰を行い、合わせて2025年上半期のトレンド予測を発表した。
同アワードは、@cosmeに寄せられた口コミ投稿をべースに生活者に支持される商品を表彰するもので、2000年より毎年発表している。
物価高の中、ベースメイク商品が市場をけん引
表彰式の冒頭では、同社 代表取締役社長 COOの遠藤宗氏が登壇。2024年は物価高の中ではありながら日本の化粧品市場は活気があり、特にベースメイク商品が市場をけん引したという動向を紹介した。
「消費者の口コミなどを見ていると、2024年は『打倒・暑さ消費』がキーワードとなっています。暑さの中で化粧崩れや日焼けへの対策ができるアイテムと、美容効果の高いベースメイクへの注目が表れています」(遠藤氏)
リピート率約35%!総合大賞はアテニア「スキンクリア クレンズ オイル アロマタイプ」
まず、総合大賞に選ばれたのはアテニア「スキンクリア クレンズ オイル アロマタイプ」。国産・中価格帯ブランドであるアテニアのクレンジングオイル商品となり、2024年上半期に続いて年間でも総合大賞を受賞した。クレンジングオイルが年間のベストコスメアワードで同賞を受賞するのは初となる。
同商品は累計販売本数2,200万本を突破しており、リピート率は約35%に。中価格帯でありながらメイク落ちの良さや肌負担の少なさといった機能性に加え、詰め替え不要なエコパックがラインアップされていることも、リピーター獲得の要因となった。
アテニア 代表取締役社長の保坂嘉久氏は、「当社では大型のプロモーションを行っていないのでブランド認知の低さは課題でしたが、お客様のリアルな口コミから人気が広がったことを嬉しく思います。今後も高品質ながら中価格帯で提供をすることで、コスパに対してシビアな目を向ける消費者のニーズに応えていきたい」とコメントした。
「面倒界隈を救済するアイテム」に今後も注目
次に、@cosmeのリサーチプランナーとして分析を担当する原田彩子氏と西原羽衣子氏から、2024年のトレンドや消費者傾向の解説が行われた。
特筆すべき点として、両氏は同年の新作コスメが年間トップ10に多く入ったことや、韓国コスメが初めてランクインしたことを挙げた。一方で物価高騰の影響も見られ、たとえばスキンケア商品では総合10位に高価格帯商品が複数入った2023年と比べ、2024年はすべて中価格帯商品となっている。
そんな中、消費者が2024年にお金をかけたのはベースメイクだ。2024年の総合部門トップ10のうち、半数を占める5アイテムがベースメイクとなった。@cosmeのアンケート調査によれば、若年層ほどその傾向が強く、限られた可処分所得をベースメイクに充てたいと考えた人が多かった。加えて、ベースメイク内のアイテムの種類ごとに見ると、10種中9種で高価格帯商品が1位になった。
背景として挙げられたのは、遠藤氏も述べた「暑さ対策」だ。これまでは化粧崩れしないようにしっかりメイクを行っていたが、昨今の夏の暑さの中で消費者に「化粧はどうせ崩れるもの」という発想が根付き、ファンデーションなどをはじめから薄付けで使うように。さらに、肌が過酷な状況に置かれる中ダメージ軽減やリカバリーのニーズが高まり、スキンケア商品にお金を払うようになったという。
加えて、2024年のトレンドとなった、お風呂やシャワーを面倒と感じキャンセルする「風呂キャンセル界隈」の影響も解説。@cosmeの口コミでも「ズボラ民」というワードの出現率が昨対1.4倍、3年前と比べると5.1倍にまで増えた。
このトレンドは化粧品にとどまらず、こすらず汚れを落とせるトイレ洗剤や洗濯物を「詰め込み洗いしてもOK」と謳った洗剤などがヒットしており、「面倒くさい」と感じる作業や時間を短縮できる「面倒界隈を救済するアイテム」に今後も注目が集まると見られる。また総合大賞のアテニア「スキンクリア クレンズ オイル アロマタイプ」も、このニーズに応える「詰め替え不要エコパック」の売り上げを大きく伸長させた。
「じゃら×2チャームコスメ」や「貼るコスメ」……2025年上半期に注目の、6つのトレンド
続いて、「@cosmeトレンド予測部」による2025年上半期のトレンド予測が発表された。同組織は、リサーチプランナーや美容スペシャリストなどで構成された分析チームで、売り上げ動向や口コミ、その他関連データから消費者意識の変化および美容トレンドの予測を行っている。
発表会では、原田氏および@cosme TOKYO マネージャー 中原絢子氏、@cosmeの韓国姉妹サイト「GLOWPICK」を運営するGlowdayzの代表取締役社長 コン ジュンシク氏から、6つのトレンドが提示された。
1つ目は、「#気まぐれ天気プチ直し」だ。暑さやゲリラ豪雨、線状降水帯など気まぐれな天気が常態化する中で外出機会も増え、化粧やヘアスタイリングの「サクッとお直し」需要が高まると考えられる。アンケート調査では、2024年は秋でも化粧直しの機会が「減った」と答えた人が例年と比べ減少し、夏と変わらない割合だった。
2つ目は、「じゃら×2チャームコスメ」で、鞄に幾つもキーホルダーやストラップなどをぶら下げる平成時代に流行った「じゃら×2」文化が再燃している。若年層だけでなく、当時現役で楽しんでいた大人層も鞄にデコレーションをしてオリジナリティを出している。コスメにもこのトレンドが出ており、「チャームにできるコスメ」が増加中だ。若年層の約30%が「かわいいコスメをぶら下げるのが素敵」と回答している他、日本だけでなく韓国でも同じトレンドが見られる。
3つ目は「貼るコスメ」となり、韓国で再燃している「デコブーム」がコスメにも波及。ニキビパッチやフェイスステッカーで顔をデコレーションする「ノーズブリッジメイク」などが注目を浴びている。デザイン性を重視したニキビパッチのスキンケアをはじめ、眉毛シール・貼るつけまつげ・耳つぼシールなど幅広い貼るアイテムが登場した。Googleの検索ボリュームもピアスシール/フェイスシールといったワードが上昇中となり、国内でも資生堂が参入して早くも高評価を得ている。
4つ目は「ぷるんリップ界隈」で、“ぽってりぷるんとした唇”がリップのネクストトレンドに。「痛いコスメ」人気も背景にプランパーへの注目が高まり、@cosmeの商品登録数は2.6倍、口コミ件数も1.4倍に増加した。2024年の秋には国内大手ブランドが相次いで「ふっくらした唇」を叶える唇美容液を発売。若年層だけでなく大人世代にも、エイジングケアの一つとして関心が集まっている。
5つ目は「血色感リンクメイク」。これは、リップとチークを同色でリンクさせて仕上げ「自然な血色感」を演出するスタイルだ。若年層の約45%が「リップとチークの色を合わせたい」と回答しており、2024年秋の新作コスメでも外資ブランドからリップ・チーク両方に使えるアイテムが相次いで発売された。
6つ目は「おうちで韓流肌管理」に。韓国に行って美容施術を受診する人が増加する中、在宅で「まるで韓国に渡って美容ケアをしたような気持ち」になれる韓国発の美容やそれを連想させるコスメへの注目度がアップしている。
【「@cosme ベストコスメアワード 2024」概要】
集計対象期間:2023年11月1日(水)~2024年10月31日(木)
集計対象口コミ件数:1,443,189件
集計対象アイテム数:52,822アイテム
※化粧品・医薬部外品・化粧小物・美容器具・美容家電・日用品・飲料として販売されているものを対象とする
【アンケート調査概要】
調査方法:アンケート方式
調査対象:@cosmeプロデュースメンバー(女性、15~69歳)
有効回答数:7,086人
調査元:アイスタイル
調査期間:2024年11月18日(月)~11月19日(火)
【関連記事】
・「@cosme」を運営するアイスタイルとNODE、データを活用したコスメブランド支援拡大に向け協働
・約65%が多様性を感じられる広告モデルの起用に好感/購買意思とはギャップも【@cosme調査】
・約7割が美容医療・整形の意向あり/肌悩みの最多回答は「シミ・そばかす・にきび跡」【@cosme調査】
・化粧品購入前の試用ニーズは9割/二次流通での購入理由上位に「試し買い」【@cosme、メルカリ調査】
・アイスタイル、中国の短尺動画プラットフォーム「抖音」に「@cosme海外旗艦店」をオープン