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消費者のニーズを深掘り!N1分析を軸にした「ニーズ・ファインディング・メソッド」とは【お薦めの書籍】

 あらゆる商品のコモディティ化が進む現在、消費者が求めているものを正しく捉え、商品・サービスの開発を行うことがより一層求められています。しかし、無意識下に眠っている消費者ニーズを引き出すことは容易なことではなく、競合他社との差別化に頭を悩ませるマーケターは多くいることでしょう。今回は、2万人以上に消費者調査を実施してきたイー・クオーレで代表取締役の犬飼江梨子氏が、「消費者が抱える本質的なニーズを見つける五つのステップ」を解説した本を紹介します。

消費者の「本質的なニーズ」を把握するには?

 今回紹介する書籍は『「消費者ニーズの解像度」を高める』。著者は、イー・クオーレで代表取締役を務める犬飼江梨子氏です。

 犬飼氏は、2013年にイー・クオーレを創業して以来、20年間で500以上の調査を受託。2万人以上の消費者にインタビューを行ってきました。膨大な質的データのビジュアル化を得意としており、消費者心理分析の専門家として活動しています。

「消費者ニーズの解像度」を高める
犬飼江梨子(著)、フォレスト出版 2,420円(税込)

 現代では供給過多、技術の高度化などにより引き起こされる、あらゆる商品・サービスの「コモディティ化」は、もはや避けられない課題です。そのため消費者ニーズを正しく把握すること、それを反映した商品開発を行い、競合他社との差別化を図ることが企業には常に求められています。

 しかし、たとえ消費者調査を行っていても、消費者が無意識化で抱えるニーズまで発見できている企業は多くないと犬飼氏は語ります。

 本書では、2万人以上に消費者調査を実施してきた犬飼氏が、消費者が抱える「本質的なニーズ」を把握する方法を解説。消費者から支持される商品・サービスの開発につながる消費者調査のヒントを共有しています。

本質的なニーズを捉える「ニーズ・ファインディング・メソッド」

 本書で犬飼氏は、N1分析を中心に設計された「ニーズ・ファインディング・メソッド」を提唱しています。同メソッドを犬飼氏は、「顧客の未充足ニーズを深掘りし、それを視覚的にわかりやすく分析して、売れるコンセプトに落とし込むための方法論」であると解説。

 具体的には、「デプスインサイトクエスチョン」「4セグメント・ブラッシュアップ」「ニーズヴィジュアライズ」「ニーズ・フォーカス・コンセプトメイク」「販売期待値シミュレート」の5ステップに分けて実行することで、消費者の“本質的なニーズ”を捉えるのだと語っています。

 たとえば三つ目のステップ「ニーズヴィジュアライズ」では、自社商品のベネフィットを視覚化し、“商品価値構造マップ”を作成するという手法。これにより、競合他社と差別化された自社商品のUSPを発見することができるようになるのだと言います。

 同書では、各ステップで行うべきことを理論から実践方法まで細かく解説。従来のリサーチでは捉えきれなかった消費者の本質的なニーズを発見するための手法を、順を追って説明しています。

消費者ニーズを把握する時は、定性調査を活用すべし

 調査分析は一般的に「定量分析」と「定性分析」に大別されますが、その使い分け方についてわかりやすく紹介されているのも本書の嬉しいポイントです。たとえば、この二つの手法は、「顧客の理解度」と、「自社が抱えている課題」に合わせて行う必要があると説明しています。

検証したいニーズと打ち手が明確に言語化されている場合は、「定量調査」を行います。(中略)まだ顧客のニーズを捉えきれていない、どのようなコンセプト・コミュニケーションで展開すべきか仮説が立てられない場合は「定性調査」を行います。(p.54)

 つまり、まだ把握しきれていない消費者ニーズを調査する場合、定性調査で消費者が生活文脈の中で感じている不満や課題を直接聞き出すことが重要であると語っているのです。

 このように本書では、売れる商品コンセプトをつくるための、適切な消費者調査の行い方を解説。最新の消費者心理や行動の傾向から、「ニーズ・ファインディング・メソッド」の活用方法まで丁寧に解説しています。

 消費者ニーズやターゲット像がおおまかにしか見えていない、具体的に説明できないという方、消費者のニーズを正しく把握して他社との差別化を図りたいと考える方にお薦めの書籍です。

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この記事の著者

土屋 典正(編集部)(ツチヤ ノリマサ)

法政大学法学部を卒業。新卒で人材派遣の会社にて営業職を経験し、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。

 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/12/12 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47763

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