名城大学との共同プロジェクトも実施
──大学生のインサイトや金融消費行動を把握するために、御社ではどのような取り組みを行っていますか?
定期的に定量調査やインタビューを実施しています。最近は名城大学のプロモ研究会とタッグを組み、大学生の認知度を上げるための効果的なプロモーションを一緒に模索しているところです。プロモ研究会の学生は複数チームに分かれて、各チームが考えた企画を週に1度の定例会で講評する流れです。
──大学生のインサイトや金融消費行動を踏まえて、サービス面で工夫していることはありますか?
Visaと共同で開発したフレキシブルペイ機能を世界で初めて採用するなど、商品の独自性・革新性の向上には社として力を入れています。先ほど紹介した入会動機からもわかるように、新しく便利な機能の受容性が最も高いのは若者です。大学生に向けてサービスを工夫しているわけではありませんが、当社の志向が大学生の価値観にマッチしているため、今後も軸がぶれることのないよう突き進みます。
ストーリー性重視のショートドラマが奏功
──直近で大学生向けに行ったプロモーションがあれば教えてください。
数年前から「学パ(学生生活のパフォーマンス)」やタイパをキーワードに、大学生向けのプロモーションを続けています。過去にはZ世代に人気のYouTuberを起用し、オリジナルソング「学パあげてこ」を使ったキャンペーンを実施しました。
2024年はZ世代に人気の映像制作チーム「こねこフィルム」とコラボし、オリジナルの縦型ショートドラマを制作しました。セブン-イレブンでスマホのタッチ決済を利用すると、Vポイントが最大10%還元されることをPRする内容など、三井住友カード(NL)の特徴を正直すぎる登場人物たちがコミカルに紹介しています。
また、映画『カメラを止めるな!』で知られる上田慎一郎監督に、縦型ショートドラマ『忙しすぎる人』を制作していただきました。日々時間に追われる娘と、不器用な父が過ごす一夜を描いた作品です。出演者がスマホのタッチ決済を利用するシーンは出てきますが、ドラマの中心は父と娘の交流にあります。
いずれの動画も当社の公式SNSアカウント(TikTok、Instagram、X、Facebook)で公開しました。
──大学生向けのコミュニケーションを実施するにあたり、意識されていることを教えてください。
よく使われているメディアや「縦型」「ショート」などフォーマットの選定はもちろん、コンテンツ面では思わずシェアしたくなるストーリー性や、ツッコミを入れたくなるポイントを意識しています。若者には露骨な広告表現が敬遠されがちな一方で、良いコンテンツは広告であっても自然と広まり、多くの方に見ていただけるためです。
実際、先に挙げた2つの動画の自然再生数やエンゲージメント数は想定を上回る数値でした。動画公開後の申し込み数の推移も見てはいますが、どちらかというとコメント欄に数多く寄せられた共感の声などを重視しています。
ショートドラマのほかには、関西学院大学の学園祭に協賛し、模擬店でOliveのタッチ決済を促すキャンペーンを実施しました。各大学における地道なキャンペーンと、良質なコンテンツを介したコミュニケーションを組み合わせながら大学生にアプローチしています。
