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『MarkeZine』(雑誌)

第110号(2025年2月号)
特集「イマドキの中高生・大学生のインサイトを探る」

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【特集】イマドキの中高生・大学生のインサイトを探る

XYZ世代に続き、来たるα世代。50年スパンの世代交代でマーケティングに起こる変化

 Z世代に続く、2010~2024年生まれのα世代。「消費者」として具体的に意識できているマーケターは、まだ少数なのではないだろうか。産業能率大学で若年層マーケティングを研究する小々馬敦教授は「Z世代同様、近いうちに世間からの注目が一気に高まるだろう」と話す。α世代にはどんな特徴があり、企業はどんな対策をすべきか、Z世代とは何が違うのか、小々馬氏に基礎から教えてもらった。

※本記事は、2025年1月刊行の『MarkeZine』(雑誌)110号に掲載したものです

α世代とは?50年スパンの大きな潮目が到来

──はじめに、α世代の定義について教えてください。

 α世代とは2010〜2024年生まれの世代を指します。2025年時点で15歳(中学3年生)以下の学生ですね。ちなみに2025年生まれからは、β世代とされています。

 このように年齢による定義や区分はあるものの、今の高校生の行動を見ていると、彼らはZ世代ではなくα世代に近いのではないかと考えています。年齢区分ではなく「おおよそ高校生以下」をα世代と捉えるべきかもしれません。

──XYZ世代からα世代、β世代と続いていきますが、先生は大きな潮目はどこにあると考えますか?

 「XYZ」でおよそ50年、α世代からは次の半世紀のスタートだと考えています。α世代においては、ネットやSNSの利用に加え、オンラインゲームやAIが幼少期から生活の中に組み込まれています。特にAIの影響は大きく、ここがXYZ世代との一番の違いと言えるでしょう。

産業能率大学 経営学部 教授産業能率大学大学院 総合マネジメント研究科 教授 株式会社ブランドエンジニアリング 代表取締役 小々馬 敦氏 グローバルアドエージェンシーやブランドコンサルティング企業にて、多様な業界における無形資産価値経営、事業ポートフォリオ戦略、マーケティング、広報戦略を支援。大学研究室の産学連携研究では、X・Y・Z・α世代の価値観と購買行動の調査を通して次世代マーケティングの進化を洞察し報告する「ミライ・マーケティング研究会」を日本マーケティング協会と共催。
産業能率大学 経営学部 教授産業能率大学大学院 総合マネジメント研究科 教授
株式会社ブランドエンジニアリング 代表取締役 小々馬 敦氏

グローバルアドエージェンシーやブランドコンサルティング企業にて、多様な業界における無形資産価値経営、事業ポートフォリオ戦略、マーケティング、広報戦略を支援。大学研究室の産学連携研究では、X・Y・Z・α世代の価値観と購買行動の調査を通して次世代マーケティングの進化を洞察し報告する「ミライ・マーケティング研究会」を日本マーケティング協会と共催。

──ここからはα世代の実態について具体的に教えてください。まず、α世代はどのようなメディアを利用しているのでしょうか?

 学校で支給される学習用タブレットはもちろん、小学生以下は親と共有アカウントのスマホ、中学生以上は自分のスマホ、YouTube閲覧用のタブレット、テレビ、オンライン型ゲーム機など、複数のデジタルデバイスを生活の中で使いこなしています。スマホで完結しがちなZ世代とは大きく異なりますね。

 なお、コロナ禍で学校生活を送っていたこともあり、α世代はオンラインで友達とつながることに抵抗がありません。学校の友人ともリアルで会うだけでなく、帰宅したら「オンラインゲーム上で集まって遊ぶ」というような文化が当たり前になっているようです。

──そこまで従来の世代と取り巻く環境が違うと、価値観の違いも大きくなりそうです。

 それが案外、Z世代ほど「異端な世代」には映らないだろうと予想しています。まずα世代の親は多くがミレニアル世代で、元々デジタルリテラシーは高い傾向にあります。YouTubeアカウントを親子で共有し、同じコンテンツを見る機会が多いこともあり、α世代とその親世代は価値観が似ているのです。α世代は話しっぷりも概して大人っぽい印象があります。

 また、複数デバイスで様々なコンテンツに触れているα世代は、Z世代以上に「好きなこと」や「やりたいこと」をたくさん見つけます。しかし、すべてをやってみるには時間が足りません。ここでいわゆる「タイパ」の概念が出てくるのですが、Z世代の言う「タイパ」とは様子が異なるのです。

 いうのも、α世代は手っ取り早く答えを探しに行く傾向が強く、答えが見つからないことは諦めて、足早に次の話題にどんどん移行していきます。Z世代の場合は、1つのことに時間を多く取られたくないから「動画を2倍速で見る」「マルチタスクでこなす」といった行動をします。α世代の「手っ取り早く答えを求める」というタイパとは実態が異なることがわかります。

──α世代は答えを見つけるために、AIも積極活用しているのでしょうか?

 もちろんです。自分のことをよく知っているAIに質問し、AIから得られた答えをすんなり受け入れます。これは現在研究中ですが、「自分にとっての正解」ではなく、「みんなにとっての正解」を求める傾向も見られます。インクルージョンやダイバーシティといった「みんなにとってよりよいこと」を考える教育が土台になっている影響かもしれませんね。世間の声を集約しているAIの回答は、中庸的なものが多いです。α世代はそんなAIの回答を自然に受け入れて、すぐ行動に移していく傾向があると言えるでしょう。

 なお、α世代は中庸的な考え方を持つ一方で、答えを出さずに議論を終えることを嫌います。「正解は1つではない」と言われ続け、多様性を尊重し、ディスカッションで答えを出すことを避けがちなZ世代とは真逆ですね。

 要因としてはオンラインゲームの影響が強いのではないかと考えています。1つの目的に対してメンバーが一時的に集まり、成果が得られたらすぐ解散という成果志向のつながりを、α世代はゲーム上で行っています。社会課題を解決する技術や手法を考えることが学校教育で浸透しているからこそ、結論を出さずにふわっと議論を終えることが苦手なのかもしれません。

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この記事の著者

安光 あずみ(ヤスミツ アズミ)

Web広告代理店で7年間、営業や広告ディレクターを経験し、タイアップ広告の企画やLP・バナー制作等に携わる。2024年に独立し、フリーライターへ転身。企業へのインタビュー記事から、体験レポート、SEO記事まで幅広く執筆。「ぼっちのazumiさん」名義でもnoteなどで発信中。ひとり旅が趣味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/03 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47829

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