※本記事は、2025年2月刊行の『MarkeZine』(雑誌)110号に掲載したものです
【特集】イマドキの中高生・大学生のインサイトを探る
─ エンタメを楽しみ、便利な機能を活用し、相手の反応を気にする──LINEリサーチから見るZ世代・α世代
─ シーブリーズが世代を超えて中高生に愛され続けるワケ ブランド戦略の変化と不変性
─ エモーショナルなコンテンツとサービスの新規性で大学生の心を掴む三井住友カード(本記事)
クレカ保有大学生の3割が三井住友カードを利用
──まずは「Olive」がどのようなサービスなのか教えてください。
Oliveは銀行口座のほか、クレジットやデビットなどの決済、証券、保険などを1つにまとめられるモバイル総合金融サービスです。Oliveアカウントを作成すると、1枚4役のオールインワンカード「Oliveフレキシブルペイ」が発行されます。4役とはキャッシュカード、デビットカード、クレジットカード、ポイント払いを指し、SMBCのアプリでカードの支払いモードを切り替えることができます。

大手EC、通信キャリアでのWebサービス企画、デジタルマーケティング担当などを経て、2016年に三井住友銀行入行。2018年より三井住友カード兼務。グループキャッシュレス戦略に基づく商品・サービス企画開発、プロモーションなどに従事し、構想当初よりOliveのサービス企画開発プロジェクトに参画。2024年4月より現職。
──ユーザーのうち、大学生が占める割合についてもうかがいたいです。
Olive新規入会者の半数を20代以下の方が占めています。自社で実施したアンケートの結果から試算したところ、クレジットカードを持つ大学生のうち、Oliveや三井住友カードを利用する人の割合は3割であることがわかりました。
入会動機に表れる大学生の特徴
──今の大学生は「お金/金融商材」に対してどのような価値観を持っているのでしょうか? 主な決済手段やマネーリテラシーなどの実態についても教えてください。
Oliveの入会動機を聞くアンケートの結果から、大学生の特徴が見えました。30代以上では、対象のコンビニ・飲食店の利用で最大20%のポイント還元が受けられるなど、利得性の高さが入会動機の1位だったのに対し、10代・20代ではスマホで完結する点やフレキシブルペイなど、利便性を1位に挙げる方が多かったのです。
クレジット決済の利用実態に目を向けると、大学生の特徴は他の世代より利用単価が低く、利用回数が多い点にあります。ApplePayやGooglePayの利用頻度も、他の年代より高い傾向が見られました。上の世代では「クレジット決済=高額な買い物」というイメージが根強い一方で、スマホネイティブの大学生は普段からコンビニやファミレスでの少額決済をタッチ決済で済ませているようです。
歳を重ねると、口座を変えたり新しいサービスを使ったりすることが億劫になってしまい「今のもので十分」「わざわざ新しいサービスに手を出すほど困っていない」と感じる方も多いですが、大学生を含む若年世代は「便利なものは使えば良い」というフラットな視点を持っている印象です。Z世代はタイパ(時間対効果)を重視する世代とも言われていますが、金融サービスについてもクイックに支払えるスピード感やOliveの多機能性が受け入れられています。
証券の利用率は他の年代に比べると当然低いですが、想定よりも受け入れられている印象です。今すぐ利用する方が少ないため、拒否感を示されるのではないかと思っていたところ、インタビューで話をうかがうと「いずれ使うかもしれないから、最初から機能に含まれているのは便利」とおっしゃる方が多くて安心しました。