マーケターが思っているより、ブランドは認知されていない
MarkeZine:一連の調査&分析の結果、どのような収穫がありましたか?
山田:第一には、現状をしっかり定量化できたというのが大きな収穫でした。たとえばJQ CARDの認知率について、「大体何割くらいだろう」という何となくの仮説を持っていたのですが、それが見事に覆され……こんなに伝わっていなかったのか、と痛感しました。
木村:ブランド・パワー調査をすると、やはりほとんどの企業が「思っていた以上に、まだまだ認知率、特に純粋想起に伸びしろがある」とおっしゃりますね。
JQ CARDの調査結果で個人的に面白いなと思ったのは、「POPよりPODが強い」という点です。
ブランドイメージは「POP」と「POD」で分けて可視化する
・POP:そのカテゴリにおいて必ず満たすべき要素。顧客視点で言い換えると、そのカテゴリのプロダクト・サービスに対して必ず「あってほしい」と求める要素。化粧水で言えば、「安心安全」「潤いを与えてくれる」などがPOPになる。
・POD:自社ブランドの差別化ポイントになる要素。化粧水で言えば、「オーガニック処方である」「美白効果もある」「毛穴にも効く」などがPODとなる。
クレジットカードのカテゴリでは「年会費が無料」「ポイントが貯まる」といったニーズが強く、これらがPOPとなります。ただ、JQ CARDは、山田さんが先ほどお話しされていた通り、アミュプラザでのコミュニケーションに注力していたので「JQ CARD=アミュプラザでの買い物がお得になる」というPOD的なブランドイメージが非常に強かったのです。
「POPをもっと押し出していく」という新たな視点が見つかりましたし、「JQ CARDの独自性がしっかり伝わっている」という現時点での強みを見つけることもできました。
山田:調査の結果をどのように分析し、どのようにマーケティング戦略策定に繋げていったかについては、3月5~6日開催のMarekZine Dayでも詳細をご紹介する予定です。
MarkeZine:ご紹介ありがとうございます。MarekZine Dayは無料で参加いただけるので(要事前登録)、ぜひ皆さん会場にお越しください。
NPSなども見ていたが…。ブランド・パワーならではの有用性
MarkeZine:さて、ブランディングに関連する指標は、好感度やNPSなどを用いている企業が多いと思います。JQ CARDで使用していた従来の指標と比較して、ブランド・パワーはどのような点が有用だと思われましたか?
山田:認知率やNPS、好感度など色々な指標や調査手法がありますが、それらの指標を相関させて、統合的に分析するというのはなかなか難しいですよね。ステークホルダーに説明する時も、「その点については、この調査の・この数値を見てください」「その観点での分析は、また別でこちらの調査をご覧ください」と、指標がバラバラで統一されていないことに課題を感じていました。

その点、ブランド・パワーは、最終的なROIを見据えた上で、各数値を統合し一覧で状況を見ることができます。何か突飛な数値(指標)を使うわけではないのですが、これまで見ていた数字に相関性を持たせる形で、ロジカルに定量化できるようになりました。
木村:ブランド・パワーの最大のポイントは、最終的なビジネスゴールである「購入・契約=売上(利益)」に紐づけて、現在のブランドの状態を可視化することです。「ブランドイメージを強化する」などはあくまで中間目標であり、基本的には「その結果どれだけ購入・契約を増やせるか」というところまでシミュレーションを行います。
もちろん仮説の領域ではありますが、事業会社のマーケティング予算・リソースに対して、得られる結果をきちんと数値化するというのは、Brandismがポリシーとして大事にしていることでもあります。
3月18日(火)に『ブランディングの「効果検証」に特化した専門講座』を開催! BtoC、BtoBどちらのマーケターにもマッチするカリキュラムとなっています。詳細はMarkeZine AcademyのHPをご覧ください。
