思考を深めるコツ Why思考で掘り下げる
顧客が真に求める価値を掘り下げるには、「Why思考」が効果的です。しつこく繰り返し問いかけることで、深層的なニーズに気づけます。
先ほど例に挙げたドイツパンで言うと、次のようになります。
【なぜドイツパンが重要なのか?】
→日本のパン文化では、栄養バランスが偏ったパンが多く、主食としてのパンの可能性が十分に活用されていないから。
【なぜ日本のパン文化では栄養バランスが偏っているのか?】
→多くの日本のパンは、小麦粉や砂糖、油脂を多く使用し、菓子パンや惣菜パンとしての嗜好品が主流だから。
【なぜ日本ではパンが嗜好品として扱われることが多いのか?】
→米が長く主食とされており、パンは軽食やデザートの延長として広まった歴史がある。パンを「主食」としての栄養バランスや多様性に着目する文化が育ちにくかった。
【なぜドイツパンなら主食としての可能性を広げられるのか?】
→ドイツパンは、ライ麦や全粒粉を主原料とし、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で栄養価が高い。噛み応えのある食感と素朴な味わいで、少量でも満足感が得られるから。
【なぜドイツパンは日本人の食生活に役立つのか?】
→現代の日本人は忙しく、不規則な食生活や栄養の偏りが課題となっている。ドイツパンは、簡単に栄養を補給でき、満腹感を得られる主食として、健康的な食生活をサポートできる。
表面的な「美味しい」という機能的価値だけでなく、健康の土台を支える「栄養価と安心感」というニーズを引き出すことで、顧客が共感しやすく、行動につながるコンテンツになる、という仮説が得られました。このような掘り下げに役立つのがWhy思考です。
「悪魔の代理人」の思考法を取り入れるのもオススメ
「悪魔の代理人」とは、意図的に自分自身に反論したり、疑問を投げて盲点と弱点を発見したりし、より説得力のあるアイデアを導き出すための思考法です。こちらもドイツパンを例にすると下記のようになります。
【栄養価と安心感が本当に顧客にとって最優先の課題なのか?】
- 反論:必ずしも栄養価や健康を最優先にしていないかもしれない。「味が良い」「手軽」「見た目が美しい」など、直接的な満足感を求める可能性がある。
- 対策:栄養価や安心感だけでなく、「美味しさ」「新しい体験」「手軽さ」など、感情的なメリットも強調する必要がある。
【顧客は本当にこの課題を解決したいと思っているのか?】
- 反論:栄養バランスや健康は重要だが、「解決すべき課題」と思っていない可能性があるし、既に別の食品やサプリで対応しているかもしれない。
- 対策:「健康」だけでなく、「ドイツパンを食べることで得られる楽しさや満足感」を前面に出す。「新しい味わいや異国文化の体験」という要素を加える。
【顧客はそのためにコストを払う価値があると思っているのか?】
- 反論:一般的な日本のパンより価格が高い場合、「そこまでお金を払う理由はあるのか?」と疑問に思う可能性がある。
- 対策:少量で満足感が得られ、結果的にコスパが良いという視点を提示する。
- 特典:「送料無料」「初回限定割引」などのお得感を加える。
【ドイツパンによって発生する新たな負担やリスクはないか?】
- 反論:初めての味や食感に慣れず、「美味しくない」「扱いが難しい」と感じるリスクがある。(ライ麦パンの酸味や、硬めの食感が日本人の味覚に合わない)
- 対策:初めての人向けのガイド(「ドイツパンの美味しい食べ方」や「おすすめの食材との組み合わせ」)。日本人にも食べやすいアレンジを加えた商品をラインアップに加える。
【効率化による時間短縮が、顧客の生活にどう直結するのか?】
- 反論:ドイツパンを購入・準備することで逆に手間が増えるのではないか?
- 対策:調理不要で食べられる手軽さを強調する。「朝食にトーストするだけで栄養たっぷりの一品が完成」「持ち運びにも便利で忙しい人にも最適」など。
ちなみに「悪魔の代理人」の選び方については、生成AIを利用してもいいですし、他にも次の三つの観点で選出すると良いでしょう。
客観的視点を持つ人
- 社内外の視点を持ち、距離を置いて冷静に評価できる
- 感情に流されず、データや事実に基づいて議論できる
反対意見を恐れない批判的思考の持ち主
- 他者の意見に遠慮せず、建設的な批判や疑問を提起できる
- チーム内で尊敬を得ており、議論を健全に進める能力がある
プロジェクトの直接的な責任を負わない人
- プロジェクトに直接的な責任を持たず、利害関係から自由な立場にある
ぜひ試してみてください。
★前回はこちらから