「備え」の取り組みを可視化する
ここからは「備え」の取り組み内容を見ていきます(図3)。
対象者:全国20~79歳男女 サンプルサイズはグラフ内に記載 調査実施時期:2024年5月
灰色は全年代の調査対象者の「備え」の取り組み状況です。「在宅避難の備え」が最も高く35.5%の人が取り組んでいます。次いで「非常用持ち出し袋や防災リュックの備え」が25.2%と、食料や防災品の「備え」に取り組んでいる人が多いことがわかります。僅差ですが、「避難経路や避難所の確認」が24.6%で自宅外での避難を想定した備えが続きます。日頃のコミュニケーションですぐにでも取り組めそうな「家族との連絡方法の確認」は22.6%でした。最も低いのが「家具の固定や家の中の安全対策」で21.8%と、家の中での「備え」の取り組みに差が出ました。
各「備え」の取り組みについて年代別に見ると、年代が高くなるほど比率が高いという特徴が見えました。特に、60-79歳の「在宅避難の備え」は40.6%と高くなっています。5つすべての取り組みで60-79歳が最も高い比率になっています。サンプルサイズを見ると60-79歳の人数が最も多いことから、「備え」全般へ取り組んでいる人数も多いことがわかります。
一方で、20-29歳はすべての取り組みにおいて「やりづらさ」があるようです。なかでも、最も取り組んでいる人が少ないのが、「家具の固定や家の中の安全対策」で15.8%でした。20-29歳の「在宅避難の備え」は27.6%であり、同じ家の中での取り組みですが、差が出ました。
首相官邸のWebページ「災害が起きる前にできること」で、一番上に挙げられているのが「家具の固定」(家具の置き方、工夫していますか?)です(注1)。家具の固定や家の中の安全対策は、自然災害、特に地震が発生した際に、生存確率を上げるために最重要だからです。この備えの取り組みを全年代で高めるために、「家」に着目していきます。
