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MarkeZine Day 2026 Spring

各ファネルでのインフルエンサー活用術

買うきっかけを作れない、魅力が伝わらない……購買ファネルの各課題を打破する、インフルエンサー活用法

購買のきっかけを生むには?ライブコマースの活用

 インフルエンサーマーケティングでは、購買促進の新たな手法としてライブコマースが注目を集めています。特に「購買のきっかけがない」という課題に対して、リアルタイムの双方向コミュニケーションを活用することで高い効果を発揮します。

適した購買障壁:「購買のきっかけがない」課題

  • 必要性は感じているが後回しにされやすい商材
  • 興味はあるが価格の壁を感じる商材
  • 日常的に使用するが買い替えのタイミングが不明確な商材

手法の強み:

  • リアルタイムの質疑応答で即時的な購買判断を促進
  • 限定特典による購買モチベーションの創出
  • 視聴者間のコミュニケーションによる購買意欲の向上
  • その場での購入決定を促す双方向性の活用

 たとえば、コスメ・スキンケア商品というカテゴリーでは、以下のような購買障壁が存在します。

・必要性は感じているが後回しにされがち
・プレミアム価格帯に対する価格の壁
・定期的な買い替えが必要だが、そのタイミングを逃しやすい

 この効果を顕著に示す事例として、美容コスメブランド「フォレンコス」の取り組みが挙げられます。フォレンコスは、複数のプラットフォームを戦略的に組み合わせた緻密な導線設計により、LIVE配信における同時接続数に対して50%という驚異的な購買率を達成しました。同社の事例からは、購買意欲を段階的に醸成する効果的なアプローチの示唆が得られます。

 フォレンコスが実施したのは、以下の4段階の購買意欲醸成プロセスです。

1. 商品価値の基盤構築

 まず、Instagram フィードでの投稿により、商品の基本的な価値訴求を行いました。美容商材における「見た目の変化」や「使用感」といった要素をビジュアル中心に訴求することで、商品への基本的な理解と興味を喚起します。

2. 不安要素の解消

 次に、Instagramストーリーズを活用したQ&A形式のコンテンツにより、商品に対する具体的な疑問や不安の解消を図りました。典型的な質問への回答を提供することで、購入を躊躇する要因を事前に取り除くアプローチです。

3. 期待感の醸成

 続いて、Instagramフィードでの特別セール告知とライブ配信の予告投稿により「お得な機会」への期待感を高めます。この段階で、既に商品価値を理解し不安要素が解消された視聴者に対して、購買のトリガーとなる「お得感」を提示しました。

4. 購買への転換

 最後に、TikTok LIVEでの配信において、視聴者限定のQoo10クーポンを発行。ここまでに醸成された購買意欲を、「今ここでしか得られない特別な機会」という即時性と特別感によって、実際の購買へと転換させます。

フォレンコスの投稿の座組みの図解
フォレンコスの投稿の座組みの図解

 このように、フォレンコスの事例はライブコマースを単独で活用するのではなく、事前の理解促進と期待感醸成を組み合わせることで、高い購買転換率を実現できることを示しています。

消費者のスムーズな選択をサポート!インフルエンサーアフィリエイトの活用

 インフルエンサーマーケティングによる購買促進において、ライブコマースが即時的な購買促進に効果を発揮する一方、アフィリエイトは明確な購買導線を設計できる効果的な手法です。特に「購買のきっかけがない」課題に対して、インフルエンサーならではの価値訴求と明確な購買導線の設計により、消費者の意思決定をサポートします。

適した購買障壁:「購買のきっかけがない」課題

  • 必要性は感じているが後回しにされる商材
  • 興味はあるが価格の壁を感じる商材

手法の強み:

  • 明確な購入導線の設計が可能
  • セール情報との連動で価格障壁を下げられる
  • インフルエンサーの体験談と購入機会を直接紐付けられる

 たとえば、日用品カテゴリーには以下のような購買障壁が存在します。

・必要性を感じていても、購入を後回しにしがち
・似たような商品が多く、比較検討に時間がかかる
・価格以外の価値を実感しにくい

 アフィリエイト施策を効果的に展開するためには、以下の2つの重要な成功に導くための重要な要素があります。

重要な要素1:商材可否の獲得

 フォロワー数5~10万名規模のマイクロインフルエンサーであっても、1ヵ月に100件近い投稿依頼を受け取っています。そのため、インフルエンサー自身が「この商品なら自分が紹介することで売れそうだ」という確信を持てる状態を作ることが重要です。この課題に対しては、以下のような段階的なアプローチが有効です。

  • メガインフルエンサーによる認知施策の実施
  • ブランドへの信頼感と権威性の確立
  • マイクロインフルエンサーへのアプローチ
重要な要素2:複数回投稿の実施

 X、Instagramストーリーズのいずれのプラットフォームも、投稿がタイムライン上で埋もれやすい、あるいは24時間で消失するという特性があります。そのため、アフィリエイト投稿のCTRやCVRを高水準で維持するためには、複数回の投稿設計が不可欠です。実際に、複数回投稿を実施したキャンペーンでは、単発投稿と比較してCVRが約2倍になるケースも確認されています。

 この2つ重要な要素を効果的に克服した事例として、日用品カテゴリーで高いROASを達成した「サンサンスポンジ」の取り組みが挙げられます。

 サンサンスポンジでは、Amazonプライムデーに向けてインフルエンサーアフィリエイト施策を展開しました。大型セールのような購買機会では、消費者は「お得に買えるタイミング」という購買のきっかけを得られる一方で、多くの選択肢の中での意思決定に負担を感じやすい状況に直面します。

 ここでアフィリエイトは、インフルエンサーによる商品価値のわかりやすい説明と、クリック一つで購入ページまで到達できる導線設計により、消費者の選択と購買をスムーズに促進することができます。

 サンサンスポンジでは具体的に、Instagramのリール投稿を活用した商品紹介を軸に、セール期間中にアフィリエイトリンクの入ったストーリーズを投稿し購買促進を図りました。この施策では、プレセールから本セールにかけての4日間で、ROASが350%という高い成果を達成しています。成功の要因は、主に以下の3点にあります。

1.インフルエンサーとの適切な関係性構築

 事前のPR投稿を通じて、インフルエンサーに商品の十分な理解と使用経験を提供しました。これにより、アフィリエイト展開時には「以前の投稿でご紹介した商品が、セールでお得に購入できるようになりました」という、より自然な文脈での紹介が可能になりました。

2.Instagramのリールとストーリーズの効果的な組み合わせ

 リールでは商品の使用シーンや特徴を視覚的に訴求し、ストーリーズではセール情報と購買への導線を設計するという2段階のアプローチにより、セール期間中の購買を効果的に促進しました。特にリール動画での商品理解促進が、ストーリーズ経由での購買につながりやすい傾向が見られました。

3.アフィリエイト特有の不信感の払拭

 インフルエンサーが「以前Paidで紹介した際に実際に使ってみて良かったので、今回はみなさんにもお得に購入していただけるようアフィリエイトでご紹介します」といった投稿を行い、商品への信頼性を高めることに成功しました。セール時の価格訴求だけでなく、実体験に基づく価値訴求を組み合わせることで、より説得力のある情報発信を実現できました。

インフルエンサー名:はあちゅう(Cue's / ULTRA SOCIAL株式会社 所属)
インフルエンサー名:はあちゅう(Cue's/ULTRA SOCIAL株式会社 所属)

実践のポイント:

  • 事前のPR投稿による信頼関係の構築
  • 複数のコンテンツフォーマットの組み合わせ
  • 実体験に基づく価値訴求の重視

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異なるコミュニティへの波及も!界隈ハックの活用

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この記事の著者

藤田 翔大(フジタ ショウダイ)

AnyMind Japan 執行役員兼ブランドコマースマーケティング事業部長

 新卒でAnyMindに入社し、タイ・ベトナムオフィスの立ち上げを経て、日本オフィスのインフルエンサーマーケティング事業部長に就任。コスメや日用品などの大手消費財メーカーを中心としたインフルエンサーマーケティングに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/31 09:00 https://markezine.jp/article/detail/48595

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