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MarkeZine Day 2026 Spring

各ファネルでのインフルエンサー活用術

買うきっかけを作れない、魅力が伝わらない……購買ファネルの各課題を打破する、インフルエンサー活用法

異なるコミュニティへの波及も!界隈ハックの活用

 インフルエンサーマーケティングにおいて、異なる界隈をつなぐ施策の一つとしてIPコラボレーション「界隈ハック」が注目を集めています。特に「商品の良さが伝わりにくい」課題のうち、従来とは異なる文脈での価値訴求が必要なケースで高い効果を発揮します。

適した購買障壁:「商品の良さが伝わりにくい」課題

  • 従来とは異なる文脈での訴求が必要な商材

手法の強み:

  • 異なるコミュニティでの新しい価値文脈の創出
  • 既存の商品価値に捉われない訴求機会の獲得
  • 複数の界隈を通じた段階的な認知拡大

 たとえば、スキンケア商品というカテゴリーでは、以下のような課題が存在します。

・機能や効果の訴求だけでは、新しい顧客層の開拓が難しい
・従来のターゲット層以外への価値訴求が限定的
・使用シーンの固定化により、新しい需要創出が困難

 これらの課題に対して、IPコラボレーションによる界隈ハックは、以下のような効果をもたらします。

直接効果:ファン層の活性化

 IPコラボレーションの効果は、まず直接的なファン層からの反応として現れます。たとえばスキンケア製品が人気キャラクターとコラボレーションを実施した場合、そのキャラクターファンの界隈から「推し活」としての購買や情報発信が生まれます。この段階では、ファンの強い愛着と共感が原動力となり、商品への関心が高まっていきます。

間接効果:界隈を超えた波及

 さらに重要なのは、異なるコミュニティへの波及効果です。スキンケアの界隈において、キャラクターファンの間で生まれた盛り上がりは、“世の中ごと化”を促進します。

 たとえば、普段からスキンケアに興味がある人々が「キャラクターファンの間で話題のスキンケア」として認識し始め、さらに「今トレンドの商品」として一般層にまで認知が広がっていきます。その結果、異なる界隈を経由することで商品の新しい価値文脈が生まれ、従来とは異なる層への訴求が可能になります。

界隈の伝播の図解
界隈の伝播の図解

 このようにIPコラボレーションは特定のファン層への訴求に留まらず、異なるコミュニティをつなぐ架け橋となり、より広範な市場での話題化と購買促進を実現する効果的な手法となっているのです。

商品の良さを余すことなく伝える、長尺YouTubeの活用

 商品の詳細な機能や使用感を丁寧に説明する手法として、長尺YouTubeコンテンツの活用が効果を発揮します。特に「商品の良さが伝わりにくい」課題に対して、高い効果を発揮します。

適した購買障壁:「商品の良さが伝わりにくい」課題

  • コモディティ化した商材の差別化訴求
  • 機能や効果の詳細な説明が必要な商材
  • 使用シーンのイメージ提示が重要な商材

手法の強み:

  • 10分以上の動画時間で詳細な説明が可能
  • 実際の使用シーンを視覚的に提示できる
  • 比較検討に必要な情報をまとめて提供できる

 例として、マットレスというカテゴリーには、従来から以下のような購買障壁が存在していました。

・店頭では数分程度の試し寝しかできず、実際に就寝した際の使用感がわかりにくい
・「寝心地」という主観的な価値を言葉だけで伝えることが難しい
・長期使用による体への影響を実感できない
・価格が比較的高額なため、慎重な検討が必要

 これらの課題に対して、長尺YouTubeは以下のような解決策を提供できます。

  • 複数の睡眠シーンでの使用感を詳細に紹介
  • 朝起きた時の体の変化を時系列で説明
  • ユーザーが長期間寝てみたリアルな使用体験を具体的に共有
  • 商品スペックだけでなく、生活の質の変化を訴求

 この効果を顕著に示す事例として、マットレスのD2Cブランド「コアラマットレス」の取り組みが挙げられます。同社はYouTubeを活用し、ROAS10,000%という驚異的な成果を達成しています。

 この成功の要因は、YouTubeの長尺という特性を最大限に活かした商品価値の丁寧な訴求にあります。マットレスという商品は、一般的に数万円以上する高価格帯の商品であり、かつ長期間使用することを前提とした商材です。そのため、消費者は購入に際して慎重な検討を行う傾向にあります。

 そこでコアラマットレスは、消費者の詳細な情報ニーズに応えるため、10分以上の動画時間を使って以下のような詳細な情報提供を行いました。

  • 商品のリアルな使用感の紹介
  • 朝起きた時の体の状態の変化
  • 商品受け取り後の組み立て方
  • 実際の使用シーンでの様子

 特に重要なのは、インフルエンサーの生活スタイルに合わせた多様な切り口での訴求です。「在宅ワーカーの快適な仕事環境作り」や「育児疲れママのためのリラックス空間作り」など、視聴者それぞれの生活シーンに寄り添った提案が可能になりました。

YouTube実践のポイント図解
YouTube実践のポイント図解

実践のポイント:

1.商品特徴の網羅的な説明
  • 機能や使用感の詳細解説
  • 実際の使用シーンの可視化
  • 比較検討に必要な情報提供
2.ターゲット層に応じた訴求設計
  • 視聴者の生活シーンに合わせた提案
  • 具体的な課題解決方法の提示
  • 使用後の変化の具体的な説明
3.視聴者の行動促進
  • 概要欄での商品リンクの明示
  • 商品詳細ページへの誘導設計
  • 購入特典情報の提供

 このように長尺YouTube動画は、商品の詳細な説明や使用シーンの具体的なイメージ提示が必要な場合に特に効果を発揮します。

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購買障壁から考える、インフルエンサーマーケティング戦略

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この記事の著者

藤田 翔大(フジタ ショウダイ)

AnyMind Japan 執行役員兼ブランドコマースマーケティング事業部長

 新卒でAnyMindに入社し、タイ・ベトナムオフィスの立ち上げを経て、日本オフィスのインフルエンサーマーケティング事業部長に就任。コスメや日用品などの大手消費財メーカーを中心としたインフルエンサーマーケティングに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/31 09:00 https://markezine.jp/article/detail/48595

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