「パートナー企業との連携が不可欠」エコシステム戦略
続いて、アライアンスマネージャーの北川氏から、日本におけるパートナービジネスのハイライトおよび新年度エコシステム戦略が語られた。

Brazeのエコシステムは拡大を続けており、昨年はパートナー企業経由のパイプライン創出規模は前年比7倍以上、全受注の65%がパートナー企業との連携によるものであった。さらにBrazeが設ける認定資格の保持者数も100名以上に達した。ソリューション、テクノロジー、マーケティングの各領域で、より大きな成長を遂げるためのコラボレーションが加速してることがよくわかる。
これらの振り返りを踏まえ、新年度のエコシステム戦略では「Industryエコシステム」「マルチプレイヤー変革」「協働ホームゲーム展開」を掲げた。いずれも冒頭に水谷氏が全体戦略として語った「Industry Focus」「Success with Partners」「Product Localization」を実現するためのものである。
Industryエコシステム
業界ごとのテクノロジーショーケース化とソリューションパートナーによるベストプラクティス化。業界特有の要件に対応する製品力強化などを通じて、各業界向けのエコシステムを構築する。

マルチレイヤー変革
顧客のビジネス成長にコミットするため、上流、構築、運用フェーズまでの成功を支援。レイヤー別に領域を拡大し、パートナー間の補完連携含め、強みを活かした変革の推進を目指す。
協働ホームゲーム展開
“戦わずして勝つ”ために、顧客企業各階層へホームゲームを展開。ソートリーダーシップ活動(共同調査、ソリューションなど)やBrazeチャンピオンの輩出(パートナーとの共同マーケティングなど)の取り組みを推進する。
製品開発への投資が顧客ビジネスの成長につながる
Brazeの特徴として、製品開発への投資も挙げられる。日本市場製品責任者の新田氏によるプロダクトエコシステム戦略を紹介したい。

Brazeは米国市場への上場後も製品開発を強化している。現在、研究開発部門には33の独立エンジニアチーム(対前年比120%)があり、320人強のエンジニア(対前年比130%)が日々開発に取り組んでいるなど、製品への投資を継続的に加速させている。2024年には133の新機能と機能強化をリリース。うち約25%が外部ソリューションとの連携に関わる機能強化であった。
「『製品エコシステムの強化がお客様のビジネス成果につながる』という考えのもと、2025年は昨年以上にパートナーソリューションとの連携を強化する予定です」(新田氏)
2025年のイノベーションテーマは次の3つ。
1つ目のテーマは「データ製品」。CDI連携元ソースの追加により主要なクラウドデータソースに対応し、連携開発をスムーズにする。Microsoft FabricやSalesforceなどに対応予定だ。 また、ゼロコピーデータによるシナリオトリガーを実装することで、クラウドデータウェアハウス上のデータが変更された時点で、データをコピーすることなくBrazeのシナリオを起動できるようになる。
さらに新しいデータオブジェクトの導入も進めている。従来の顧客軸に加えて新しいデータに対応する。BtoBあるいはBtoBtoCのユースケースで使われることが多い、アカウント(企業)やオポテュニティ(商談)といったオブジェクトだ。たとえば、Salesforceに格納されているアカウントデータをシームレスにBrazeに取り込めるようになる。
2つ目のテーマは「シナリオ設計とAI機能」。特別感を与えるような顧客体験は、人の手だけでは実現することが難しい。そこでAIを活用することで、より効率的かつパーソナライズされた体験を実現する。「Project Catalyst」は、顧客体験を圧倒的なスケールでパーソナライズ。Braze AIを搭載することで、1対1のレベルで何千ものバリエーションを生成、テスト、最適化することを可能にする。
最後のテーマである「チャネル&デジタル顧客接点」に関しては、地域特性に合わせた開発も強化しており、LINE公式アカウント対応コネクタやLINE クリックトラッキング、S/MIMEデジタル署名対応など、日本における主流コミュニケーションツールであるLINEやメールの関連機能の強化を進めている。また、パーソナライズランディングページの開発も進めており、これが実現すれば、ユーザーに合わせたメッセージを表示する登録フォームページなどを作成できるようになる。
Brazeは最終的に「マーケティングにおけるAIエージェント」を目指した製品戦略を展開し、あらゆるデータソースから顧客データを取り込み、最適なジャーニーを自動生成して様々なチャネルで出力する構想を持っている。この実現には、パートナー企業とのエコシステム構築と協力が不可欠であると新田氏は強調した。