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花王が広げる「職場のロリエ」への共感、メーカーとして“働きづらさ”にどう向き合ったのか

女性が少ない業界でも強い課題意識

 西本氏は、この取り組みがスモールスタートから徐々に規模を拡大していったことに着目。スモールスタートの理由や、そこから広げていくときに寄せられた声について聞いた。

 手島氏は、生理ナプキンというカテゴリがセンシティブに受け取られる側面があることから、まずは「あくまでブランドパーパスを具現化する活動の1つ」と位置付けて始めたと説明。

 「最初は粛々と、というのがポイントでした。導入企業が200社を超えた時点で大々的に広げるフェーズと判断し、メディア露出に舵を切りました」と振り返る。

経営層に向けた新聞広告の出稿も実施
経営層に向けた新聞広告の出稿も実施

 当初は、スモールスタートの3社の担当者の人脈も頼りに、様々な企業に営業したり、アドバイスや要望を出してもらったりしたという。前述のゼネコンや物流業界の企業も、担当者と話してみると、女性が少ないからこそ課題意識があることがわかった。

 「女性従業員を取り巻く環境を改善したい、と深く考えている企業も多く、好意的に受け止めてもらえました」(手島氏)

ギャップをなくすため、社会全体に浸透を

 最後に、手島氏は「職場のロリエ」の今後の展開について語った。

 今後は企業の中で「導入を検討する人」に注目し、その人たちがアクセスしやすいように、ブランドサイトなどを改善していくことが課題だという。加えて、大学の構内で動画を流すなど、若年層に認知してもらう活動にも引き続き取り組んでいく。

 手島氏は、学校で展開する「学校のロリエ」を導入した中学・高校の養護教諭が話していたことがとても印象に残っているという。

 「この取り組みで生徒からも『うれしい』という声を聞くけれど、社会人になったときになくなってしまうとギャップを感じてしまう。職場のロリエもしっかり広げてもらいたい、というお話でした。私達にはすごく響きましたし、頑張らないといけないなと強く思いました」(手島氏)

 最後に西本氏は、本セッションの会場内で「オフィスに生理用品が常備されているか」を問いかけた。手を挙げたのは――1人。今後も社会に浸透させることが、プロジェクトの課題だといえる。

 西本氏は「実際に困っている人の声を集めて、それを事業にする。それがブランドの根幹となり、商品の販売にも結果的につながっていく。このように少しずつ前に進んでいくことで、生活者と一緒に課題を解決できる社会を共創する取り組みなのですね」とまとめた。ブランドの立ち位置を見極め、その立場から生活者に寄り添うことが、ブランドや商品の価値を高めることにつながっていくようだ。

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この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/21 07:00 https://markezine.jp/article/detail/48707

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