第2回ゲストは、VML & Ogilvy Japan 共同CEOに就任した横田明日香さん
藤平:「広告産業のパーパスを考える」と題した本連載、第2回はVML & Ogilvy Japan 共同CEOで、WPPジャパンのエグゼクティブ・クライアント・パートナーでもある横田明日香さんをお訪ねしました。本日はよろしくお願いします。
この連載は、広告産業にいる人や企業の専門性、この先の可能性、まだ発見できていない余白を探るべくスタートしました。今回はWPPジャパン×博報堂の対談ということで、外資と日系の違いはもちろんあると思いますが、その垣根を越えて、これからの広告会社についてああでもない、こうでもないと答えなく話し合えればと思っています。

はじめに、横田さんのこれまでのキャリアについて教えてください。ずっと、クライアントに向き合う「営業」としてキャリアを磨かれていますよね。
横田:はい、私は長くこの業界にいまして、1995年に広告業界に入ってから今年で30年になります。事業会社のマーケターになろうかと悩んだこともあったのですが、クライアントのビジネスに貢献できたと実感できる瞬間がやっぱり一番好きで。今でもクライアントとのコンタクトは維持しています。
経歴で言うと、最初に入った外資系グローバルAG時代からずっと、消費財メーカーのグローバルブランドを軸にクライアントワークをしてきました。クライアント社の社員と同じレベルでマーケティングのイロハを教えていただき、基本的なところから勉強させてもらえたのは、本当に有難いことだったと思っています。

16年ほど営業として、日本とイギリスでの総合広告一連の仕事を経験し、「日本市場での広告の届け方」を十分にやり切った後、海外に行きたいなと思いまして、40歳手前で会社を辞めてシンガポールに渡りました。ローカルの仕事を自分で見つけながら働いていた中で、ご縁がありブランディングのコンサル会社にジョインし、ここではブランディング戦略およびAPACやグローバル展開を学びました。
藤平:なかなか刺激的なキャリアですよね。WPPジャパンにジョインしてからは、広告・ブランディングとはまた違うメディアの世界に入られています。
横田:ええ、2022年にWPPジャパンに参画し、メディアの世界に入りました。ずっと広告やブランディング戦略を担当していたこともあって、実は、デジタルメディアの領域に苦手意識があったんです。ただ、「これからの広告業界でメディアやデジタルがわからなくてどうするんだ」と思ったのと同時に、「今やらないと多分一生やらないだろう」とも思い、エッセンス(旧)で経験を積みました。
2024年7月からVML & Ogilvy Japanのマネジング・ディレクターを務め、今年4月にVML & Ogilvy Japan 共同CEOに就任しました。広告業界をぐるっと1周回って、また広告に戻ってきたようなキャリアです。