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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

広告産業のパーパスを考える

明日の成果も、未来の成長も創っていく――いまの広告会社に必要な「新しいリーダーシップ」と「営業の力」

両社の存在意義に共通するのは「クリエイティビティ」

藤平:ところで、WPPは自社を何者と定義し、社外に説明していますか? 博報堂はクリエイティビティの提供を自社のケイパビリティとしており、博報堂DYホールディングスでは自分たちを「クリエイティビティ・プラットフォーム」であると定義しています。

 ただ、これだけを言われてもなかなかピンと来ないと思うので、自社の位置づけを踏まえ、「パーパスを起点に広告だけでなくCX(エクスペリエンス:店舗・商品・サービスなど)を作る」「その時の武器が広義のクリエイティビティである」と翻訳・具体化したりしています。

横田:WPPは「マーケティング・サービス・カンパニー」と言っていますね。パーパスは、「WPP is  the Creative Transformation Company(クリエイティビティの力でビジネスの改革を)」です。

藤平:なるほど。そこに「マーケティング」が入って来るんですね。僕は、クリエイティブ職に限らず、どんな仕事にもクリエイティビティはあると考えているのですが、ちなみにWPPには「クリエイティビティ」に対する偏見のようなものはないですか? 「クリエイティビティ=クリエイティブ職のものだろう」「営業にはクリエイティビティは関係ないだろう」というようなイメージを持っている人は少ないでしょうか? 

横田:そうですね、年齢関係なくアイデアを出し合えるカルチャーもあるので、私の印象ではそうしたイメージを持っている人はあまりいません。

 クリエイティビティに関する考え方は、まさに藤平さんと同じくです。そもそもクリエイティブの意味するところが、ひと昔前の「クリエイティブ=制作」から変わっていますよね。クライアントの課題はますます複雑化しており、広告だけでは解決できないケースも増えています。WPPでは、クリエイティブ職も営業も、PRもエンジニアも皆のクリエイティビティの力を活かしてクライアントの課題を解決する。そんな意味合いで、「WPP is  the Creative Transformation Company」のパーパスを掲げています。

社会からの「憧れ」と「期待」を取り戻し、気概のある業界へ

藤平:広告を中心に置きながら、クリエイティビティをもって多様なソリューションを提供している我々広告会社は、これからも社会や企業に必要な存在でいられるでしょうか? 横田さん個人のお考えを聞かせてください。

横田:広告業界の元気がなくなってきた、というような話を耳にすることもありますが、私はまだまだ大きな可能性がある業界だと思っています。ここまでクライアントの課題解決に焦点を当てて話してきましたが、広告には「新しいカルチャーを作る力」もありますよね。本来、広告業界は非常にアスピレーションのある業界だったと思うんです。

 ちょっと古臭い言い方になってしまいますが、「新しいカルチャーを作りたい」「日本をもっと世界にアピールしていきたい」というような気概のある業界にしていきたいですし、若者にもどんどん広告業界に入ってきてもらいたいです。

 そのためには、社員のマインドセットが鍵になってくると思います。自分のコンフォートゾーンにいるのではなく、「今日より良い明日を作っていこう」というマインドになるよう働きかけていくべく、まさにチャレンジしているところです。

藤平:そうですね。僕自身も、クライアントの満足度はもちろんですが、生活者や社会に眼差しを向けて仕事をしたいと思っています。

 それで言うと、やっぱり営業(ビジネス・プロデューサー)のマインドに左右されるところはあると思います。営業から「やろう!仕掛けよう!変えていこう!」と言ってもらえると、こちらもめちゃくちゃ頑張りますが、単純にクライアントの意向だけを伝えられると、「この仕事でいいものを作るのは大変かもしれない」と思うこともあります。

横田:今日の対談で改めて、自分のいる営業という仕事の大切さを実感しました。フロントラインを務めている私たち営業が「これでいいだろう」と思ったら、社内のチームメンバーにも伝わりますし、クライアントにも伝わってしまいますからね。高いマインドセットを持つ人を一緒に育てて、この業界を元気にしていきましょう。

藤平:僕は広告会社の強力な武器は営業力・プロデューサー力だと思っています。これは単なる「御用聞き力」ではなく、プロジェクトをオーケストレーションしながら、全員で前に進んで期待以上の成果を出すことにコミットする力のこと。クリエイティブ・ディレクターよりも、マーケターよりも、AIに代替されないのは営業だと思っていました。

 ……で、今日横田さんにお会いして「やっぱりそうじゃん!」と。「営業×クリエイティブ=〇〇〇」ということを少し考えてみたいと思います。そして、また機会があったら、この対談の続編をオファーさせてください。今日はありがとうございました!

広告産業のパーパス:藤平の仮説キーワード(2025年4月時点)

「ブランド百貨店」

・そこにはブランド価値向上に資する売り場が揃っている(はず)

・そこにはお客様に寄り添って道筋を示してくれる“営業”がいる(はず)

・そこはキラキラして、憧れを持った人がたくさん集まってくる(はず)

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/08 09:00 https://markezine.jp/article/detail/48730

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