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MarkeZine Day 2025 Autumn

令和を生きるガールズたちのインサイト&トレンド速報

フィルターバブルを破ろうとしている女の子たち。これからの世界の広げ方

 この連載では、「女の子」を中心に研究・プランニング・事業開発を行う電通の社内横断チーム「GIRL’S GOOD LAB」のメンバーが毎回テーマを設けて、今、Z世代の女の子たちの中でトレンドになっている事象をピックアップし、電通グラレコ研究所のイラストとともに、その裏に潜む女の子たちのインサイトを解説していきます。

女の子たちが未知の世界に夢中なワケ

 今月のテーマは、「フィルターバブルを破ろうとしている女の子たち」です。

 日々トレンドが更新されていくSNSに毎日触れるという積み重ねが習慣となり、SNS環境から抜け出せない女の子たち。そのSNSでは、アルゴリズム機能でコントロールされた情報が提供され続け、女の子たちは自分の興味のあるコンテンツにしか触れなくなる「フィルターバブル」の状態に陥っています。結果として、自分と異なる考えや意見がフィルタリングされてしまい、その存在に気付くことすらできなくなってしまっていました。

 しかし最近、SNS以外のコンテンツに触れ、知らない分野や世界への扉を開こうとする動きが見られます。今、フィルターバブルを破るフェーズに突入しているのです。

未知の領域に踏み込んだNetflixコンテンツの話題化

 象徴的なトレンドは、未知の領域に踏み込めるNetflixコンテンツの話題化です。

 前回ご紹介したインサイト「平和100%のコンテンツに夢中」(参考「令和を生きるガールズインサイト&トレンド速報」)に表れているように、最近の女の子たちは癒しが得られるコンテンツを求める一方で、刺激を得られるコンテンツにも目がありません。

 たとえば、実際の事件をモデルに不動産をめぐる詐欺を行う「地面師」の犯罪を描く『地面師たち』や、熱狂的な女子プロレス旋風を巻き起こした日本史上最も有名なヒール「ダンプ松本」を主人公に据えたドラマ『極悪女王』は、ダークな世界観を魅力的に描き、注目を集めました。

 『地面師たち』に登場する巧妙な手口で行われる犯罪は、未知の世界で繰り広げられていることだと感じられる一方で、自分の身の回りの土地や建物を巡って似たような事件が実際に起きていたというリアルさが刺激的に映ったのでしょう。また、『極悪女王』は、プロレスの悪役という自分にとって身近でない人が主人公でありながら、描写されたのは自分たちと同じような悩みや心の動きであることが共感を集め、話題となりました。

 このように今Netflixで注目を集めるコンテンツは、SNSでは知ることがなかった、自分が生きている世界の延長線上にある未知と触れ合えるワクワク感を生み出しています。実際に、ドラマ内の象徴的な洋服が爆発的に売れたり、ドラマの舞台を訪れる聖地巡礼が世界各地で起きていたりと、Netflixの波及効果の大きさは「Netflix Effect」という言葉にも象徴されています。

 こう考えると、近年人気を博しているオーディション番組は「芸能界の裏側」という未知の世界を覗き見できるコンテンツとして人気となったとも捉えられます。キラキラした芸能界で完璧な姿を見せるアイドルとは違い、デビューまでの苦労や人間味が感じられる「未完成な推し」を見られるのは、彼女たちにとって新鮮な体験だったのです。

 キラキラの芸能界といえば『推しの子』のヒットも記憶に新しいです。推していたアイドルの子どもに生まれ変わるというファンタジーストーリーながら、芸能界の闇へと切り込むリアルさが注目を浴びた本作。TVで日々眺めて憧れていた芸能界の裏側にあるかもしれない “闇の部分”という「知らない世界のリアル」に、多くの視聴者が熱狂しました。

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アルゴリズムの中から「知らない世界」に飛び出したい

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この記事の著者

洲崎 桃花(スサキ モモカ)

株式会社 電通 第21ビジネスプロデュース局 エクスペリエンスデザイン・プロデューサー

2024年入社。中高生や若年女性向けの商材を担当した経験から、女の子たちのトレンドへの熱量や、その裏側のインサイトに興味を抱き「GIRL’s GOOD LAB」に所属。Z世代特有の価値観を実際の業務に生かしながら、ク...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/08/22 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49257

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