実店舗でもオンラインでも。UGCになる「体験」とは

まず写真付きのUGCを増やす上で有効なのが、「ユーザーが自然に写真を撮りたくなる導線」をブランド側が用意しておくことです。最近では、店内にフォトスポットを設けているブランドも少なくありません。商品の購入時に「スタッフの投稿は、いつもこの場所で撮影しています」といった情報を伝えてみるのも良いでしょう。“写真を撮る場”を明示することで、投稿のハードルを下げ、UGC創出のきっかけを作ることができます。
さらに、スタッフアカウントでの発信が定着していれば、「このブランドの●●さんがよく撮っている場所だ」と気づいたユーザーが、同じ場所で写真を撮りたいと思うこともあるでしょう。投稿例が可視化されていること自体が、ユーザーにとって「自分も撮影して良いんだ」と感じられる理由になります。
実店舗を持つブランドであれば、商品そのものだけでなく、接客に関するUGCが投稿されることも多くあります。スタッフとのやりとりや対応が「また来たい」「買って良かった」という体験として記憶に残れば、それが自然なUGCにつながります。
EC専業ブランドや、実店舗を持たないBtoCブランドでも、ECサイトの利用体験がSNSに投稿されることはあります。たとえば「DMの返信が早かった」「届いた箱の中に手書きの手紙が入っていた」といったできごとは、ブランドへの信頼や親しみの醸成につながります。そして、それが再購入や新たな投稿のきっかけになる可能性も十分にあります。
ライブコマースとアパレルの親和性
アパレル業界におけるSNS施策の中でも、ライブ配信(ライブコマース)は、商品そのものの魅力と“着るイメージ”を結びつけやすい、非常に親和性の高い手法です。サイズ感や素材の動き、透け感、着脱のしやすさなど、静止画やテキストでは伝えにくい情報をリアルタイムで届けることで、視聴者の理解と共感を一気に深められます。
さらに、出演者の人柄や話し方、その服に対する「好き」という気持ちが画面越しに伝わることで、商品に対する親しみや好感も生まれやすくなります。たとえば、ブランドディレクターや人気スタッフが登場すれば、「推しの人が紹介しているから欲しくなった」といった感情が、購買やシェアの動機になることもあります。
ここからは「ライブ前」「ライブ中」「ライブ後」の3つのフェーズに分けて、ライブ施策を成功に導くためのポイントを紹介します。Instagramライブを前提にしていますが、スマートフォンでの視聴を前提とする他のプラットフォームでも応用可能です。
ライブ前
ライブ配信の成否は、事前準備に大きく左右されます。配信の構成や紹介する商品をあらかじめ決め、簡単な台本を用意しましょう。可能であれば1〜2回のテスト撮影を行い、録画を見ながら改善点を洗い出すと効果的です。
また、事前の告知も重要です。ブランド公式アカウントでの投稿に加えて、出演するスタッフの個人アカウントやストーリーズを活用して情報を広げましょう。ブランドの顔となる人物を起用すれば、ライブへの注目度も高まりやすくなります。出演者が「質問」スタンプなどを使って、フォロワーと事前にコミュニケーションを取っておくのも効果的です。