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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2025 Autumn

脱・数字だけのCRM、定性データとAIで顧客の感情を捉えペルソナを作るエーアンドエスの挑戦

 定量データに基づいた顧客理解は欠かせないが、数値だけでは捉えきれない顧客インサイトとの向き合い方に悩む声も少なくない。ジュエリーブランド「agete」などを展開するエーアンドエスは、Google Geminiを活用して複雑な定性データと定量データ、WEB行動データを掛け合わせ「ペルソナ」として可視化。顧客のインサイトに迫る新たな挑戦を始めた。「MarkeZine Day 2025 Autumn」ではプロジェクトを主導する同社の飯塚泰輔が登壇、取り組みを紹介した。

定量データだけでは不十分、直面した「CRMの壁」

 エーアンドエスは、サザビーリーググループの中で「agete」や「NOJESS」といったジュエリーブランドを展開する企業だ。同社は2022年頃から本格的な会員分析に着手。MA導入やアプリリプレイスといったCRM施策を推進した結果、「会員化率が50%台から80%弱へ向上」「年度間継続率150%」など、定量的な成果を着実に上げていた。

株式会社エーアンドエス マーケティング課 課長 飯塚泰輔氏
株式会社エーアンドエス マーケティング課 課長 飯塚 泰輔氏

 しかし、ジュエリーという商材の特性が、データ活用の次なる課題を浮き彫りにした。同社の顧客データ分析によると、「顧客の7割は年間4万円以下の購買」「顧客の8割は年間1回の購買」という実態があった。購買サイクルが長く、頻度も低い。それは、ジュエリーが極めて嗜好性が高く、購入の背景には合理性だけでは測れない「非合理な心の動き」が存在することを示唆していた。

「お客様の心の動きが購入に大きく影響していると感じ、そこへの対策が必要だと思いながら、決定的な方向性が見つからなかった、というのが正直な状況です。悩みながら施策を回していました」(飯塚氏)

「何もしなくても買ったのでは?」役員の一言が変えた視点

 転機となったのが、ある経営会議での出来事だった。飯塚氏が離反客向けのポイント施策と成果を共有した際、「そもそも、そのお客様たちは何もしなくても買ってくれたのではないか」という本質的な問いが投げかけられたのだ。

「正直に言うと、私自身も『お客様は本当にポイントを動機に購入されているのだろうか』という疑問を抱いておりました。ジュエリーという商材の特性を考えれば、価格やポイントといった合理的な訴求だけでなく、よりお客様のインサイトに寄り添うべきではないかと、改めて考えるきっかけになりました」(飯塚氏)

 ここから飯塚氏は、単なる購買促進から「顧客インサイトの探求」へと大きく舵を切った。顧客の内面を深く理解し、一人ひとりに寄り添うアプローチの実現を目指すことにしたのだ。

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顧客の“インサイト”を求めて、多角的な定性アンケートの開始

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2025/11/11 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49557

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