顧客行動がブラックボックス化 その要因は?
2019年に、ミツカングループから誕生したD2Cブランド「ZENB」。グループミッション「やがて、いのちに変わるもの。」を体現するため、“美味しい”と“体に良い”を両立するパンや麺類といった主食を中心に販売している。自社ECサイトをメイン販路としながらも、近年はコンビニエンスストアやスーパーマーケットなど小売店にも進出し、顧客接点を拡大中だ。自社ECサイトにおけるビジネスモデルは、主にサブスクリプション。定期購入の割合は95%以上にものぼる。
そんな同プロジェクトに、立ち上げ時より携わっているのが、株式会社ZENB JAPAN ダイレクトチーム 部長の和田悠氏だ。同氏が登壇した事例セッションの冒頭で、ブランド運営において大切にしている考え方が語られた。
「当社グループの事業では、『相手の身になって考える』『前提条件を疑う』の二つを軸としています。つまり、顧客起点で仕事をするということです」(和田氏)

一方、それを実現する上でZENBには課題があったという。顧客理解の解像度だ。
「カスタマージャーニーを的確に把握するには、複数の定量・定性データをつなぎ合わせる必要があります。ところが、当初は実際にお客様がどのように自社ECサイトを利用したのか、クリック数、訪問率、売上、アンケート結果などのデータから推察するしかありませんでした。顧客行動が、ブラックボックス化している状態だったのです」(和田氏)
和田氏とともに登壇した株式会社DearOne グロースマーケティング部 アナリティクスユニット シニアコンサルタントの小島健一氏は、「仮に顧客行動を可視化するにも時間がかかる。データ分析の環境に課題を抱える企業は多い」と解説する。
こうした状況から脱却したい。そう考え、和田氏らが2025年1月より取り入れたのが、顧客体験を分析するためのプラットフォーム「Contentsquare」だ。同プラットフォームでは、顧客が実際に自社ECサイト内をどう遷移していったのかなど、具体的な行動を可視化できる。
「導入から約半年が経過し、自社ECサイトに訪れたお客様がなぜ商品の購入に至らなかったのか、少しずつ見えてきました。中には、カートに1度入れたにもかかわらず、離脱してしまう人もいます。何が起きたのか、なぜ起きたのかが把握できたことで、次の手立てが打てるようになりました」(和田氏)
Contentsquareでは、顧客行動を追体験できる様々な機能が活用できるという。ZENBでは、それらをどう組み合わせているのだろうか。和田氏は、成果が得られた改善施策について、話を進めた。