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DX・EC化の伸びしろが大きいBtoB企業の解決すべき課題とは 守りを“攻め”に変える施策

 取引額1,000兆円にものぼると予測される、日本のBtoB市場。原材料の調達から販売まで多くの企業が連携するその複雑な構造は、ときに生産性向上を阻む要因となる。請求書の処理一つとっても手作業が残る中、なぜ多くの企業はDXの一歩を踏み出せずにいるのか。この状況からどう脱却すれば良いのか。BtoB市場の動向を分析している株式会社デジタルコマース総合研究所の本谷知彦氏、株式会社デジタルガレージの原田潔貴氏に聞いた。

IT投資への余力がない中小企業 “今がDXのタイミング”なワケ

──近年、DXが叫ばれているBtoB領域ですが、その市場環境をどのように見ていますか。

本谷(デジタルコマース総合研究所) BtoB市場は非常に大きいです。私が財務省の「法人企業統計調査」「財務省貿易統計」および内閣府の「国民経済計算(GDP統計)」にもとづいて計算したところ、2024年のBtoC市場規模が約320兆円なのに対して、BtoB市場は約1,000兆円にのぼると考えられます。素材の調達から一つの商品が出来上がり、市場に出回るまで、複数回にわたって企業間取引が発生するからでしょう。

 私は、過去に株式会社大和総研で経済産業省「電子商取引実態調査」を手掛けていました。その経験から、BtoB市場でのDX需要は非常に高いと感じます。実際、同調査によると、2023年のBtoB取引のEC化率は40%とBtoC市場よりも高いのです。

 BtoB取引の場合、「近くに実店舗があるから買いに行こう」とは思わないですよね。しかも、効率化を追求する世界です。そう考えると、理論上はEC化率が100%近くまで上がっても不思議ではありません

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役 本谷知彦氏
株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役 本谷知彦氏

原田(デジタルガレージ) それにもかかわらず、デジタル化がまだまだ進んでいないのが現実です。私は、デジタルガレージでBtoB決済事業の開発を担当しており、企業間取引の効率化を支援してきました。現状、契約書や請求書をPDF、電子捺印などで処理するペーパーレス化は徐々に進んできていますが、実際の精算および支払いは、ほとんどが銀行振込や手形で行われています。一方で、銀行によってオンラインバンキングの機能や仕様などが異なるため、不便さを感じている企業は多いようです。

 そんな中、一般社団法人キャッシュレス推進協議会の「法人カード利用動向調査」を見てみると、法人カードの取扱額は伸び続けており、2024年には約6兆円となっています。発行枚数も増加傾向にあり、関心の高さがうかがえます。

 クレジットカードの発行会社は、今まで軸足としてきた個人消費者向け市場が飽和状態になりつつあるため、新たに法人向け市場にも注力し始めています。これも、法人カードの発行数増加を後押ししているのでしょう。また、クレジットカードの発行を一つのきっかけとして、その他の金融サービスで顧客接点を拡大しようとする動きも見られます。

──そこまでのポテンシャルがありながら、なぜEC化やキャッシュレス化が進まないのでしょうか。

本谷(デジタルコマース総合研究所) BtoCかBtoBかを問わず、日本では中小企業が大半を占めています。大企業であればリソースや資本力があるため、DXの一環として取引のデジタル化が比較的進めやすいでしょう。ところが、中小企業の場合は、IT投資ができる余力がそこまでありません。

 加えて、現状維持を望む企業文化によって、従来の取引方法を大きく変えるのが難しいケースも少なくないのです。一つの変化でも経営全体に影響する可能性が高いため、慎重になるのも理解できます。

 しかし、政府は2026年度末までに紙の約束手形の利用廃止、小切手の全面的な電子化の方針を示しています。中小企業にとっても、今までの取引のあり方を見直す良いタイミングではないでしょうか。

仕入れに物流…… 販売前のコスト負担をどう軽減するか?

──日本のBtoB企業が取引において抱える課題を、より深く教えてください。カテゴリーごとに、悩みは違うのでしょうか。

原田(デジタルガレージ) たとえば、アパレルなどメーカーの場合、一つの商品を生産するために、材料としてボタンやネジを仕入れます。それぞれ取引先が異なり、管理が複雑化しやすいです。加えて、商品を生産して販売開始後、売上が発生するまでに時間がかかるため、約束手形などで下請け企業への支払いまでに猶予期間を設けるケースもあります。このような構造によって、支払いが完了するまでにタイムラグが発生し、事業自体は順調で黒字であっても、資金繰りの悪循環につながります。

株式会社デジタルガレージ グループCEO本部 副本部長 兼 BtoB決済事業開発部長/株式会社DGフィナンシャルテクノロジー 執行役員 原田潔貴氏
株式会社デジタルガレージ グループCEO本部 副本部長 兼 BtoB決済事業開発部長/株式会社DGフィナンシャルテクノロジー 執行役員 原田潔貴氏

本谷(デジタルコマース総合研究所) アパレルに限らず、季節によって需要の高い商品は変わりますよね。その変動を考慮した上で、事前に商品を仕入れておかなければなりません。特に繁忙期の前は、売上が立つ前に大幅な仕入れ費用がかかるということです。場合によっては、通常どおり銀行振込で対応するのが大きな負担となります。

──こうした課題を解決し、資金繰りを安定させることは、取引先との継続的な関係構築においても欠かせないと感じます。とはいえ、どう対応すれば良いのでしょうか。

原田(デジタルガレージ) 各社の負担を軽減するため、当社では請求書を通じた通常の銀行振込のBtoB取引で、クレジットカード決済を取り入れられるよう「DGFT請求書カード払い」を提供しています。

 同サービスでは、普段どおり受け取った請求書を専用サイトに登録すると、支払いをクレジットカードで行えます。これにより、借入れをせずに最大で60日間、実際の支払いを延長可能です。

 また、PDFやスマートフォンで撮影した請求書でも、AI-OCRで自動的に読み取れ、データとして保存できます。電子帳簿保存法で電子取引データの保存が完全義務化されてから1年半以上が経過しましたが、まだまだ対応に苦労している企業は多いでしょう。この「DGFT請求書カード払い」に新たに付与された「受取請求書管理機能」によって、追加コストをかけずにスムーズに対策が可能です。

 このように、デジタル技術を活用することで、支払業務の効率化とキャッシュフロー改善の両方が期待できるのです。

 ときとして「少額の支払処理にしか利用しない、中小零細企業向けのサービスではないか」と受け止められることもあります。しかし、数百万円~数億円規模の仕入れ費用や物流費用の請求書を処理するために利用する大企業も少なくありません。融資をはじめ金利のある金融サービスなどと比較して、費用対効果から「DGFT請求書カード払い」を選択する企業も増加している状況です。

本谷(デジタルコマース総合研究所) ビジネスにおいて、経理や財務は“守り”の領域と捉えられやすいですが、私は1番重要なポイントだと考えています。

 売上を上げるために、営業や商品開発にフォーカスする企業は多いですが、どんなに良い商品や自社ECサイト、営業マンが存在していても、経理・財務をコントロールできていなければ株式上場の際の事前審査を通過できず、結果的に上場はできません。日々の取引からは、資金調達に適したタイミングや適切なキャッシュフローの回し方など、様々な戦略のヒントが得られます。つまり、「DGFT請求書カード払い」のような仕組みによって、“攻め”の打ち手が増えるといえます。

原田(デジタルガレージ) スムーズな取引だけでなく、データ活用の観点でもキャッシュレス化は重要です。せっかくPDFで送付されてきた請求書を印刷しファイリングしていても、すぐに活用はできません。デジタル化して保存しておけば、本谷氏が指摘するとおり、毎月の変化を分析しやすくなります。

 経験値から需要を予測することも多いと思いますが、トレンドは毎年変わっていきます。結果的に売れなければ、在庫ロスが発生し、追加で費用がかかるのです。経験とともにデータでも見極める視点が求められます。

既存プラットフォームへの導入も 取引先とのWin-Winな関係の作り方

──実際には、どのような企業が「DGFT請求書カード払い」を利用しているのですか。

原田(デジタルガレージ) たとえば、グループ会社の株式会社カカクコムが運営している飲食店向け発注業務効率化サービスの「食べログ仕入」と連携しています。

 同サービスは、受発注機能を提供し、卸企業と「食べログ」に掲載されている飲食店をつないでいます。ここに「DGFT請求書カード払い」を導入することで、卸企業が発行した請求書に対して、飲食店オーナーがクレジットカードでの支払いも選択可能となりました。

 飲食店も、季節やイベントによって需要の波が発生しますよね。タイミングによっては、仕入れ費用や人件費が大幅にかかる時期もあります。それを調整するために、「DGFT請求書カード払い」が役立っています。

 ほかにも、TIS株式会社が地方銀行向けに展開しているDXプラットフォーム「DX Connect Gate」に採用されています。「DGFT請求書カード払い」をベースに、専用の仕組みを構築した事例です。このプロジェクトの第1弾として、2025年6月より広島銀行が地元企業向けDXデジタルソリューション「〈ひろぎん〉Smart Fine」の提供を開始しました。

 同ソリューションでは、地元企業が請求書のデジタル化や、多様な決済手段の選択を行えます。「DGFT請求書カード払い」によって、各企業はクレジットカード決済を選べるだけでなく、請求書データの一元管理も可能となりました。支払漏れの防止といった面でも、メリットがあります。

本谷(デジタルコマース総合研究所) 前述の法人企業統計調査のデータから計算したところ、日本市場の2023年度の売上高営業利益率は約4.6%です。小売業だけで見ると、約2.6%。米国と比べると、日本では企業の売上高営業利益率が低いといえます。これが、新しい仕組みの導入や施策の実行を妨げる要因となっているのでしょう。それでも、「DGFT請求書カード払い」といったサービスを積極的に活用すれば、財務状況の立て直しや整備につながるはずです。

──利便性だけでなく、安定的に、そして継続的に事業を成長させるためにも、重要な仕組みなのですね。今後、「DGFT請求書カード払い」は、どのように進化していくのでしょうか。

原田(デジタルガレージ) どの企業も、“本業”でどう売上成長するかにフォーカスしたいと考えています。請求書処理などに頭を悩ませたくはないはずです。手段が銀行振込なのかクレジットカード払いなのかを意識せずに、スムーズに処理されている状態が理想でしょう。

 だからこそ、悩まずにクレジットカードでの支払いを選択できる環境を、当社が用意していきたいです。そのためには、同サービスをより上流のシステムであるERPや経理システムに組み込むのも重要だといえます。TIS・広島銀行との取り組みや大手ERPベンダーなどとの連携も、その施策の一つです。

 また、将来的には、請求書を発行する側が抱える「相手企業にどの程度販売しても問題ないのか」といった疑問を、過去の取引履歴から解消できる仕組みも提供したいと考えています。銀行決済自体を次世代型に進化させられるDX支援ツールとなるような仕掛けも検討し、売り手と買い手、どちらにとってもメリットのあるサービスにしたいです。

本谷(デジタルコマース総合研究所) 私も情報を発信する立場として、BtoB取引におけるデジタル化の重要性を、データとともに引き続き伝えていきます。

原田(デジタルガレージ) そもそも、受け取った請求書に対してクレジットカード払いができると知らない方も多くいます。支払いをもっと効率化できる。しかも、売り手にとっては、クレジットカード決済の仕組みそのものを導入せずとも、クレジットカード決済のニーズに対応できる。それを理解してもらうために、当社も情報を届けていきたいです。

簡単便利な「DGFT請求書カード払い」で効率化と電帳法対応

取引先から受領した通常の銀行振込の請求書を簡単にクレジットカード支払いにできるサービス。AI-OCRで請求書は自動で取り込みされ、電帳法対応の「受取請求書管理機能」も搭載。詳細は「DGFT請求書カード払い」公式サイトからお問い合わせください。

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この記事の著者

ECzine編集部(イーシージンヘンシュウブ)

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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社デジタルガレージ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/09/01 11:00 https://markezine.jp/article/detail/49762